- まえがき
- T 明るいトーンの個が育つ
- 1 こんな子になってしまったのです
- 2 「どうぞ、どうぞ」と譲り合っているぞ!
- 3 「先生、ありがとう」
- U 明るい卜ーンの個が育つ学級づくり一三条
- 1 第一条 「しか」を排して「も」を使う
- (1) 「しか」を排して「も」を使うということ
- (2) 一元的な見方をするということ
- (3) 否定語が肯定語になるということ
- 2 第二条 感激は明るくストレートに示す
- (1) 「気持ちがいいなぁ!」
- (2) 「おはようございます」
- (3) 笑う門には福きたる
- (4) 体育館の窓が開きます
- 3 第三条 目標に向けて事実を積み上げる
- (1) 一〇分の一信、一〇分の九疑
- (2) 具体的事実を積み上げると1「保護者の声に」
- (3) 具体的事実を積み上げると2「学習の成果に」
- (4) 具体的事実を積み上げると3「学年文集に」
- (5) 具体的事実を積み上げると4「最後の授業参観に」
- (6) 具体的事実を積み上げた指導の一コマ
- (7) 自学システムの事実
- (8) 学級文化の事実
- @ 学級日記記事満載
- A うれしいお便りノート
- B 知恵の宝庫ことわざカルタ
- C 知的な百人一首
- D 多彩な情報掲示板
- E のびのび係と当番プロ活動
- 4 第四条 不安を排して安心をあたえる
- (1) おはようございますU
- (2) 失敗は成功のもと
- (3) 不安に追い打ちをかける
- @ 何回いったらわかるの
- A 何をやっているの
- B 一体、何をやっているの
- (4) 笑顔ですか?
- (5) イベントを支援するということ
- 5 第五条 休み時間を保障する
- (1) 何といっても休み時間が一番
- (2) ブーイング
- 6 第六条 反応の速さを身に付けさせる
- (1) 「……でいいですよね」
- (2) 国語辞典がたくさん使える
- 7 第七条 タイムリーを意識する
- (1) 鉛筆を削っていいですか
- (2) トイレに行っていいですか
- (3) タイムリーを生かす
- (4) 「ちょっと待って」はちょっと待って
- (5) コミュニケーションスペース
- (6) テストの返却と作品の返却
- 8 第八条 感謝の気持ちをたくさんもつ
- (1) 一休・二休・サンキュー
- (2) ありがとう、うれしいな
- (3) どうぞ、ありがとう
- 9 第九条 子供たちの素晴らしさを実感する
- (1) ピグマリオン効果
- (2) 一元的な見方ができる
- 10 第一〇条 他の学級の素晴らしさを認める
- (1) 一組の声がきれいだね
- (2) 学年合同授業がチャンス
- 11 第一一条 教育技術を身に付ける
- (1) 3K教育とは
- (2) プロの教育技術とは
- (3) プロのアドバイスとは
- 12 第一二条 保護者を味方にする
- (1) 教育の向上的循環に乗る
- (2) 授業参観の授業で
- (3) 学級懇談会の内容で
- 13 第一三条 ユーモアを育てる
- (1) 落がわかる?
- (2) 見事なユーモア
- あとがき
まえがき
宿題を出しました。
次の日、宿題をやってきた子が八人でした。三六人中の八人です。
さぁ、子供たちに何といいましょうか。
朝、子供たちに会いました。
「おはようございます。」
と、声をかけました。でも、子供たちから、あいさつが返ってきませんでした。
どう対応しましょうか。
忘れ物です。
同じ物を三日連続で忘れたのです。
どんなことをいいましょうか。
宿題をやってきた子は八人でした。
あいさつが返ってきませんでした。
三日連続で忘れてきました。
何といったらいいでしょうか。
二年生のクラスに行ったときのことです。
新しい漢字の読みの学習の場面です。
一人の男の子の番がきました。
男の子は、黒板に書かれた「今夜」を「こんばん」と読みました。
その瞬間、「こんばん?」「えっ? こんばん?」という声があちらこちらから上がりました。その声に混じって笑い声もその男の子を包みました。男の子は、すぐに「こんや」といいなおしましたが、まだ、周りからは「こんばん?」「こんばん?」という声が聞こえています。
男の子はうつむいてしまっています。ほんの数秒の出来事です。
こんなときはどうしましょうか。
これらは、どれも事実です。
でも、これらの事実に対するそれぞれの教師の対応は違うのではないでしょうか。
では、どのように対応すればいいのでしょうか。どのように対応すれば明るいトーンの個が育つのでしょうか。「えっ? こんばん?」の場面では、次のように対応しました。
透かさず、「今夜」の下に「晩」という漢字を板書していいました。
『同じような意味ですね。いいことばを知っていますね。』
そして、続けていいました。
『今晩の晩という字は、こう書くんですよ。知らなかったでしょう。でもね、一弘君が間違って読んでくれおかげで、みんなは「晩」という字を覚えることができましたよね。よかったですね。間違うことも役に立つんですね。みんな、一弘君に、ありがとうっていわなきゃ。一弘君、ありがとう。』
一弘君は、ほっとした様子でした。
他の場面ではどうでしょう。
それは、…………………………………。
本文に譲りましょう。
一九九六年一二月八日(央の誕生日) /竹川 訓由
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- 明治図書