- 編著者序
- T 合理的配慮の基礎知識
- 1 合理的配慮にかかわる法律・方針
- 2 合理的配慮の基本的捉え
- 3 小・中・高等学校,特別支援学校における留意点への具体的対応
- U 幼稚園・保育所等から小学校への移行支援
- 1 幼稚園・保育所等から小学校への移行支援の基本的考え方
- 2 教育支援の基本的手順
- 3 小学校教員が幼稚園等教員から受け取りたい教育支援情報
- 4 個別移行支援カルテ【小学校就学版】の実際
- V 小学校から中学校への移行支援
- 1 小学校から中学校への移行支援の基本的考え方
- 2 中学校教員が小学校教員から受け取りたい教育支援情報
- 3 個別移行支援カルテ【中学校進学版】の実際
- W 中学校から高等学校への移行支援
- 1 中学校から高等学校への移行支援の基本的考え方
- 2 高等学校入学者選抜における合理的配慮
- 3 高等学校教員が中学校教員から受け取りたい教育支援情報
- 4 個別移行支援カルテ【高等学校進学版】の実際
- X 幼稚園・保育所等から特別支援学校への移行支援
- 1 幼稚園・保育所等から特別支援学校への移行支援の基本的考え方
- 2 特別支援学校教員が幼稚園等教員から受け取りたい教育支援情報
- 3 個別移行支援カルテ【特別支援学校就学版】の実際
- Y 資料編
- 資料1 障害者差別解消法(概要)
- 資料2 学校における合理的配慮の観点:3観点11項目
- 資料3 学校における基礎的環境整備の観点:8観点
- 資料4 障害者権利条約24条
- 資料5 特別支援教育
- 資料6 教育支援
- 資料7-1 障害の程度と教育の場:特別支援学校
- 資料7-2 障害の程度と教育の場:特別支援学級
- 資料7-3 障害の程度と教育の場:通級による指導
- 資料8 大学入学者選抜における障害のある受験生への対応
- 資料9 各教育委員会作成の移行シート
- あとがき
- 執筆者一覧
- 編集注
- 1.近年,障がい,障碍との書き換えが行われていますが,本書発刊時点での法令の条文では障害の表記であり,本書でも同様にしました。
- 2.2008年,日本精神神経学会において,AD/HDは注意欠如/多動性障害との呼名変更が行われていますが,本書発刊時点での法令の条文でADHD・注意欠陥多動性障害の表記であり,本書でも同様にしました。
編著者序
平成19年4月に特殊教育から特別支援教育へと制度転換がなされて10年が経過しました。この制度転換にて,特殊教育の対応原理である“個への対応”が,『特殊教育の対象の障害だけではなく,知的な遅れのない発達障害も含めて,特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施』されることとなりました。そして,この実施の鍵を握るもののひとつとして個別の教育支援計画の作成と,学校間移行時の引継ぎが挙げられました。
しかし,平成25年6月に示された,平成29年度までの教育振興にかかわる第2期教育振興基本計画では『幼・小・中・高等学校における障害のある幼児児童生徒に対する個別の指導計画及び個別の教育支援計画の作成率の増加』のみが特別支援教育の成果指標とされました。
こうした中,平成28年5月,教育再生実行会議の第九次提言において,『国は,乳幼児期から高等学校段階までの各学校等で個別の支援情報に関する資料(個別カルテ(仮称))を作成し,進級,進学,就労の際に,記載された情報の取扱いについて十分配慮した上で,その内容が適切に引き継がれる仕組みを整える』との現状改善の方向性が強く示されました。
加えて,平成29年1月,総務省が文部科学省,厚生労働省に対して『発達障害者支援に関する行政評価・監視結果に基づく勧告』を発しました。この勧告では,『学校等において,支援計画等の作成対象児童生徒を一律の基準で限定し,支援が必要な者に対して計画が作成されていないおそれ』,『進学先への情報の引継ぎの重要性の認識不足,不確実な引継ぎ』があるとされ,『支援計画等の作成対象とすべき児童生徒の考え方の提示』と『情報の引継ぎの重要性とともに,支援計画を始め,必要な支援内容等が文書により適切に引き継がれるよう具体例を挙げて周知』を行うことが勧告されました。
こうした状況を鑑み,この度,『特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校』で活用できる“個別移行支援カルテ”を中核とする本書を緊急上梓しました。本書の構成は理論編と実践編からなり,理論編では,今後,『特別な支援を必要とする幼児児童生徒』の教育支援を考える上で不可欠となる『合理的配慮』についての解説を行いました。また,各移行段階において“引き継がれる情報”が移行先の先生方が必要とする情報となるように,移行先の先生を対象とした調査研究の結果を精緻に示しました。そして,実践編として,調査研究の成果に基づいて作成した“個別移行支援カルテ“を手引きも合わせて,移行期ごとに示しました。
本書がこれから全ての学校に求められる『合理的配慮』を必要とする幼児児童生徒の移行支援の一助になることを強く願っています。
平成29年雪消月 /坂本 裕
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- 明治図書
- 幼保→小→中→高との連携がとても重要と考え本書を購入しました。本書にあるフォーマットを参考に、小→中の情報共有、保護者との入学の合理的配慮についても入学前に共有でき、スムーズなスタートを切ることができました。2020/1/3040代・中学校教員