- はじめに
- 1章 「できにくさ」のある子の行動と学び
- 1 教室を飛び出す子
- 2 人生の分かれ道
- 3 学びのスイッチ 「育ちの力」が動き出す時
- 4 みんなと共に(一番病)
- 5 やりたいんだけどできないんだよ
- 6 発達障害の「できにくさ」って何?
- 7 トラブルからポジティブな行動や学びへ
- 2章 ポジティブな行動と学びを支える150のサポート術
- 1 指示理解を促すサポート
- 1 注意喚起
- 話を聞こう!注意のスイッチをONにしよう!クラスみんなの注意が集まるような間合いと声かけ。
- 2 わかる指示
- 指示は,シンプル&コンパクト。子どもがわかる語彙や内容を伝えよう。一つの指示に一つの動作。
- 3 見える指示
- 見てわかるメディアで伝えよう。指示を伝えるメディア(媒体)の工夫で理解がアップ!
- 4 残る指示
- 指示を形と記憶に残そう。聞き逃し,見落としがあっても,指示の内容が残っていれば大丈夫!
- 5 一斉の活動
- 一斉の活動でスイッチON!一斉の活動は,モデル・行動の見守り・クラス全体のエネルギーになる。
- 6 ほめことば
- ほめて,やる気を増やそう!モデルとなる行動をほめると,やってほしい行動が子どもに伝わる。
- 7 ゴールまでの見通しクリア
- 活動のスタートからゴールまでの道筋を明確にしよう。先が見える(クリア)と活動しやすい。
- 8 行動のスイッチ
- 行動のスイッチをONにしよう。「いつ始める」かをはっきり伝え,すぐに行動できる合図と約束作り。
- 9 次の活動
- 次の活動をあらかじめ伝えよう。次の活動へのスムーズな流れが活動性アップにつながる。
- 10 リカバリー
- たとえ活動に遅れても取り戻せる手がかりを作ろう。わからなくなった時の手がかりと約束を作る。
- 11 ルーティン
- 同じ内容,同じやり方の繰り返しの活動から始めよう。決まった流れ(ルーティン)は,活動しやすい。
- 12 フェードアウト
- 少ない指示でも活動できることを目指そう。サポートでの活動から「自分での活動」へ切り換え,子どもの様子を見ながらサポートを少なくしていく。
- 2 課題遂行のサポート
- 13 ウォーミングアップ
- 事前に気持ちの構えを作ろう。活動の始めに,活動への動機や本人にとっての活動の意味を作る。
- 1 注意喚起
- 最初に注意を引こう。活動の大事な情報に意識が集中できると上手に活動できる。
- 14 ガイド(教示)
- 全体的な活動の流れを理解して課題をGO!活動の意識化,言語化,内言化を図る。
- 15 構成的な説明
- 話し方のパッケージを決めよう。話す内容の枠組み(タイトル,ポイント,手順,訳)が決まっていると情報をキャッチしやすくなる。
- 16 プランニング
- 活動の手順を伝えよう。事前の活動,活動の手順,次の一手を理解して,活き活きした活動へ。
- 17 シミュレーション
- 活動の前に練習してみよう。事前の練習から行動のポイントや注意をつかんでいく。
- 18 注意と訳
- 注意,ルール,訳(意味)を事前に伝えよう。事前に気をつけることがわかって成功体験へ。
- 19 セントラル・コヒーレンス
- 大事なポイントや優先順位を伝えよう。全体の流れの中のどこが大事かを伝えて,活動充実へ。
- 20 指示内容の確認と記憶
- 指示の内容を確認し,記憶に残そう。課題の内容,やり方を確認しながら記憶を高める。
- 21 モデルの提示
- 活動のモデルを見せよう。活動の見本が見えると活動しやすくなる。
- 22 手がかり
- 活動の手がかりを伝えよう。活動のやり方がわかり,活動内容の見通しを持てる手がかりを作る。
- 23 所作
- ていねいな所作を意識しよう。ていねいな活動ができると気持ちも落ち着く。
- 24 リード
- 時には,誘導(リード)しよう。タイミングの良い,リアルタイムのリードで救われる。
- 25 ワンスプーンシュガー
- 苦手なことほど楽しくしよう。苦手な活動への心配りと楽しく活動できる工夫をする。
- 26 パターン
- 同じ行動のやり方(形式)からやってみよう。形式化された活動は実行しやすい。
- 27 タイムラグ
