- まえがき
- 第1章 今の規律は正しいの?
- 1 静かに聞く能力
- 2 誰の声がけが効くのか
- 3 みんなの前で発表する能力
- 4 学級崩壊の構造
- 教室ルールづくり入門コラム 民主主義が成長したから
- 第2章 アクティブ・ラーニング時代の教室ルールづくりとは?
- 1 教育基本法第1条
- 2 アクティブ・ラーニング
- 3 静かに食べる給食
- 4 教科の陶冶価値
- 5 体罰
- 教室ルールづくり入門コラム 早めに分かってよかった
- 第3章 アクティブ・ラーニング時代における教師の立ち位置
- 1 新たな教師像
- 2 再生産
- 3 成文法
- 4 基本方針
- 5 平等
- 6 規範
- 7 異学年
- 8 規律ある「学校」
- 教室ルールづくり入門コラム 腹
- 第4章 理想の学校・クラスづくり
- 1 組織
- 2 学級・担任
- 3 教育内容
- あとがき
まえがき
本書を手にとっていただき,ありがとうございます。そしておめでとうございます。本書を手にとったのは偶然ではなく,必然です。
なぜですって? それは本書を手にとるということは,あなたが教室のルールと規律づくりに悩んでいるからです。そして,いろいろな本を読み,研修にも参加するような熱意のある方だからです。そして学校の方針に従い,指導を行っています。しかし,その姿はあなたが思っている理想の教育とはほど遠いのだと思います。だから,今まで読んでいた本とはおもむきの違う本書を手にとっているのだと思います。
その直感は正解です。本書は今までの類書では書いていなかった,とても簡単だけどとても大事なことを書いています。
それは,アクティブ・ラーニング時代における規律とは何か?ということです。
アクティブ・ラーニングにおいて,子どもたちは主体的であらねばなりません。しかし,現状の教室ルールづくりでは子どもたちは主体的でしょうか? 大いに疑問です。
現状の学校は専制国家の状態です。中学生が体育館で集合する際,そこには暴力団のような表情と声で子どもを統率しようとする教師がいます。教師自身も覚えきれないような校則でがんじがらめにしている学校が存在しています。とても,民主的とは言えません。
「しかし……」と思われているのではないでしょうか? そうしなければ子どもたちの規律は保てないと思われているのではないでしょうか?
でも,本当ですか?
戦前の日本では,アメリカは自由の国だからみんながてんでんばらばらだから,日本は負けないと言っていました。しかし,日本は負けました。
現在の先進国が民主国家であるのは,民主国家が戦争でも経済でも勝ったからです。民主主義は規律正しいのです。そもそも専制国家の規律は,目が届かないところでは成り立ちません。そのため,イジメの温床となります。また,暴力団のような表情と声がけで規律を保てば,そうできない先生のところにひずみが集まります。第一,そのような規律で育てられた子どもに民主的な国家は担えません。若者の投票率が低いと報道されていますが,その原因は学校にあるのではないでしょうか?
と,書きましたが,本書を手にとっている方はそれが分かっているはずです。しかし,どうやって子どもが主体的なクラス経営をしてよいのかが分からない。そして,「子どもが主体的なクラス経営をしたときに本当に子どもは規律正しくなれる」ということに確信がもてない。
でしょ?
ご安心下さい。本書にはそのようなことに強力な「たった3つのノウハウ」が書いてあります。それさえ分かれば,今までは無理だと諦めていた「あの子」を変えることが出来ます。
第一は,いままで必死になって維持しようとした規律は正しいのかを考えるというノウハウです。既に「変」とあなたが思っていることを,確かに「変」であることを示します。
第二は,あなたが目指している規律は何かを明らかにするというノウハウです。「変」と気づいていますが,具体的にそれに代わるべきものが見えない。だから迷っているのだと思います。それに対して私なりの「応え」を示します。
第三は,そのような理想の規律を育てるために教師はどうすべきか考えるというノウハウです。
おそらく,皆さんの頭の中には「?」が浮かんでいると思います。つまり,今まで読まれた数多くの本とは,だいぶ違うことが書いてあるのです。でも,ご安心下さい。難しくありません。本書に書いてあることは,全部,分かってしまえば「な〜んだ」ということです。
さて,選択しましょう。今までと似た本をもう1冊読みますか? それとも今までとは違う3つのノウハウを学びますか? 皆さんの答えは決まっていますよね。さあ,始めましょう!
/西川 純
いろいろ考えていたところに、この本を目にして、買ってしまいました。