- はじめに
- 第1章 ペア学習,グループ学習の活用で授業がもっとアクティブになる!
- @ペア学習やグループ学習を算数授業に取り入れる意義
- 1 子どもの状態をそろえ,立ち止まらせる
- 2 子どもの力を最大限に引き出す
- 3 苦手な子どもを授業に巻き込む
- 4 子ども同士のつながりを強める
- 5 学びに向かう力や学び合いの心を育てる
- 6 学びの基本姿勢をつくる
- Aペア学習を取り入れるポイント
- 1 子どもの組み合わせに配慮する
- 2 短時間の活動を繰り返し行う
- 3 ペアで課題を解決させる
- 4 “本当に”必要な場面で活用する
- 5 個とペアで行う学習の違いを意識させる
- 6 ペア学習の基本的な方法,手順を教える
- Bグループ学習を取り入れるポイント
- 1 メンバー構成に配慮する
- 2 目的に応じて形態を使い分ける
- 3 ペア学習と組み合わせる
- 4 グループで課題解決を行う
- 5 形態を変化・進化させる
- 6 ダイナミックに行う
- 7 グループ学習の基本的な方法,手順を教える
- 第2章 ペア学習,グループ学習を位置づけた学び合い授業の事例30
- 1年
- 「増えて増える」ときの計算をしよう!(3つのかずのけいさん)【ペア】
- 2+□=■■の□に入る数はどれかな?(たしざん(2))【ペア】
- 「もういいかい」「まぁだだよ」ゲームをしよう!(かたちづくり)【ペア】
- 影絵遊びをしよう!(かたちづくり)【ペア】
- どれが一番広いかな?(大きさくらべ(2))【ペア】
- 2年
- 丸いものの長さを調べよう!(長さ)【グループ】
- 「さわって見つけて」ゲームをしよう!(三角形と四角形)【グループ】
- 6枚の面を選んで箱の形をつくろう!(はこの形)【ペア】
- 3年
- どの木のまわりの長さか調べてみよう!(時間と長さ)【グループ】
- おだんごゲームをしよう!(あまりのあるわり算)【ペア】
- あまりの3をどうすればよいのかな?(あまりのあるわり算)【ペア】
- 1Lマスを早くいっぱいにしよう!(小数)【グループ】
- 答えはいつも同じように減るのかな?(2けたをかけるかけ算の筆算)【グループ】
- 買い物で役立つ暗算の仕方を考えよう!(トピック教材)【ペア】
- 4年
- あまりの数からもとの数がわかるのはなぜ?(式と計算の順じょ)【グループ】
- 「1cm2のいくつ分」で面積を考えよう!(面積)【グループ】
- 長方形で正方形をつくろう!(面積)【グループ】
- 「だいたい500」をつくろう!(がい数とその計算)【ペア】
- 分数ババ抜きをしよう!(分数)【グループ】
- どの部分が2ずつ増えるのかを考えよう!(変わり方)【ペア】
- まぼろしのモンスターを閉じ込めよう!(直方体と立方体)【グループ】
- 5年
- 矢じり形は本当に敷き詰まっているの?(合同な図形)【グループ】
- たしてもひいてもなぜ偶数にしかならないの?(整数)【グループ】
- じゃんけんゲームの勝者はどっち?(平均とその利用)【ペア】
- 6年
- 拡大図と縮図のかく方法を編み出そう!(図形の拡大と縮小)【グループ】
- 一番速いのはだれかな?(速さ)【ペア】
- 全部数えないで300枚の画用紙を用意しよう!(比例と反比例)【ペア】
- 情報提供コンサルタントに挑戦しよう!(資料の調べ方)【グループ】
- 表をかいてきまりを見つけよう!(変わり方を調べて(2))【ペア】
- どうしてどちらも24通りになるのかな?(場合を順序よく整理して)【ペア】
はじめに
「これが完結編だ」という思いでまとめたのが,昨年出版した「算数学び合い授業」シリーズの第3弾『算数学び合い授業パーフェクトブック』でした。しかし,第1弾『算数学び合い授業スタートブック』,第2弾『算数学び合い授業ステップアップブック』を含め,冷静に読み返してみると,もう少し掘り下げて触れておきたかったなと思うことがいくつかありました。
その中の1つが,「ペア学習」と「グループ学習」でした。
学校現場では,「学び合い」というと,即ペア学習,グループ学習と思われがちです。もちろん,ペア学習もグループ学習も学び合いの重要な手法の1つです。しかし,単にペア学習を取り入れたから,グループ学習を取り入れたからといって,それが必ず有効に機能するとは限りません。形式的に取り入れるだけでは,子どもの学びは深まらないのです。
また,新しい学習指導要領が目指すところの「対話的な学び」を実現するためにも,ペア学習やグループ学習の質の高まりは必須です。
この算数学び合い授業シリーズ第4弾『ペア学習&グループ学習でつくる 算数学び合い授業アイデアブック』はそんな思いの中から生まれました。
本書は2章構成になっています。
前半の第1章では,まず,ペア学習やグループ学習を算数授業に取り入れる意義を,「子どもの状態をそろえ,立ち止まらせる」「子どもの力を最大限に引き出す」など6つに整理し,提起しています。
また,ペア学習を取り入れるポイントやグループ学習を取り入れるポイントも改めて整理し直し,提案しました。実践に移すうえで必ず押さえておきたいポイントばかりです。
この第1章を受ける形で,第2章「ペア学習,グループ学習を位置づけた学び合い授業の事例30」は構成されています。
1年の事例5本は,子どもの発達段階に配慮して,すべて「ペア学習」を位置づけた学び合い授業です。2年から6年までの計25本には「グループ学習」を位置づけた事例もたくさん紹介しています。
これらの事例は,ペア学習やグループ学習の意義を理解し,取り入れるポイントを明らかにしたうえで授業計画を立て,実践に取り組んでもらったものばかりです。ですから,事例の中の写真も,実践のポイントになる場面がうまくおさめられています。おそらく,写真を見るだけでも,授業のイメージが自然とわいてくると思います。
ペア学習やグループ学習について今一度整理する意味でも,まずは第1章に目を通していただければと思います。
第2章の事例については,順番に読んでいってもよいですし,興味を引かれた単元,授業から読んでいただいても結構です。また,ペア学習だけ,グループ学習だけ読んでいっていただくのもよいと思います。きっと目を通す中で,「なるほど,ペア学習やグループ学習は,こうやって仕組めばいいのか」と改めて気づき,ひらめくことがあると思います。
実践後,執筆にかかわった多くの授業者から「本当に授業が変わってきた。アクティブになった。だから,子どもがこれまで以上に生き生きと活動していた」といった感想が聞かれました。このように,この本が読者の先生方のこれからの授業改善に少しでもお役に立てればうれしい限りです。
最後になりましたが,本書の刊行に当たり,明治図書の矢口郁雄氏には,企画の段階から数多くの助言や励ましをいただき心より感謝申し上げます。これまでのシリーズ同様,大変お世話になりました。
2018年5月 /宮本 博規
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- 明治図書
- 役に立ちました。2020/5/940代・小学校教員
- 本年度、学校の研究テーマがペア・グループ学習の活用なので、本書を購入しました。ペア・グループ学習の効果的な活用の仕方が書いてあり、実践に役立てています。若い人にも紹介しました。2019/6/1650代・小学校教員