- 本人なりの活動の経過を見守ろう。反復の必要性や本人なりのスピードを配慮する。
- 28 量の配慮
- 課題の範囲や量を調整しよう。「できそう」と感じられると,活動への不安と抵抗感が減ってくる。
- 10 リカバリー
- 困った時には助けよう。困っていることの見守り,「助けて」を伝えられる安心感を大事にする。
- 29 試行錯誤の見守り
- 子どもなりの試行錯誤を見守り,応援しよう。「どれどれ?」の気持ちが,子どもを育てる。
- 30 リフレッシュ
- 活動の切れ目に気持ちを切り換えよう。途中の励まし,スイッチの入れ直しで集中が持続する。
- 31 ゴールクリア
- ゴールへの見通しを持とう。ゴールできるイメージが活動を支え,課題達成の証が次へのエネルギー。達成時には「クリア」の声かけをする。
- 32 特性を活かす
- 得意なやり方を見つけよう。特性を活かした活動のやり方,得意なことならがんばれる。
- 33 証・記録
- 自分の成長の記録や証を残そう。前志向的(次に活かせる)な記録は,次への糧となっていく。
- 34 飛躍
- 「エイッ」と課題を飛び越す瞬間のひと押しをしよう。新しい自分への挑戦が生まれてくる。
- 3 学び・考える力のサポート
- 35 構造化
- 活動の内容ややり方をわかりやすくしよう。空間,道具,時間,活動内容などの構造化。
- 36 活動の流れとリズム
- 活動に緩急のリズムを作ろう。授業には,準備・気づき・思考・交流・整理・反復・般化の流れ。
- 37 ノイズカット
- 刺激(音・声,光,文字,絵など)を調整しよう。安心,快適な環境作りが落ち着いた思考の土台。
- 38 マスキング
- 情報量をコントロールしよう。情報の見える部分と見えない部分を作り,わかりやすくする。
- 39 スコープアイ
- 「ここだけは」のポイントを明確にしよう。その子に合わせて,情報を焦点化して伝える。
- 40 学習内容の視覚化
- 学習内容を視覚化,図式化しよう。色を使った手順,ポイント箇所を示す。罫線,マス目の調整。
- 41 動作化
- 学習内容を動作にしてみよう。授業に動作,五感を使う活動,劇化を取り入れる。
- 42 ポイント・キーワード
- 手順,文脈のつながりをキーワードで伝えよう。長い文脈もキーワードで整理し,確認する。
- 43 学習のよりどころ
- わからなくなった時のよりどころを作ろう。解決の方策を思い出す学習のよりどころを作る。
- 44 イメージトレーニング
- 活動を頭と心で再現してみよう。学習内容を頭の中で思い出し,何回も繰り返す。
- 22 思考と活動の手がかり
- サポートカード,ヒントカード,手がかりの場所(教科書,ワークシート,友だち)を作ろう。
- 45 ルール
- ルールを視覚化し,自己チェックしよう。あらかじめルールを明確化し,意識を高める。
- 26 学習パターンの利用
- 学習形式の繰り返しから学ぼう。適切な学習パターン(マッチング,モデル,記憶,メモ)の活用。
- 46 フォーマット
- 活動の書式,行動の形式を整えよう。活動の枠組みが規則性,約束,パターンになっている。
- 47 ジャストステップ
- 「ちょっとがんばればできそう」な課題(挑戦すればできる課題)にしよう。
- 48 足がかり
- 「今できること」から学習を始めよう。どこまでできているのかを把握する。
- 49 スモールステップ
- 課題の難しさを一人一人に合わせよう。課題を小さな目標に分ける。低次から高次へと発展させる。
- 50 インスタントサクセス
- 「すぐに成功できる活動」から始めよう。小さな成功体験が大きな成功体験につながっていく。
- 7 見通しクリア
- 課題の内容,量,範囲など見通しを持たせよう。
- 10 リカバリー
- 「間違ってるよ」と指摘するより,「〜すればできるよ」と手がかりを伝えよう。
- 51 板書
- 学習しやすい板書にしよう。構造的,リカバリーの手がかり,視覚的,思考の結晶が見える板書。
- 52 ワークシートの活用
- ワークシートを工夫しよう。穴埋めキーワード,メモ,クイズ,写し,まとめ,文脈の誘導など。
- 53 ノート
