- はじめに
- プロローグ
- T 園舎をすてきな生活空間へ
- 1 “美”を保育のテーマに
- 2 窓辺のセンス・アップ
- 3 インテリアとしての壁面
- 4 広い窓からの借景
- 5 食事をするための部屋
- 6 スタッフ・ルームの充実
- 7 保育者にとっての快適環境
- U 園庭を,みどりの園(その)へ
- 8 園庭は,みどり豊かに
- 9 四季おりおりに美しい園庭
- 10 園庭を,遊びの宝庫に
- 11 ふるさとの景色を背景にして
- 12 四季の自然と年中行事
- 13 春・夏・秋・冬をたっぷりと感じて
- V 保育内容を,よりチャーミングに
- 14 日常の生活文化を豊かに
- 15 食事を保育内容の中心に
- 16 スレイド主義への回帰
- 17 生活に潤いを与える,しぐさの文化
- 18 “音”へのデリカシー
- 19 “時間”と“空間”のアンサンブル
- 20 愉快なネーミングは,保育を愉快にする
- 21 それぞれの地域のよさを生かす
- W うれしい会話,豊かなおつきあい
- 22 園生活は,生きた会話から
- 23 「ほほえみあい」がうれしくて
- 24 たっぷりと甘えさせて
- 25 「だだをこねる」ことの意味
- 26 「ほほえみあい」から,うれしい会話へ
- 27 異年齢でのおつきあい
- 28 集合の魅力とプレッシャー
- 29 保護者とのセンスのある会話
- X さまざまな遊び,知育への工夫
- 30 ごっこ遊びのかわいらしさ
- 31 シャドー・ワークに注目する
- 32 お手伝いの魅力と,人間の文化史
- 33 童謡の世界へのお誘い
- 34 メルヒェンの世界へのお誘い
- 35 四季のリズムを生かして
- 36 三つ子のたましい
- Y 子どもの個性に注目し,保育者の個性を生かす
- 37 “Everyone is unique!”というセンス
- 38 まずは,遊びを選べるうれしさ
- 39 自分の成長についてのアイデンティティー
- 40 個人差から個性へ,視点を移して
- 41 書く人と読む人にとっての記録
- 42 記録は子どもと保護者へのプレゼント
- 43 保育者の個性を生かす
- 44 それぞれの園がユニークな存在として
- Z 社会から敬愛される園へ
- 45 園を,ママやパパの“子育てサロン”へ
- 46 セルフ・サービスの簡単な朝食
- 47 実習生には園生活を楽しんでもらう
- 48 日本の保育についてのアイデンティティー
- 49 保育についての経済学的認識
- 50 保育者としての働きがい
- おわりに
- 協力者一覧
はじめに
『保育者のための50のキーワード―のびのび園生活への提言―』というタイトルのこの本を,全国の幼児保育に関係する方々,とりわけ保育の実際に日々携わっておられる保育者のみなさん方に手に取っていただければと願いながら執筆しました。
思うのですが,戦後70年の日本社会の歩みに沿って,幼児保育界は素晴しい実績を残してきました。施設・設備についてはもちろんのこと,さまざまな工夫を凝らした保育の内容,あるいはランチのための部屋やメニュー,さらには保護者の方々への対応の仕方,などなど。加えて,それらを支える保育者であるみなさん方の,早朝より夕刻遅くまでの年間を通してのお仕事ぶり。これらの健闘ぶりは,世界的に見ても大いなる営みだと思われます。
しかし,私の見方としては,是非とも考えていただきたいポイントがひとつ残るのです。それは,保育を巡るさまざまな面でののびのび感覚です。
と言いますのは,幼児保育とは,若々しい生命体が人生のスタートの始期にふさわしく,のびやかに躍動する場を提供する以外の何ものでもありません。ですから,特別な支障がない限りは,目一杯のびやかに営まれるのが本来だと考えます。必要以上の訓戒や細則などによる拘束は,園生活を委縮させ,パターン化した仕事に追い込んでしまいます。
おさない子どもたちの人生は,これからです。これからの人生をのびやかに生きていってほしい子どもたちへの何よりのプレゼントは,のびのびとした園生活だと考えます。そのためには,保育にいそしむ方々がのびやかにお仕事をなさり,仕事そのものをエンジョイなさることだと思うのです。
本書のタイトルは,このような思いから誕生しました。
2015年 初夏 /著者
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- 明治図書