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授業づくりの知恵60

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好評3刷

インタビュー掲載中

すべての授業づくりの指針となる!珠玉の知恵

目指したい子どもの姿・避けたい声がけ・心得ておきたい要点など、授業づくりで押さえておきたい「知恵」を、「語録」の形で分かりやすく紹介。具体的なエピソードとともに示される60の知恵で、授業づくりの本質に迫る!


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ISBN:
978-4-18-176845-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
3刷
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年11月14日
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目次

もくじの詳細表示

少し長いまえがき
授業づくりの知恵60
教師の話法
知恵1 「しなさい」ことばを「いざない」ことばに変える。
知恵2 一番学ばせたいことは尋ねるかたちで取り上げる。
知恵3 まず数人に問いかけ、応答をしてから要点を示す。
知恵4 余談を用意しておく。
知恵5 声の高さを半音上げ、文末をはっきりと話す。
知恵6 全体に伝えるべき話は個に向けて。個に伝えるべき話は全体に向けて。
知恵7 むやみに子どもに謝らない。
知恵8 長い説明を要するものは一言に。一言で説明できるものは詳細に。
知恵9 子どもの発言にはリヴォイシングとフォローアップで。
知恵10 導入時の問いかけは一言で答えられるものにする。
知恵11 うるさい教室ではささやき声で。
知恵12 一度口にして実行したルールは守る。
知恵13 一つの問いで答える要素は一つ。
知恵14 自分のことをむやみに「先生」と言わない。
知恵15 片隅のつぶやきに耳をそばだてる。
知恵16 ユーモアのセンスを磨く。
言語活動
知恵17 「どうすれば」の前に「どうしてか」と考える。
知恵18 集団での学びはシンメトリーに。
知恵19 「たてちとつ」と唱えて教壇に立つ。
知恵20 基本となる「型」を示す。
知恵21 イージーな活動ではなく、シンプルな活動を目指す。
知恵22 今日のこの授業は一人に捧げる。
知恵23 自分が子どもだったらやってみたくなることをする。
知恵24 子どもを驚かせて楽しむ。
知恵25 問いで始まり、問いで終わる。
知恵26 導入部で行う確認のための問答は、指導計画を狂わす元凶。
知恵27 活動は、まず最初にやってみせ、到達すべきゴールを示す。
知恵28 子どもにさせることは、事前に教師がやっておく。
知恵29 活動すること自体を目的にしない。
知恵30 誰の発言か分かるようにしておく。
知恵31 「他者のことば」を見つける。
知恵32 グループに配布する資料は一つ。
知恵33 心落ち着かない学級ではしみじみと読んで聞かせる。
知恵34 二人一組で学ばせる。
知恵35 黒板とワークシートは脳の中の構造図と同じ。
知恵36 段落構成や論理展開を読む学びは「書くこと」と連動させる。
知恵37 書く気になるまで書かせない。
知恵38 「指示」か「示唆」か「提案」かで子どもの選択権が変わることを知る。
知恵39 話しことばと書きことばの違いを「ことばの働き」としてとらえる。
知恵40 「充実した沈黙」の時間を大切にする。
知恵41 抽象的な問題は具体的な経験に。具体的な事例は抽象的な論理に。
知恵42 同じ見解同士は相違点を、違う見解同士は共通点を考える。
知恵43 AとBに分けるのではなくAとAでないものに分ける。
知恵44 リアルを追求する。
評価
知恵45 分からないというつぶやきから始まる学びをとらえる。
知恵46 創作は過程で厳しく評価し、完成作品は心からほめる。
知恵47 悔しい思いをさせる。
知恵48 150円に50円足しても200円のガチャガチャは買えない。
知恵49 答えはいくつあってもよいが、無限ではない。
知恵50 真理追究の学びとは、「迷う」こと。
知恵51 グループ活動の全体評価は「湯桶」の例えで説明する。
知恵52 誰から見てもだめな結果を無理してほめない。
知恵53 結びの場面で「いっぱい意見が出た」「よく手が挙がった」と言わない。
知恵54 添削は、表現者の心を思いやる作業。
知恵55 ほめるときは間接的に。叱るときは直接本人に。
知恵56 目指す姿を自分の中に作る。
知恵57 「この人にここを評価してほしい」と言わせてから相互評価を行う。
知恵58 子どもたちが自分の学びを評価するための語彙を豊かにする。
知恵59 子どもは教師を簡単に超えてしまう。
知恵60 希望は苦しみの中にある。
あとがき
参考文献

