- はじめに
- 第1章 図解で見る!教材の構造と組み立て6のステップ
- @ステップ1 学習指導要領「内容・指導事項」のチェック法
- 1 「内容・指導事項」こそ授業の心臓部分
- 2 逆ピラミッド図で指導事項をフィルターにかける
- Aステップ2 教科書を分割して読み取る
- 1 単元をいくつかのパーツに分ける
- 2 フレーム図で構成を明確にする
- Bステップ3 教材の活用方法をはっきりさせる
- 1 教材を「メイン」「補助」「分割」「発展」のいずれかで活用する
- 2 イメージマップ図で教材のもつ可能性を探る
- Cステップ4 読む人物像を変えてアプローチする
- 1 個人・子ども・研究者の3つの目で読む
- 2 ロジックツリー図で教材の中心をとらえる
- Dステップ5 教科書を比較してみる
- 1 “同目標・異教材”から発見する
- 2 ベン図を使ってポイントをつかむ
- Eステップ6 子どもの実態と関連付ける
- 1 子どもはこの教材とどう関わるかを考える
- 2 バランススコアカード図で子どもの思考を想像する
- 第2章 図解で組み立てる!授業づくり6のステップ
- @ステップ1 子どもの思考をスパークさせる発問探し
- 1 教材文から5W2Hの視点で見つける
- 2 マトリクス図を使って極上の問いを見つける
- Aステップ2 ダイナミックに授業を盛り上げる言語活動を位置付ける
- 1 目的を子どもと共有する(集める・束ねる・吟味する・発想する)
- 2 プロ・コン図で最適な言語活動を選ぶ
- Bステップ3 「1時間で授業できないか?」と考える
- 1 もし単元を1時間で授業するなら何に何分かけるか?
- 2 ポジショニングマップ図で学習のダブりをなくす
- Cステップ4 1枚のシートに単元設計図を描く
- 1 鳥瞰の視点でゴールまでの道筋を見通す
- 2 物語文はフィッシュボーン図で描く
- 3 説明文はフィッシュスタイル図で描く
- Dステップ5 3つの型で授業のコントラストを決める
- 1 目標・内容・活動によって授業の雰囲気を変える
- 2 ラインチャート図で授業の山場を決める
- Eステップ6 3つのモノを準備する
- 1 国語授業を多角的にする
- 2 パイチャート図でモノを選りすぐる
- 第3章 図解で見える化する!教材研究・授業構想36のステップ
- @物語文の教材研究・授業構想12のステップ
- 1 物語文の教材研究6のステップ
- ステップ1 『かさこじぞう』の授業は“おもしろさを見つける”というねらいを突き詰める
- ステップ2 挿絵の多さに着目する
- ステップ3 本文を「補助」ととらえ次の展開をイメージする
- ステップ4 子ども目線の<おもしろさ>と研究者目線の<価値>を融合させる
- ステップ5 教科書比較で,「ねらい」「言語活動」をつかむ
- ステップ6 学級の実態から「会話」の扱いを重視する
- 2 物語文の授業構想6のステップ
- ステップ1 じいさま・ばあさまの究極の人間性に気付かせる発問づくりをする
- ステップ2 「集める」をメインに音読紹介活動へとつなげる
- ステップ3 音読と読み取り,どっちにウエイトをかけるべきかを決断する
- ステップ4 音読の楽しさ・ストーリーの楽しさを柱に組み立てる
- ステップ5 低学年は2つの盛り上がり地点をつくる
- ステップ6 実物大の地蔵絵の持ち込みを計画する
- A説明文の教材研究・授業構想12のステップ
- 1 説明文の教材研究6のステップ
- ステップ1 「自分の考えを明確にして書ける子に」を導く
- ステップ2 扉パーツで単元を貫く課題及び道筋を見いだす
- ステップ3 本文をメインにすえて,あらゆることをイメージし尽くす
- ステップ4 イースター島が陥った厳しい状況へと焦点化する
- ステップ5 「〜についての考え」が生まれる授業構成へ
- ステップ6 最後の2文をとらえる力があるかどうかを見極める
- 2 説明文の授業構想6のステップ
- ステップ1 「重要で易」「重要で難」の2つの発問を導く
- ステップ2 討論して吟味する流れをつくる
- ステップ3 「森林消失の原因」と「今後の取組」についての思考配分を考える
- ステップ4 本論をできるだけ簡潔にとらえて意思決定へと
- ステップ5 十分な準備と布石のもと,授業中心で盛り上がり場面を!