- うっとりするノートを書こう。思考の補助,思考の歴史,学習の証としてノートを活用する。
- 54 シンプルから応用
- 難しい問題は,シンプルにしよう。問題文をシンプルにして関係性をつかみやすくする。
- 55 思考の二人三脚
- 子どもと一緒に思考しよう。上手な「合いの手」が思考の補助,整理,飛躍を支える。
- 56 類似問題の反復
- 類似問題を見つけ,反復学習しよう。似た問題の反復から,わかる手がかりが見つかる。
- 57 アルゴリズム
- 活動手順をキーワードで繰り返そう。問題を解く手順をキーワードで理解する。
- 58 「調べる」の活用
- 調べる活動を習慣にしよう。自分で調べる機会を作り,辞書や資料集を活用できる環境を作る。
- 59 グループダイナミックス
- 集団(人との関わり)の力を活かそう。協力,協働,サポーター作り,「わかったの余波」で気づく。
- 60 小さな○,小さな成功体験
- 少しのがんばりを評価しよう。小さな成功体験が認められるとやる気がアップする。
- 61 3色の答え合わせ
- 赤○,青○,緑○,3段階の○つけをしよう。できなかった問題に向かう力を育む答え合わせ。
- 62 ネーミング
- 解答のやり方(方策)に名前をつけよう。ネーミングで解答方法の共有化,意識化,記憶化。
- 63 認知特性(入力)
- 情報キャッチの特徴を把握しよう。視覚,聴覚,言語,感覚,動作,注意・集中の得意,不得意。
- 64 認知特性(理解)
- 理解の特徴を把握しよう。エピソード,生活,体験,パターン型,カルタ型,同時処理,継次処理を活かした理解の方法など。
- 65 認知特性(記憶)
- 記憶の特徴(量,時間,質)を把握しよう。ワーキングメモリー,記憶の特性を踏まえた学習。
- 66 個のサポートへの予測
- 子どもが困る半歩手前でサポートしよう。困難さの予測をしながらサポートをする。
- 67 まとめ・確認
- 学習内容や活動の成果を形(証)に残そう。良いまとめの積み重ねが考える力を育んでいく。
- 4 気持ちの調整のサポート
- 68 葛藤と不安の理解
- 不安な気持ちを受け止め,理解しよう。不安に感じた時,「助けて」の気持ちを受け止めてもらえると子どもたちは,安心して自分のできる限りの力でがんばっていける。
- 69 事前に気持ちのスイッチ
- 事前に気持ちのスイッチを入れよう。ルールや目標,気持ちの構えなどを伝える。
- 70 ポジティブな暗示
- 「できそう」と感じるような声かけをしよう。
- 71 OKサイン
- 「大丈夫だよ」のサインを出そう。気持ちと行動の後押しで,不安への「大丈夫」の支えをする。
- 72 明日につながるほめ
- 明日の力になるようなほめ方をしよう。結果だけでなくプロセスを表情豊かにほめる。
- 73 〜君ものさし
- 個々のものさしで成長を見よう。プラスの変化をすばやく捉える個人内評価をする。
- 74 良い行動の言語化・文字化
- プラスの行動を言語化,文字化しよう。行動の文字化は,自分のペースで振り返ることができ,何度も読み返し,気持ちを整えていくことができる。
- 75 気持ちのスイッチ転換
- 負の気持ちスイッチを切り換えよう。立ち直り(レジリエンス)の特徴を理解し,自己調整の芽を育てるようなサポートを行う。
- 76 耳打ちの心理学
- 自己調整のことばを耳元で言ってみよう。自己調整を促す声かけ,働きかけをタイミングよく行う。
- 77 ダメ出しの弊害
- ダメ出しはしない。ダメ出しでは,行動の切り換え,気持ちの切り換えができないことが多い。
- 78 自己有用感
- 子どもの居場所や役割を作ろう。自分の役立ち感がエネルギーになっていく。
- 79 癒し
- 不快体験,感情的もつれ,歪みを調整しよう。怒りなど,負の感情を調整する。
- 80 リフレーミング
- 行動の見方を前向き,肯定的に変えよう。
- 81 いいとこ探し
- 子どもの良い面を見つけ,活かしていこう。
- 82 ほかほかことば
- ポジティブな気持ちになる声かけをしよう。
- 83 コーチング
- 子どもと一緒に方策を考えよう。子どもの中にある答えや能力を引き出していく。
- 84 成功体験へのイメージ