少し長いまえがき

 本書を上梓した二〇一四年度、私は高校教師として勤めた年数と大学教員として勤めた年数とが重なりました。この間、全日制普通科高校、単位制定時制高校のそれぞれ国語科教師を経験し、大学教員になってからは学部、大学院の授業担当はもとより、各地の小・中学校の授業訪問を重ねてきました。自ら小・中学校の教壇に立つことも、毎年欠かさず行ってきました。二〇〇三年からは海外の学校を訪問して授業を参観するという経験が加わりました。訪問国は、イギリス、フランス、アメリカ合衆国、オーストラリアなどです。特にイギリスは二〇〇六年から毎年通い続けており、今年でのべ十回目となります。その中で、深いかかわりを持つ小学校については、本書で紹介します。

 校種や国を越えて授業を経験すると、学びの場における違いの大きさに驚かされます。誰もが知るところの違いを挙げれば、日本では小学校は原則として学級担任が一人で全教科を担当するのに対し、中学高校では教科担任制をとっています。この点は欧米でも同様ですが、イギリスの小学校ではほとんどの場合、一つの学級にアシスタントの先生が最低一人はついています。フランスの小学校では、二年間に限って留年することが認められています。移民の多い国なので、留年して学力の基礎・基本を身につけることは、一種の権利とみなされています。それから、欧米の中等学校にはいわゆるホームルーム教室はありません。教室は教科の部屋として振り分けられ、理科や音楽と同様に、生徒が移動して授業を受ける形式になっています。

 イギリスやオーストラリアの初等中等学校には日本のような「卒業」という概念がありません。卒業式という儀式が一般的に存在しないのです。また、欧米諸国に教科書検定制度はなく、教科書やワークブックは数ある出版物の中から学校が独自に購入します。そのため、年に何回か教科書フェアというイベントが開催され、数百の教科書出版社が巨大な体育館のような施設に集まり、ブースを設けて自社の出版物を宣伝します。教科書の購入だけではなく教員を雇うのも学校です。予算の使い道は、基本的に管理職が決めます。

 授業の進め方も、校種や国によってさまざまです。日本の小学校では学級ごとにカリキュラムを設計するのが普通です。一組では豚を飼い、二組ではハムスターを飼って総合的な学びに生かすというのは、小学校ならではの風景です。これに対して中学や高校では、定期テストがある関係で、多くの学校が共通のカリキュラムを設けています。テスト問題まで共通という学校も少なくありません。そのため、教科書教材の進度を合わせたり、補助資料を一緒に作成したりします。平等と公平の点から見ればしかたありませんが、先生方や学級の個性に応じた学びはなかなかできません。この点は、例えばイギリスも同様です。イギリスの中等学校は、一般的に十二歳から十六歳までの子どもたちが通い、十六歳のときにGCSEと呼ばれる学力認定試験を受けます。この試験で得た成績によって、中等学校卒業相当という資格が与えられます。もちろん、その後の進路も決まってきます。詳しい内容を聞いてびっくりしたのは、GCSE試験を実施するのが国から認可された民間団体だということです。試験団体の一部は教科書の出版社が経営しており、自分たちが実施する試験に準拠した教科書を売っています。例えばエデクセルという試験団体が実施するGCSE試験を取り入れている中等学校は、この試験団体を経営するピアソン社の教科書を使わないと困ることになります。

