- はじめに
- 第1章 国語授業が変わる!開かれた発問とは
- 1 発問の改善を目指したきっかけ
- 1 楽しくなかった国語の授業
- 2 国語の授業を見直すきっかけ
- 3 発問の質の重要性
- 2 気をつけたいNG発問四つのパターン
- 1 あるはずのない正解を求める発問パターン
- 2 発問に発問を重ねるパターン
- 3 できる子の答えが至上となる発問パターン
- 4 答えに経験を持ち込むパターン
- 3 開かれた発問になる五つの条件
- 1 開かれた発問との出会い
- 2 “開かれた発問”五つの条件
- 第2章 開かれた発問@ 二者択一の発問で議論を深める
- 発問1 男の子を助けた“じんざ”は幸せでしたか,不幸せでしたか?
- 「サーカスのライオン」(東京書籍/3年)
- 発問2 「おにたのぼうし」と「優しいおにた」どちらの題がよいですか?
- 「おにたのぼうし」(三省堂/3年)
- 発問3 主人公は松井さんと女の子,どちらですか?
- 「白いぼうし」(光村図書/4年)
- 発問4 ゆみ子とお母さん,どちらがかわいそうでしょうか?
- 「一つの花」(光村図書/4年)
- 発問5 ハゼオとカニモトくん,強く友だちだと感じているのはどちらですか?
- 「カニモトくん」(三省堂/5年)
- 発問6 大工さんのプロポーズは衝動的ですか,それとも計画的ですか?
- 「わらぐつの中の神様」(光村図書/5年)
- 発問7 クルルはこのまま死んでしまうのですか,それとも助かるのですか?
- 「風切るつばさ」(東京書籍/6年)
- 発問8 太一は一人前の漁師ですか,それとも一人前ではありませんか?
- 「海のいのち」(東京書籍/6年)
- 第3章 開かれた発問A 仮定の発問で読みを深化させる
- 発問9 「じんざ」という呼び方を全て「ライオン」にしたらどうなりますか?
- 「サーカスのライオン」(東京書籍/3年)
- 発問10 豆太がおくびょうでなかったら,どんな行動をしていましたか?
- 「モチモチの木」(光村図書/3年)
- 発問11 「夏みかん」という題だったらどうでしょうか?
- 「白いぼうし」(光村図書/4年)
- 発問12 第六場面を自分で作るとしたら,どんな話になりますか?
- 「ごんぎつね」(東京書籍/4年)
- 発問13 「だいじょうぶ」が一回きりだとどうですか?
- 「だいじょうぶ だいじょうぶ」(東京書籍/5年)
- 発問14 映画を作るとしたら,どんなエキストラが何人必要になりますか?
- 「マザー・テレサ」(東京書籍・H17年度版/5年)
- 発問15 カレーライスでなく焼き肉だったら,この話はおかしいですか?
- 「カレーライス」(光村図書/6年)
- 発問16 「ばらの○○」と改題するとしたら,何がふさわしいでしょうか?
- 「ばらの谷」(東京書籍・H23年度版/6年)
- 第4章 開かれた発問B 仮説検証型発問で根拠を明確にさせる
- 発問17 題名に“□な三年とうげ”と加えるとしたらどんな言葉が入るでしょうか?
- 「三年とうげ」(光村図書/3年)
- 発問18 演奏できて一番喜んだのは,誰だと思いますか?
- 「こわれた千の楽器」(東京書籍/4年)
- 発問19 ごんや兵十の次に大切な役は何でしょうか?
- 「ごんぎつね」(東京書籍/4年)
- 発問20 「だいじょうぶ」はおじいちゃんにとってどんな言葉ですか?
- 「だいじょうぶ だいじょうぶ」(東京書籍/5年)
- 発問21 この店はどこからとても怪しいと分かりますか?
- 「注文の多い料理店」(東京書籍/5年)
- 発問22 クルルは誰の力で飛び立てたのですか?
- 「風切るつばさ」(東京書籍/6年)
- 発問23 太一は誰のおかげで一人前の漁師になれたと思いますか?
- 「海のいのち」(東京書籍/6年)
- 第5章 開かれた発問C 言葉を探す過程で総合的な読みにつなげる
- 発問24 美月の正体がウサギだと分かるところはどこですか?
- 「ゆうすげ村の小さな旅館」(東京書籍/3年)
- 発問25 「こわれた」「こわれていない」に関係する表現はどれですか?
- 「こわれた千の楽器」(東京書籍/4年)
- 発問26 「ラスト」を嫌がる表現,気にしなくなった表現はどこですか?
- 「走れ」(東京書籍/4年)
- 発問27 「英雄」の「近義表現」は何でしょう?
- 「大造じいさんとガン」(光村図書/5年)
- 発問28 この物語の強調語は何でしょうか?
- 「大造じいさんとガン」(光村図書/5年)
- 発問29 竜の反対表現は何でしょう?
- 「竜」(三省堂/6年)
- 発問30 「風切る」の近義表現と反対表現は何ですか?
- 「風切るつばさ」(東京書籍/6年)
- おわりに
- ※年度表記がない教材はH27年度版になります。
はじめに
教師の発問,板書の仕方,子どものノート指導,評価など,どれも国語学習にとって大切な要素だ。その中でもどれが最も大切かと問われると,私は必ず発問だと答える。授業は教師の発問でスタートするからだ。徒競走で言うと,ピストルの合図のようなものである。絶妙な撃ち方をしたならば,子どもは何の指示をしなくても喜々として走り抜けていく。
「教師の話が多い」
「子どもが主体的に動いていない」
授業研究の後に反省としてよく出される言葉である。教師の話が多いのは,何度も確認しないと学習が成立しないからである。子どもが主体的に動いていないのは,自ら進んで考えるしかけがされていないからだ。発問を工夫することでその両方を解決することができれば,授業は子ども主体で流れるように進むはずである。
以前,向山洋一先生が発問の在り方について,
「一単元で一発問が理想だ」
と仰っていた。当時その言葉を聞いた私は,そんなものは理想論だと思っていた。授業は教師が進めるものであり,そのためには発問を頻発することやむなしと思っていた。だが,何十年と授業を行っていく中で,教師が説諭した内容など子どもの頭に残っていないことを知ったのである。子どもが見つけ出し,自分の問題として考え,試行錯誤しながらも解決していくことで,学んだことが実となるのだ。
本書で扱う“開かれた発問”はまさにそうした考えの上に立っている。発問を厳選し,子どもの問題として投げかけることで,解決の主体を担わせていくのだ。子どもが考え始め,解決に向け想像力を働かせ始めたら,後は教師が価値付けをしていけばよい。
「みんなが学んだことはこれほど意味があることだ」
と。それがこれから求められる国語の授業だと考えている。
2015年5月 /齋藤 浩
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- 明治図書
- 国語の発問について具体例やどういうスタンスを取るべきかが知りたかったのでためになりました。2022/8/2620代・男性
- 授業の進め方を見直すきっかけになった。2017/7/540代・小学校教員