- 成功までのイメージを作ろう。いい状態を作っていく気持ちと方策,手順が見えるようにしていく。
- 85 個と向き合う
- 一人一人の個としっかり向き合っていこう。精神的・物理的な関わりを意図的に作る。
- 86 プチ自慢
- 成功体験を少しだけ自慢しよう。成功の秘訣を誰かに伝えることで,気持ちのエネルギーを強くするだけでなく,次に活かせる方策を意識できる。
- 87 共感,共有で効果アップ
- 感情の共有をしよう。わかってもらえるという気持ちが次への心のエネルギーになる。
- 5 自己モニターのサポート
- 88 心的現実の理解
- 心的現実(心の中では起こったと感じている現実)を理解しよう。たとえ客観的事実と違っていても,子どもの話(心的現実)の理解から始める。
- 89 タイムライン
- 行動の事実を時系列(時間の流れ)で振り返ろう。
- 90 記述法(日記,生活記録)
- 自分の周りに起きたことを書き記していこう。
- 91 フリートーク
- 自由に話したい話題を話そう。
- 92 図式化・簡略化
- 行動の事実を視覚的に整理しよう。行動を図式化,フローチャート化して,行動の流れや文脈を整理し,因果関係を捉えやすくする。
- 93 モデル探し
- 友だちのいいところをさがそう。めざす行動(モデル)を具体的にイメージできる。
- 94 類似体験
- 過去の体験や自分の周りの似た行動を見つけよう。行動を客観的に見つめ直すきっかけになる。
- 95 人形ロールプレイング
- 人形を使って行動を劇のように再現してみよう。
- 96 ビデオトーク
- ビデオを見ているように,行動の様子を振り返ろう。行動の内容を図や絵で表す。
- 97 点数法(数値化)
- 行動を自己採点しよう。点数化(数値化)し,点数の基準や良くするための方策を考える。
- 98 がんばり表
- 行動の目標や約束を表にして振り返ろう。
- 99 カードゲーム法
- カードゲームのように,自分や周りの人の特徴を整理しよう。特徴に対応した行動を考える。
- 100 気持ちや意識の外在化
- 興味,関心,心配を割合(量的に)で示してみよう。気持ちや意識をわかりやすい形に表現する。
- 101 極端な言い方・例外探し
- 例外探しをしてみよう。行動が起きてしまった時があるように,起きなかった時(例外)の状況を考えて,今後の行動のヒントを見つける。
- 102 自己分析
- いろいろな角度から自分の姿を捉えてみよう。
- 6 行動調整のサポート
- 103 問題行動への理解と対応
- トラブル(問題行動)を成長へのサインとして読み解いていこう。
- 104 刺激の調整
- 気持ちと行動に影響を与える刺激(人,ことば,環境)を調整しよう。
- 68 葛藤と不安の理解
- 「不安」感を理解しよう。トラブルを起こしてしまいそうな時の気持ちを理解する。
- 88 心的現実の理解
- 本人の「訳」を共有・共感しよう。文脈の中で気持ちを理解する。不快体験での感情面を処理する。
- 76 耳打ちの心理学
- 「小さい声による一人称の声かけ」(耳打ち)で行動調整しよう。自我の芽生えを促す。
- 105 直前のコントロール
- トラブルの直前に自己調整できる「もう一人の自分」を呼び起こそう。
- 106 今,どうしたらいい?
- 冷静になるきっかけを作ろう。あらかじめのルールなどを思い出す。
- 107 みんなはどうしている?
- 周りの状況を見直すきっかけを作ろう。今,自分がどうしたらよいかを考えられるようにする。
- 75 気持ちのスイッチ転換
- 感情を切り換える方策やことばを持とう。「まぁいいか」「しょうがないかぁー」「また今度」など。
- 108 クールダウン
- 気持ちを鎮める三間(時間,空間,仲間)を作ろう。
- 109 タイムアウト
- 「我に返る」場所を作ろう。トラブルの場から離れ,おだやかに,しずかに,寄り添った声かけ。
- 110 選択予測・結果予測
- いくつかの行動パターンをヒントに考えよう。「〜したらどうなる?」と行動を選択していく。
- 111 交渉
- 対話(交渉)の中で行動の方向を考えよう。自己内対話の延長のように行動の修正をしていく。
- 112 どうしても我慢できない?