 教室に黒板とチョークがある風景は、欧米各国ではほとんど見かけなくなりました。あるとき、イギリスの小学校で黒板にチョークの教室を見かけ、「この部屋は日本と同じですね」と歓声を上げたところ、担任から「いや、この学年ではビクトリア朝時代の暮らしを学ぶために、昔の教室風景を再現しているのです」と説明を受けました。黒板が消滅してどうなったかというと、電子黒板が導入されています。ICTの活用は、アメリカの最先端の学校を訪問すると信じられないレベルで進められています。ある学校では、学校システムそのものをデジタル化し、一人一人の子どもにおける学力や学び方の特徴を学校外にある巨大なコンピュータに集約し、過去のデータから最も効果的な教材と学習形態を割り出し、同じ授業時間に異なった教材と学び方(マンツーマン、小集団討議、講義など)を提供していました。教室は体育館のような広いスペースをなし、学び方に応じていくつかのブースに区切られています。そして、教室入り口の電光掲示板に個々の学習場所とメニューが、さながら空港の出発便リストのように表示されます。

 一斉授業は、どの国でも行われます。ただし、その形態はさまざまです。私が定期的に訪問するイギリスのいくつかの小学校では、一斉授業として先生の話を聞くときは、机から離れます。電子黒板の脇に座っている先生のそばに皆が集まり、カーペット敷きの床にぺたんと座って話を聞き、質問に答えます。発言するときに手を挙げるルールは日本と変わりありませんが、人差し指をピンと立てます。教師がもっぱら話をするという風景は、中等学校の場合ですと洋の東西を問いません。ただし、教科内容を見ると、かなり違いのあることに気づきます。一番違うのは、欧米では、「国語」にあたる教科がいわゆる実用的な「国語」と文学との二つに分かれていることです。前者では、話すこと・聞くこと、書くこと、読むことなど、日本の国語科とおおむね似た教科内容で展開しますが、後者は、名だたる詩歌や小説、戯曲などをテキストとして、作品解釈と鑑賞が行われます。日本のように登場人物の気持ちを問う課題もありますが、フランスでは文学に内在する表現手法が中心的に扱われます。視点、話者、設定、レトリックなどです。イギリスも同様で、ある女子中等学校ではサスペンス小説をテキストにして読者を怖がらせる表現手法が学ばれていました。

 さて、こうした違いを知る一方、校種や国を越えて普遍的に存在する要素に気づく機会もまた、少なくありませんでした。例えば、級友の話を静かに聴くことはすべての授業で大切にされています。ただしそれが実現している教室と、していない教室とがあることも世の常です。特に、学習障がいを持った子どもたちのいる学級や、荒れた地域の中学・高校では、静かな教室を維持することなど夢のまた夢という現実があることも、事実でした。私自身、そういう教室に絶望しかかった経験を有しています。

 ところが、長くいろいろな教室を訪問しているうち、どういう環境でも、そこにいる子どもたちが人の話をきちんと聴く姿勢のできている学級が存在することを知ったのです。そしてそのような学級には、いくつかの共通点が存在することに気がついたのです。

 その一つは、教師がささやくように話すという共通点です。私は最初、それは子どもたちが静かにしているからできるのだと思っていましたが、違うのです。胸が躍るような活動が指示され、いっとき騒然とする状況を呈しても、子どもたちに聴く力を育てている先生は、叫んだり怒鳴ったりしません。静かにカウントダウンするか、ときには独特なリズムの拍手をしたりもしますが、先生の発する声自体はきわめて穏やかです。ただ、子どもたちの人権をどこまでも尊重している印象を与えてくれる声で話す内容は、しばしば厳しいものがありました。例えばある小学校で話し合いを参観した折のこと、Aさん、Bさん、Cさんと順番に発言した後、先生から「今、話した三人に質問をどうぞ」という問いが示されました。自分の番になったら何を言おうかということで頭がいっぱいだった子どもたちは、すぐさま手を挙げることができません。すると先生は、穏やかな声でこうおっしゃったのです。