- ステップ6 地球温暖化問題をイメージさせるモノを準備
- B詩の教材研究・授業構想12のステップ
- 1 詩の教材研究6のステップ
- ステップ1 指導事項「想像力」をどこまでも具体化する
- ステップ2 シンプルなつくりを想像力で補う
- ステップ3 分割した連ごとにイメージをふくらませる
- ステップ4 個人の経験・子どもの心情・研究者の分析を絡める
- ステップ5 「ぼく・わたし」に焦点があたっている点を見逃さない
- ステップ6 子どもはどこまで経験しているかを把握する
- 2 詩の授業構想6のステップ
- ステップ1 拡散と集中の発問を考える
- ステップ2 自分を前面に出せる言語活動を組み,詩への親近感を生む
- ステップ3 連続する2つの詩には7対3の割合で
- ステップ4 マンダラチャートで設計図をつくる
- ステップ5 音読・解釈・自己表現それぞれに山場づくり
- ステップ6 教材に迫るなら写真・絵画,表現の工夫に迫るなら詩集を準備
- おわりに
はじめに
いきなり質問です。今,先生は国語授業づくりで何を頼りにしていますか。
A 指導書
B 先輩教師からの教え
C 本や研修会での学び
私もこれら3つの方法で,どうにかこうにか国語授業を続けてきた一人です。特に数々の教育書及び研修会で登壇された一流の講師の方々にはずいぶんとお世話になってきました。
ただ,そんな恵まれた環境にあったにもかかわらず,常にある不満がありました。それは
国語の教材研究及び授業構想の際に使っている具体的な技術・細かな手順がはっきり見えない
ということです。
無論,これは私の理解力が低いことが一番大きな原因ですから,教育書や講師のせいではありません。
しかし,他教科に比べると分かりにくい面があることは否めません。それはなぜでしょうか。
いろいろ考えた結果,それは授業づくりの手順が“見える化”されていないのだ,という結論に達しました。
例えば,国語における伝統的な教材研究といえば,「教材文の音読→視写→語句調べ→気付きの書き込み→発問づくり」という流れが一般的です。私がまだ20代の頃,先輩教師の研究ノートを見せてもらうと,あるページには教材文の写しと気付きが,あるページには発問やら指導計画やらが書き込んでありました。「教材研究とはこうやってするんだ」「授業をつくるってこんな作業をするんだ」と深い感銘を受けました。
しかし,この段階以降はすぐに指導案形式に変わってしまいます。教材研究から授業づくりまでの間にどんな技術や手順があるのかが私には見えませんでした。これは当然のことで,“人に見せる・伝える”ことを前提に教材研究をしている教師などいません。指導案は他の教師が読んで分かるように書かれますが,それ以前の作業は自分にだけ理解できれば十分なのです。
“なんとか授業づくりのプロセスが見えるようにならないか”
こんな思いを実現するために始めたのがズバリ“図解化”で行う教材研究・授業づくりです。こう書くと何かハイレベルなことを始めたかのように受け取られるかもしれませんが,実は,ほとんど落書きレベルの図解をやっていたに過ぎません。
最初は落書きレベルの図解でしたが,そのうち,だんだんと使う場面・使い方・手順が整理できるようになってきました。
それが本書で紹介する教材研究と授業の組み立て方に関するステップとわざです。
これらは授業づくりまでの手順を示していますが,一つ一つの図解化は教材研究・授業構想をする際の独立した技術としても使えるようになっています。
よって,研究授業をする時には気合いを入れて全ステップを通してみるというのもいいでしょうし,普段の授業ではこの中から必要な部分のみをピックアップしてやってみるという使い方も可能です。ぜひご自身の国語授業づくりに生かしてください。
これまで受け継がれてきた伝統的な教材研究も大事にしつつ,さらに新たな地平に挑む図解化による教材研究・授業づくりがプラスアルファされるならば,国語授業はまだまだ発展・進化を遂げていくことと思います。
2015年8月 /内山田 博文
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- 明治図書
- 指導要領と連携した部分がなるほど!と感じた内容だった。内容が少しレベルが高く、自分も少しレベルアップしないといけないなと感じた。2016/3/530代・小学校教諭
- 国語の教材研究の仕方が具体的に書かれていて、勉強になりました。2015/10/1030代・小学校教員
- 国語の教材研究の仕方がとても参考になりました。2015/10/330代 小学校教諭