- 心の中の調整力を呼び起こす働きかけをしよう。
- 113 自己決定(選択)
- 自分で選ぶというプロセスを大切にしよう。気持ちを尊重しながら,自我の成長を促していく。
- 79 癒し,不快体験の処理
- 起こってしまった不快な感情をリセットしよう。
- 10 リカバリー
- 行動をポジティブに変える手がかりを提案しよう。
- 2 課題遂行のサポート
- 「やりたいんだけどできないんだよ」の気持ちを理解し,実行機能を支えよう。
- 114 成功体験の共感
- 「できた!」の喜びを共有しよう。
- 115 成功へのツボ
- 成功につながる方策(ツボ)を見つけよう。成功体験の意味づけ,意識化,ネーミングをしていく。成功体験をメタ認知化し,整理していく。
- 116 サクセスストーリー
- 成功までの道すじをイメージしよう。成功に向けた行動の手順や注意を考えていく。
- 117 セルフエスティーム
- 「ぼくって,いい感じ」と感じられるようにしよう。子どもが自分自身の行動や思いを尊重できる。
- 118 自励心
- 成長やあこがれをめざして,自分自身の心や行動を励ます心を育んでいこう。
- 119 チーム
- チームで力を合わせて進めていこう。
- 7 私の中の私たち
- 120 自我の発達
- 「自我の発達」に応じた活動とサポートをしよう。集団の中で,自我がどう育っていくのか。
- 121 私の中の私たち
- 「みんなと共に生きる自我の発達」を見つめよう。自我の内面に集団や社会性を育てていく。
- 122 思考をつなぎ,みんなをつなぐ
- いろいろな人の思いや思考をつないでいこう。
- 59 グループダイナミックス
- みんなの思考をつなぎ,みんなで学ぼう。助け合う,学び合う友だち作り。
- 78 自己有用感
- 自尊意識が持てる活動や関係作りをしよう。
- 123 サポーター作り
- 学級集団を高め,助け合い,支え合うサポーターを作ろう。
- 45 ルール
- 場に応じたルールを守ろう。
- 8 支草を鍛える
- 124 所作と支草
- 「支草」(サポートの所作と仕草)を鍛え,磨いていこう。思いは所作(仕草)に表れ,子どもに伝わる。
- 125 やりとり
- 相互のやりとり(ターン)がある関わりをしよう。一方的な関係性にしない。
- 126 相手の呼吸・タイミング
- 子どもの呼吸,タイミングでコミュニケーションしよう。
- 127 姿勢と視線の共有・共鳴動作
- 子どもと同じ姿勢,動作,リズム,視線にしよう。どういう姿勢や視線が子どもを落ち着かせるかを考える。同じ動き(共鳴動作)をとることで,親近感が生まれる。
- 128 情の共有・感情の言語化
- 共感が生まれるようにコミュニケーションしよう。子どもの気持ちを言語化し,心の距離が近くなる。
- 129 聞き上手
- 聞き上手になろう。「でもね」など,相手の話のリズムを切ることばを使わない。相槌を打つ。話の最後のことばを繰り返す。相手の気持ちをことばにする。声の調子,距離の工夫。相手の話は最後まで聞く。
- 130 非言語的な交流
- 目と目で通じ合う関係になれたら,いい感じ。非言語的なコミュニケーションを大切にする。
- 131 プロソディ
- プロソディ(ことばの調子)で気持ちを表現しよう。子どもたちは,プロソディで意図を感じる。プロソディでことばの雰囲気が変わる。
- 132 子どもの土俵
- 子どもの好きなテーマ(内容)から話そう。
- 133 合いの手
- つなぎのことば(合いの手)を工夫しながらコミュニケーションしよう。
- 85 個と向き合う
- 個と向き合う時間と空間を作ろう。
- 134 ピグマリオン効果
- 子どもにポジティブなイメージを持とう。子どもに携わる人がポジティブなイメージを持つと,そのプラスのエネルギーが子どもの成長に影響を与える。
- 135 連携
- 子どもを支えるネットワークを作ろう。
- 136 手立てのリレー
- 「育ちの力」を支えるサポート(手立て)を引き継いでいこう。
- 137 のん気・根気・元気
- あせらない,あきらめない,面白い,楽しい,陽に捉えていこう。
- 9 サポートの極意
- 138 もがきの共有
- 「できにくさ」から生まれてしまった心の葛藤(もがき)を理解しよう。
- 139 ニーズの把握
- 子どもの気持ち,成長への願い,育ちのために必要な課題と手立てを把握しよう。