 「誰も手が挙がらないのは、お友達の話が十分に分かったということですか? それとも、三人の発言には興味がないということですか?」

 あわてて手を挙げる子どもたちの顔には、彼ら自身が、人の話を聴くということをどれほど大切なことだと考えているかがはっきりと書かれていました。

 こういう経験と発見は永年の教師経験を通して蓄積し、私の中で「授業づくりの知恵」としてたまっていきました。そうして、いつの頃からか、大学で国語科教師のための実践的な授業を進めているときや、先生方を対象にワークショップをしている場面などに、その知恵が口をついて出てしまうようになりました。学生たちは、それを私の「語録」としてノートに書き留め、実習の役に立てようとします。先生方でも、特に若い先生は「へー」という顔をしながら、「同じ意見は違いを、違う意見は共通点を考える」などと、資料の脇にメモしていました。

 こうして、教師になってから丸々三十年が経ちました。

 三十年という時間を経て本書を上梓することにしたのは、何かの必然かもしれません。明治図書の林さんから出版のお誘いを受けてから脱稿するのに半年ほどかかりましたが、執筆の作業は楽しい時間でした。これを手にとって下さった皆さんに感謝します。そして、本書で示した知恵のいくつかが、皆さんの明日の授業に役立つのならば、そのとき私がこのなりわいに打ち込んできた意味が立証されることになります。


 本書には全部で六十項目の「授業づくりの知恵」が掲載されています。私がどこかで耳にしたり、自分自身でことばにしたりしたものがごちゃごちゃになっています。ただし、すべて実際の授業場面で経験したことによって裏づけられています。基本は国語科の授業づくりをイメージしていますが、目次をご覧になると分かるように、さまざまな実践場面で活用できるはずです。読者の皆さんは、どのページからどのような順序で読んでも構いません。一応、「教師の話法」「言語活動」「評価」に分類しましたが、授業は全一的ないとなみなので、必ずしも厳密に分けたものではありません。特に、最後の【知恵60】は、実はどれにもあてはまりません。これは教師として生きることが苦しくなったときにあなた自身への評価言としてお読み下さい。六十の知恵は、すべて見開き二ページに収まっています。読み終わるのに長くとも五分ぐらいのはずです。一日一話というペースですと二か月かかりますが、半日かければ一日で読み終えることも可能です。どういうペースで読むか、これも読者の皆さんにお任せします。できれば同僚や友人と読み合い、「この知恵はいただきだね」とか、「この知恵はうちでは使えないね」などと批評するのもいいですね。そうして、読者の皆さんのオリジナルな知恵を書き足して下さい。

 ページの割り付けは次のようになっています。

  ○見出し:授業づくりの知恵を、簡潔に覚えやすくキャッチフレーズのように記してあります。

  ○本文:四百字詰め原稿用紙にして三枚強の本文で、知恵の中身を解説しています。

  ○写真とイラスト:基本的に、本文にかかわりのある写真とイラストを添えてあります。

  ○授業づくりのポイント:知恵を実際に使っていくための心構えや方法を三つ提案しています。


 本文中、児童・生徒・学生は、基本的に「子どもたち」と統一しています。二十歳近い学習者を呼ぶのにはふさわしくないかもしれませんが、知恵はすべての実践場面で参考になるものを目指していますので、あえて統一しました。また、本書で言及する言語、言葉遣い、文章、文、単語などの用語は、基本的には、「ことば」と一括してあります。

 本文で使う個人名は、差し障りのない範囲内で実名にしてあります。ただし、子どもの名前等は仮名です。また、掲載した写真は、すべて掲載許可を得たものです。

著者紹介

藤森 裕治(ふじもり ゆうじ)著書を検索»

信州大学教育学部教授

筑波大学卒業,上越教育大学大学院修士課程修了

博士(教育学,2008年,筑波大学)

東京都立高等学校教諭を経て,現職

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 筆者の優しさが感じられる文体で、読みやすかったです。
      2019/10/2240代・高校教員
    • 小、中、高校の教師のどの教師も参考になる内容でした。
      2017/7/16神戸 男性
    • 授業づくりに関して基礎基本から、普段心がけるべきことや、ヒントが実践に基づいて書かれていて参考になった。
      2016/12/820代社会科教員
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