- はじめに
- 第1章 教材を分析・解釈する力を高めよう
- 1 読者として教材と出合おう
- 2 教材「大造じいさんとガン」を読み解こう
- (1)教科書における「大造じいさんとガン」の扱い
- 二つの文章と物語のイメージ/大まかな物語の内容
- (2)主人公「大造じいさん」の設定を読もう
- 大造じいさんの年齢/狩人としての大造じいさん/残雪を侮る大造じいさん/大造じいさんの執念/大造じいさんは孤独?
- (3)大造じいさんの変容を読もう
- 大造じいさんの心の変化とは/呼称の変化から/強く心を打たれる大造じいさん/大造じいさんを変えた残雪の英雄的行為/「大造じいさんはかけつけました。」が意味するものとは/残雪の頭領らしい堂々とした態度が揺り動かす/狩人としての生き方の自覚
- (4)対人物「残雪」について分析しよう
- 特別な存在としての残雪/残雪の利口さと頭領らしさ/理想の頭領像としての残雪/大造じいさんと残雪の関係
- (5)場面構成から読もう
- 起承転結について/変化・発展する繰り返し
- (6)語りや表現描写を読もう
- 文体の効果/情景描写と人物の心情/色彩語の効果/オノマトペの効果
- 3 学習の目標を設定しよう
- (1)教材の特性から学習の目標を考えよう
- (2)「大造じいさんとガン」から指導目標を設定しよう
- 教材の特性から考えられる目標を書き出そう/教科書の単元名を見てみよう/学級の実態に合った目標を設定しよう
- 第2章 指導方法を構想する力を高めよう
- 1 学級の実態と教師の力量に応じた指導方法を設定しよう
- 2 教材の特性に応じた活動を設定しよう
- (1)音読・朗読
- (2)ディベート
- (3)日記
- (4)手紙
- (5)劇・動作化
- (6)新聞
- (7)書評
- (8)他の作品を読む
- 3 単元を構想しよう
- (1)子どもたちの状況をとらえよう
- (2)学習のゴールである目指す子どもの姿を明確にしよう
- (3)学習課題と学習活動を設定しよう
- 第3章 板書と思考の流れで展開がわかる 実践!「大造じいさんとガン」の授業
- 〈第2次〉 課題について話し合いながら、大造じいさんの残雪に対する見方の変化を読む。
- 第1時 物語の構成を確認し、「それぞれの年の作戦名を考える」について話し合う。
- 第2時 「どうして、大造じいさんは残雪がいまいましいのか」について話し合う。
- 第3時 「大造じいさんの変化を考える」について話し合う。
- 第4時 「大造じいさんはひきょうなやり方で残雪をやっつけようとしたのか」について話し合う。
- おわりに
- 〈注〉教科書の引用箇所に出典表記がないものに関しては、平成27年度版光村図書5年を使用しています。
はじめに
今、日本の教育は激動の時代にあります。知識基盤社会化、グローバル化に対応すべく、世界に照準を合わせた教育改革が行われ、未来に生きる子どもたちの資質・能力の育成に向けて様々な政策が打ち出されています。学校現場では、新たな教科等の実施やICT教育設備の活用など、従来の授業のあり方の見直しが求められています。
しかし、どんなに教育を取り巻く状況や授業の方法が変化しても変わらないものもあります。それは、学習者としての「子ども」、指導者としての「教師」、両者を関わらせる学習内容としての「教材」という三つの要素が授業の成立には不可欠だということです。
そして、子どもたちが主体的に学習する原動力となるのは、やはり課題意識です。教科の本質や内容に迫る子どもたちの問いをいかにしてつくり出すか、教師の力が問われています。
では、どのようなものが価値ある問いであり、その問いをつくり出させるために教師は何をすればいいのでしょうか。
それには、まず何よりも教師の教材を分析する力が必要です。授業を構成する要素である教材を分析し、その「価値」を教師が見出すことができなければ、授業の中で子どもたちに気づかせたり、考えさせたりすることはできません。
現在、使用されている国語の教科書には、長い間掲載されてきた文学教材が数多くあります。
なぜ、これらの文学教材は、多くの教師や学校現場で支持され続けてきたのでしょうか。それは、その教材で子どもたちを学習させる「価値」を多くの教師が感じてきたからに他なりません。そして、多くの先達が、その「価値」に子どもたちを迫らせるための読ませ方を研究・実践してきました。
本シリーズでは、そのような教材を国語科における「重要文学教材」と位置づけ、教材分析・解釈を通してそれらの教材の「価値」に迫るとともに、どのようにしてその「価値」に迫る読み方を子どもたちにさせていくか、授業づくりのステップに合わせて構成しています。
本シリーズは、基本的に次のような三つの章で成り立っています。
第一章 教材を分析・解釈する力を高めよう
第二章 指導方法を構想する力を高めよう
第三章 板書と思考の流れで展開がわかる授業
本シリーズを読み、読者のみなさんにもいっしょに考えていただくことで、今後の授業づくりの一助になれば幸いです。
/立石 泰之
コメント一覧へ