- はじめに
- 第1章 すべての生徒に確かな「言葉の力」を
- 茨城大学教育学部 /鈴木 一史
- @ 言葉が教室の雰囲気をつくる
- A 表現することを通して,言葉の力は磨かれる
- B 知的で楽しい言語活動を通して,言葉が広がる
- C 獲得する言葉の質的な豊かさにこだわる
- 第2章 今日からできる言語活動のアイデア
- 1年
- ボリュームゼロで伝えよう!(話す・聞く)
- 質問力を高めよう!(話す・聞く)
- メモを基に話の内容を再現しよう!(話す・聞く)
- 友だちへのインタビューを基にクイズをつくろう!(話す・聞く)
- 見えないものを見る力を高めよう!(書く)
- 文学作品の書き出しを並べてみよう!(文学的な文章)
- 古典の文章に読み慣れよう!(古典)
- 漢文に親しもう!(古典)
- 畳語を集めよう!(語彙)
- 感じ取ったことをオノマトペで表現しよう!(語彙)
- 新しい擬音語をつくろう!(語彙)
- 擬態語を楽しもう!(語彙)
- 擬音に漢字を当てはめよう!(語彙)
- 擬音語でなぞかけを考えよう!(語彙)
- リレー作文を書こう!(文法)
- 形容詞を使わずに表現しよう!(表現)
- 将来なりたいものを比喩で表現しよう!(表現)
- 漢字の早読み対決をしよう!(漢字)
- 指定された画数の漢字を集めよう!(漢字)
- 好きな本の一節を紹介し合おう!(読書)
- Column 言葉との出会い 人との出会い
- 2年
- 時間内に過不足なく伝えよう!(話す・聞く)
- この感じ,最大で伝えよう!(書く)
- 1枚の写真からミニ物語をつくろう!(書く)
- 言葉で写真を撮ろう!(書く)
- 3つの文で伝えきろう!(書く)
- 複数の立場から見出しを考えよう!(書く)
- 小道具を変えてみよう!(文学的な文章)
- 対になる語で『ガイアの知性』をとらえよう!(説明的な文章)
- 短歌鑑賞カードを交流しよう!(短歌・俳句)
- 書き言葉をスピーチ原稿に変身させよう!(言葉のきまり)
- 対の意味をもつ二字熟語を探そう!(語彙)
- 同じ意味,似た意味をもつ二字熟語を探そう!(語彙)
- 言葉を広げる方向を考えよう!(語彙)
- 同音異義語でなぞかけを考えよう!(語彙)
- 言葉に花を咲かせよう! 開花編(語彙)
- 言葉に花を咲かせよう! 花当て編(語彙)
- 言葉に花を咲かせよう! 花見編(語彙)
- 助動詞で物語をつくろう!(文法)
- 1つの漢字がもつ複数の意味を知ろう!(漢字)
- CMを分析しよう!(情報)
- 複数のCMを比較,分析しよう!(情報)
- Column 言葉を知ることで,より豊かな世界が見えてくる
- 3年
- 自分の好きな場所をわかりやすく伝えよう!(話す・聞く)
- 名言を引用して考えを述べよう!(書く)
- 調べたことを正確に引用しながら報告しよう!(書く)
- 論理的思考の型を使いこなそう!(書く)
- オリジナルの国語辞典をつくろう!(書く)
- 小説家になって続きを書こう!(文学的な文章)
- 4コマ漫画のオチを考えよう!(漫画)
- 作者の気持ちになって言葉を予想しよう!(短歌・俳句)
- 四字熟語で未来カレンダーをつくろう!(語彙)
- オリジナル四字熟語が表していることを当てよう!(語彙)
- わかりにくい外来語の意味を考えよう!(語彙)
- 度合いの大小で言葉を並べよう!(語彙)
- 対立する2つの形容詞で伝えよう!(語彙)
- 言葉の定義を自分たちで考えよう!(語彙)
- よく知られた言葉の意外な意味を学ぼう!(語彙)
- 漢字をどんどん変身させよう!(漢字)
- 1つの漢字から世界を広げよう!(漢字)
はじめに
本書を手にされた先生方は,どのようなことを求めてこの本を開かれたのでしょうか。おそらく,明日の授業に役立ちそうなものを探されたのではないかと思います。結論から言うと,この本には授業ですぐに使えるアイデアがたくさん詰まっています。
この本は,学校現場の先生方が実際の授業で行った言語活動の中から生まれました。「授業づくり研究会」という国語教育同人を中心に実践され,活字にするにあたって,他の先生方の検証・検討も経ています。
この研究会には,小学校の先生,中学校の先生,指導主事の先生など,様々な立場の先生がかかわっており,小学校と中学校の両方の校種を経験している先生も多くいます。そのような先生たちが考案した活動なので,この本の中には小学生でもできる活動がたくさんあります。
これはつまり,活動自体の難易度は高くないということです。活動の中身である言葉そのものの抽象度や難易度を中学生向きにつくっているだけなのです。
活動自体は小学生でもできる易しさで,かつ,知っている言葉が多ければ多いほど楽しい活動になります。
さて,この本は1つの共通したコンセプトに基づいてつくられています。それは,言葉の学習を中心に置いている,ということです。
「国語で言葉の学習を中心にするのは当たり前では…?」
と思われるかもしれませんが,国語の授業では,ともすると学習する教材の内容に重点を置きすぎてしまい,それを表す言葉そのものを学習するという意識は薄くなりがちです。
例えば,読書感想文を書かせるとき,感想や感覚に重きを置き,それらをどのような言葉で表すか,という言葉を広げる学習が後回しになってしまっていませんか。
また,プレゼンテーションをするときに,伝える内容ばかりを重視し,伝える手段である言葉を培うことに時間を割いていない,ということはないでしょうか。
そこでこの本では,どちらかというと,内容そのものよりも,様々な言葉を広げるためにどのような活動を行えばよいのか,ということを重視しています。
この本のアイデアを見渡すと,ただの遊びのように感じられるものもあるかもしれません。しかし,あえてこの本では,遊びの中からでも言葉を広げることができるということを,アイデアを通して示しました。教科書を中心とした国語の授業だけで言葉が完結してしまっていてはいけないと考えるからです。したがって,この本で紹介するアイデアは,国語の授業だけでなく,学級活動や朝の会・帰りの会など様々な場面で活用することもできます。
本書を手にしてくださった先生方はおそらく国語の先生が多いと思います。しかし,言葉の教育は全教科の先生に意識してもらいたいと考えています。言葉が私たちの生活や人生を豊かにしてくれる,そう信じている先生方に,本書が少しでも役立つことを心より願っています。
2016年2月 /鈴木 一史
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- 明治図書
- アイスブレイクとして使いやすい。2018/7/3120代・中学校勤務