- 140 あたかも自分で
- 「あたかも自分の力でできた」という感覚を大切にしよう。子ども自身が達成感を感じられるようにサポートをする。
- 141 エラーレス
- 間違いを少なくし,成功体験を増やそう。
- 142 マネージメント
- 子ども自身の「できにくさ」をあまり変えなくても,「できること」や「できるようになっていく方法」を考えよう。
- 143 あらかじめの原則
- トラブルが起きる前にサポートをしよう。
- 144 リアルタイムのサポート
- 困ったことやトラブルが起きてしまったら,その場で瞬時にサポートをしよう。
- 145 メタ認知
- 成功体験を次の活動に活かしていこう。「〜したからできたね」「〜のやり方,次もできそうだね」「次は,〜すればできるかも……」など。
- 12 フェードアウト
- サポートを少しずつ少なくし,「自分でやる」感覚にしよう。「サポート」から「アシスト」という感覚で,「自律と自立」の気持ちを高めていく。
- 146 エクササイズ
- 「できにくさ」を補強,トレーニングしよう。
- 147 トラブルを学びへ
- トラブルが起きても学びに変えていこう。
- 118 自励心
- 「自分の特性」と向き合う気持ちを支えよう。一緒に歩んでくれる人がそばにいることで,自分の「できにくさ」と向き合う勇気が生まれてくる。
- 148 サクセススキル
- 自分を活かし,上手な調整スキルを身につけよう。
- 149 ポジティブ・アウェイク
- 「一生懸命でいい感じの自分」をめざす力に気づいていこう。
- ○心のリュウ(竜)ぼくもできるよ,ポジティブ・アウェイク!
- 150 151個目への挑戦(あとがきに代えて)
はじめに
「ぼくだってちゃんとやりたいんだよ,でも……できないんだよ」
「できれば自分で気づきたい……。でも,わからない時があるんだ。だから,そういう時はちょっとくらい手伝ってもらっていい?」
「(今,これができるかできないか)ぼくの人生の分かれ道なんだ」
忘れられない,私が出会った発達障害のある子どもたちのことば。
この子たちは,教室での勉強に耐えきれず,授業中に教室を飛び出していた。自分の「できにくさ」に負けそうになり,何にでも「めんどくさい」と心折れそうになっていた。みんなと一緒にできない自分をごまかしたくて,苦しい毎日を過ごしていた。
この子たちとどのように歩んでいけばいいのか?
「本当は,ぼくだって自分の力でなんとかしたい。でも,うまくできないことがあるんだ。だからって,全部を誰かにやってもらうのは好きじゃない。自分でなんとかしたいけど,できないことがあるんだ。そんな時は,上手に手伝って。今ここで,できない自分を変えられたら,もっといい道を歩けそうな気がする。人生が変わるような気がする。大事なことならがんばるから。だから,その道を教えて」
この気持ちに応えていく。子どもたちとの歩みを見つけていきたい。
ワークシートならできるけど,ノートだとできない子と出会った。
どうしてだろうか?
「ワークシートでできるのに,ノートでやらないなんて,ただ怠けているだけでしょう!どうしてできないの!」思わずそんな気持ちになってしまう。
でも待てよ。そこに,この子の「できにくさ」が絡んでいるとしたら……
「どうしてできないの!」と,子どもにぶつけるのではなく,
「どうしてできないのかな?」と,子どもたちの謎を解くべき瞬間として考えたら。そして……,
「どうやったらできるようになるのかな?」と,これからの歩みを見つけられたら……。
クラスの気になる子や発達障害のある子どもたちは,4つの「できにくさ」で苦しんでいる。
○指示を理解しながら行動し,課題を最後までやり遂げる。
(指示理解,課題遂行)
○意図,概念,論理を文脈に沿って理解,思考しながら学習を進める。
(学び・考える力)
○自分を見つめ,周りの状況に合わせて気持ちや行動を調整していく。
(気持ちの調整,自己モニター,行動調整の力)
○自分らしさを持ちながら,みんなと学び合い,協力し合い,活動する。
(自我の成長,私の中の私たち)
一人では,自分の中にある「できにくさ」を越えていくことは難しい。
上手に越えることができないで「つまずき」になってしまうこともある。
「つまずき」は,自分の力を見失わせ,自分自身を傷つけ,時に,自分では気づかないうちに人をも傷つけてしまうことがある。
