- 刊行に寄せて
- はじめに 今,教育現場で何が起こっているのか?
- Chapter 1 同僚性がもたらす現場の未来
- 1 「同僚性」とは何か
- 2 教育現場とウェルビーイング
- 3 心理的安全性
- 4 同僚性が職場の空気を変える
- Chapter 2 チームビルディングサイクル
- 1 同僚性を育むチームビルディングサイクル
- 2 チームビルディングサイクルの6つの視点
- 3 同僚性を育めない「アシヒッパリーニ」チェックリスト
- 4 「アシヒッパリーニ」たちの紹介
- 5 誰も悪くない
- Chapter 3 共通のビジョンをもつ
- 1 未来の絵を共有する
- 2 「熱さ」と「ユーモア」のあるマインドセットをつくる
- 3 イメージを可視化する
- 4 生きた行動指針をキャッチコピーにする
- 5 未来のビジョンを共有できない「マウントリーナ」の特徴
- 6 「マウントリーナ」とどう付き合う?
- Chapter 4 心理的安全性を育む環境をつくる
- 1 安心の環境をつくる
- 2 空間が変われば,関係性も変わる
- 3 自然につながる空間をつくる
- 4 みんなでつくることに価値がある
- 5 安心の空気を重くする「ネガティブ・カマッテーヨ」の特徴
- 6 「ネガティブ・カマッテーヨ」とどう付き合う?
- Chapter 5 コミュニケーションをオープンにする
- 1 アサーションで自分も相手も大切にした表現をする
- 2 オープンな対話で日常をつなぐ
- 3 多様な語れる場所をつくる
- 4 知ることから始める
- 5 話しても伝わらない「きいてま仙人」の特徴
- 6 「きいてま仙人」とどう付き合う?
- Chapter 6 互いの“観”を知る
- 1 「わかりあえなさ」から始める
- 2 相手の存在そのものを肯定する
- 3 “観”を見える化する
- 4 共通言語を持つ
- 5 ともに語り,ともに育つ
- 6 全体の輪に入れない「ソガイカーン」の特徴
- 7 「ソガイカーン」とどう付き合う?
- Chapter 7 フィードバックの文化をつくる
- 1 どんな文脈で伝えるかを大切にする
- 2 ラブレターを送る
- 3 インフラを整えて思いを伝える
- 4 感謝を歌に乗せる
- 5 自由な対話を難しくする「コウ・アツノリ」の特徴
- 6 「コウ・アツノリ」とどう付き合う?
- Chapter 8 成功体験を積み重ねる
- 1 組織効力感を育てる
- 2 困難をみんなで乗り越える
- 3 風を変える
- 4 ブランドをつくる
- 5 未来をあきらめない
- 6 チームのモチベーションを下げる「ネチ・ネチ造」の特徴
- 7 「ネチ・ネチ造」とどう付き合う?
- 参考文献
- おわりに 同僚性という希望
刊行に寄せて
今回,大変光栄なことに拙著『教師のための「非認知能力」の育て方』のタイトルにちなんで,私の同志であるコ留宏紀氏から「同僚性」をテーマとした素晴らしい一冊が刊行されました。
コ留氏は,大阪府内の中学校教諭を務められたあと,1年間フィンランドの高校教育現場に従事され,さらに現在は奈良県にある幼児園で園長の職務にあたられています。中学校教諭時代は,ミドルリーダーとなって同僚の先生方と協働したさまざまなチャレンジをされ,今では園長として園内の教職員の方々に対してリーダーシップを発揮されているところです。そこに,教職員の同僚性を大切にしている国でもあるフィンランドでの取り組みまで加わりました。このような彼の豊富な経験があるからこそ,今回の一冊が誕生したのだと確信しています。きっと,みなさんにとって読み応えとこれからの手応えを感じられる一冊になっていること間違いなしでしょう。
さて,ここで「同僚性」という言葉について,私のほうからも僭越ながら少しふれておきたいと思います。この言葉が,教育現場や保育現場において,とても重要な意味を持っていることは周知の通りです。なぜなら,現場に所属している複数の教職員たちが,「チームとしての実践」を展開していかなければ,対象者である子どもたちの成長・発達を支援することはままならないからです。「個の実践」だけでは,十分な実践になり得ないことは,現場を経験されてきた方々なら誰もがおわかりいただけるのではないでしょうか。
ただし,たしかに「チームとしての実践」が必要であるといっても,必ずしも「1+1」が「2以上」の力を発揮できるとは限らないのも現実です。ともすれば,「1+1」が「−1」に陥ってしまっている現場だってあります。だからこそ「同僚性」が私たちにとって必要不可欠であるといえるでしょう。
ちなみに「同僚性」とは,組織の使命や目的を共有・理解して,お互いのちがい(個性)を尊重しながら,それぞれの強さを生かし合い,弱さを補い合って協働することを意味しています。英語では「collegiality」と訳され,語源となるラテン語の「collegium」は,まさに共通の目的のために集まった人たちを意味しているのです。
言うまでもなく,教育や保育の現場に従事する方々にとっての共通の目的とは,「一人ひとりの子どものウェルビーイング」でしょう。さらに,学校園ごとに掲げられている理念や方針,さらには学校教育目標や保育目標によって,その目的は,より一層具体化されているはずです。こうした共通の目的を遂行する同僚たちが,「1+1」を「2以上」の力にしていくためには,一体どんなことを大切にしていかなければならないのでしょうか? 一方で,どんなことをやってはいけないのでしょうか? それ以前に,学校園で目的そのものを共有することはできているのでしょうか? できていないとすれば,チームとして,まず何をしなければならないのでしょうか?
このように,私たちの頭にいろいろな問いが浮かび上がってくるなかで,コ留氏が書き上げたこの一冊が,私たちの頭にある靄を明るく晴らしてくれることでしょう。彼が,ミドルリーダーとして中学校で挑戦してきたことも,フィンランドで素晴らしい先生方から知見を得たことも,園長として幼児園の同僚性を育て上げてきたことも……すべてこの一冊に凝縮されているといっても過言ではありません。
本書は,子どもたちにとっても,教職員たちにとってもウェルビーイングな教育・保育現場をつくるために必要なことを学ばせてくれ,私たちにチーム学校園における「同僚性」という希望を抱かせてくれる一冊になっているはずです。みなさん,ぜひこのまま本書を読み進めていってください。本書を読み終えたとき,みなさんの学校園での同僚性がますます育まれることを心から願っています。
2025年12月 All HEROs合同会社代表 IPU・環太平洋大学特命教授 日本非認知能力協会会長 /中山 芳一
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明治図書

