この子らは,「できにくさ」を越えられず,もがきながら生きている。
この子らの「できにくさ」を「つまずき」にしない。
まして,心の傷になんて……,したくない。
そのために,指示理解,課題遂行,学び・考える力,気持ちの調整,自己モニター,行動調整の力,自我の成長などをサポートしていく。
「やりたいんだけどできないんだよ」,この子らの声なき声が聞こえてくる。
「つまずき」の原因となっている「できにくさ」の謎を解く。
サポートを工夫し,子どもたちのポジティブな活動を引き出していく。
「あたかも自分で」活動できたかのようにサポートしていく。
ポジティブな活動を積み重ね,「課題遂行」「学び・考える」「行動調整」「みんなと共に」などの力を支え育てていく。
「一生懸命でいい感じの自分」をめざす力に子どもたち自身が気づいていけるように,行動を見直し調整する力を支えていく。
自分らしい「一生懸命」と「ぼくって,いい感じ」を増やしていく。
「@理解→Aサポート・活動→B学び→C自我の成長」
子どもの中の「育ちの力」を引き出していくサポートと成長のプロセス。
私は,30余年に渡り,特別支援教育の仕事に携わってきた。
特別支援学校,特別支援学級,ことばの通級指導教室,発達障害の通級指導教室。10年前から,通常学級に在籍している「気になる子」の巡回相談をやらせていただいている。それぞれの場で,子どもたちの「一生懸命」と「いい感じ」を求めてきた。今まで出会った子どもたちから教えてもらった,子どもたちの「一生懸命」と「いい感じ」をサポートする手立てをこの本にまとめた。
教室を飛び出していた子,課題遂行と行動調整のサポートをきっかけに,教室での学びに戻ることができた。
自分や周りを傷つけ,苦しんでいた子,気持ちを受け止めてもらえることをきっかけに,自分の力でまた歩き出すことができた。
「めんどくさい」とつぶやいていた子,学びやみんなと共に活動することのサポートをきっかけに,自分の「できそう」や「がんばり」を見つけていくことができた。
子どもたちは,サポートをきっかけに,ポジティブな行動に切り換える力を身につけていく。ポジティブな行動と学びの中で,「育ちの力」が育っていく。自らを励ます心が育っていく。「自励心」が「できない自分」を乗り越えていく力となっていく。
もちろんすぐに,「自分を励ます自分」ができるわけではない。
子どもと一緒に,いっぱいのもがきの共感・励まし・サポートをしてくれる人がそばにいることで,その人との歩みが子どもの心の中に映り込んでいく。
子どもの心の中に「私の中の私たち」が生まれてくる。
「精一杯の支え」が,子どもの力となっていく……。
やがて,子どもたちの「育ちの力」と自励心が動き出す。
この本には,発達障害のある子のポジティブな行動と学びを支える150のサポート術をまとめた。
150のサポート術を見直すことで,子どもたちの育ちについて何かの手がかりになるかもしれない。
サポート辞典のように,育ちへのヒントが見つけられるかもしれない。
子どもたちとの歩みのお手伝いができるかもしれない。
子どもの中の「育ちの力」が見えてくるかもしれない。
発達障害のある子の「できにくさ」は,確かに手ごわい……。
でも,「できにくさ」のために,本当の自分の力を見失わないように。
子どもたちの本当の力,「育ちの力」を見つけていく。
最初に,子どもの「育ちの力」を見つけていくのは,私たち,支える大人。
でも,めざすゴールは,子どもたち自身が自分の力(ポジティブな行動や気持ちを作り出すエネルギー)に気づいていくこと。それを願い,行動・学び・気持ちを支えていく。
私たち大人が「育ちの力」を引き出すサポート術を身につけることができるかどうかで子どもたちの歩む道が変わってくる。
子どもたちは,今,人生の分かれ道に立っている……。
この本に出てきた子ども達は、誰もが本から飛び出して3Dのように生き生きとして、そして「やりたいんだけど、できないんだよ。」の声が聞こえてきました。
そして、これなら私でもちょっとはできるかもと思った「育ちの力」を引き出すサポート術がたくさん載っていて、宝物をいっぱい見つけた気分です。
「嫌なことやできないことを乗り越えた時に心の竜がみえるのかな・・・」と成長した子のように、私の目の前にいる、困っているあの子にも、この子にも心の竜が見えるようにしてあげたいと強く思いました。
この本に出会えて、本当に良かったです。ありがとうございました。