- はじめに
- 第1章 数学授業ならではの指導技術を学び,使いこなそう
- 1 数学授業ならではの指導技術とは
- 2 「問題提示」における数学の指導技術
- 3 「自力解決」における数学の指導技術
- 4 「話し合い・発表」における数学の指導技術
- 5 「振り返り・まとめ」における数学の指導技術
- 第2章 今日から使える数学の指導技術51
- 問題提示
- 主体的に問題にアプローチさせる技術@―一部を[ ]にする
- 主体的に問題にアプローチさせる技術A―条件不足にする
- 主体的に問題にアプローチさせる技術B―条件を複雑にする
- 主体的に問題にアプローチさせる技術C―オープンエンドにする
- 主体的に問題にアプローチさせる技術D―問題づくり
- 全員が授業に参加できるようにする技術―比較提示
- 問題への興味・関心を高める技術―計算問題のしかけ
- 自力解決
- 手が止まっている生徒に考えるきっかけを与える技術
- ペア対話を有効に活用する技術
- 話し合い・発表
- 考えをつなぎながら話し合いを展開する技術
- 苦手な生徒を話し合いに参加させる技術
- グループ学習を有効に生かす技術
- 誤答や誤認識を生かす技術
- 生徒の発表のハードルを下げる技術
- 発表をアクティブにするツール活用の技術
- 振り返り・まとめ
- 新しい考えや発展につながる振り返りの技術
- 問題の解決過程で行うまとめの技術
- 学習感想を有効に活用する技術
- 教材・教具づくり
- 日常や社会の事象を数学の教材に変身させる技術@(図形)
- 日常や社会の事象を数学の教材に変身させる技術A(関数)
- 日常や社会の事象を数学の教材に変身させる技術B(データの活用)
- 生徒の理解を助ける教具づくりの技術@(数と式)
- 生徒の理解を助ける教具づくりの技術A(図形)
- 生徒の理解を助ける教具づくりの技術B(関数)
- 導入
- 授業モードに素早く切り替えるアイスブレイクの技術(1年)
- 授業モードに素早く切り替えるアイスブレイクの技術(2年)
- 授業モードに素早く切り替えるアイスブレイクの技術(3年)
- 発問
- 問題から課題を設定する技術
- 意味を考えさせる技術
- 理由や根拠を引き出す技術
- 見方・考え方を働かせることができるようにする技術@(数と式)
- 見方・考え方を働かせることができるようにする技術A(図形)
- 見方・考え方を働かせることができるようにする技術B(関数)
- 見方・考え方を働かせることができるようにする技術C(データの活用)
- 問題解決を振り返りながら発展・一般化を促す技術
- 板書
- 授業の流れをわかりやすく示す技術
- ねらいに応じて構造的に示す技術
- 見方・考え方を可視化する技術
- 生徒の考えを関連づけながらまとめる技術
- ICTを効果的に活用する技術
- 学習形態
- スタンドアップ方式を活用する技術
- コの字型机配置+4人グループ学習を活用する技術
- ジグソー学習を活用する技術
- スモールティーチャーを活用する技術
- ノート指導
- 学習内容をすっきり整理させる技術
- 思考の過程をノートに残させる技術
- 計算などのミスを生じにくくする技術
- ノートの点検・評価で意欲を高める技術
- 特別支援
- 計算ミスが多い生徒への支援の技術
- 問題文を読み飛ばしてしまう生徒への支援の技術
- じっと座って学習することができない生徒への支援の技術
はじめに
大学の教育学部へ異動して,4年目になりました。「よりよい授業づくり」を研究テーマの1つにしており,ゼミ生とともに,様々な文献から指導技術を抜き出して整理しています。ゼミでは,それを活用して模擬授業を行い,その効用を確かめたり,その技術を活用するときの留意点をまとめたりしています。また,ゼミ生は,ゼミでの学びを生かし,教育実習に臨んでいます。
指導者である私は,ゼミ生の授業を参観し,指導助言をしています。その中で,改めて確信したことがあります。
基本的な指導技術を活用して授業を行うと,学生でもよい授業ができる。
もちろん,自分自身のこれまでの授業,管理職となって見てきた数々の授業,指導助言をさせていただいている顧問校の授業を見て,「豊かな授業を生み出すためには,基本となる指導技術が重要である」と考えてきましたが,ゼミ生の教育実習での授業を見て,揺るがない確信となりました。
あるゼミ生から,「校長先生から『授業がとても上手だ。実習が終わっても,我が校に引き続き来てほしい』と言われた」と連絡がありました。校長先生が,励ます意味も込めてヨイショされていると感じないのは,大学生とは言え,まだまだ子どもだな…と思いながら,その学生の数学授業を見に出かけました。
授業が始まって驚きました。校長は本気で言っておられたのだと思う授業が展開されたのです。
問題提示場面では,「『こういう場合はどうだろうか』とつぶやいていた人がいました」と,前時の学習内容から問題を提示しました。前時とのつながりを一気に生み出す指導技術の1つです。
自力解決場面では,ゼミでの模擬授業で体験した「〇つけ法」を行っていました。正答にたどり着いていない生徒にも途中経過を認めて〇をつけ,考えるとよい視点を与えていました。それまでの授業でも1時間に一度は〇つけ法を行っていたとのことで,生徒がゼミ生に〇をつけてもらうことを楽しみにして待っていました。一人ひとりの生徒に,短い言葉ですが,声をかけているゼミ生を愛おしくも思えました。
話し合い場面では,野口芳宏先生の手法を活用して,「発表された考えに対して,賛成の人は○,反対の人は×をつけなさい」をスタートとして,話し合わざるを得ない場面を生み出していました。
こうした場面を目の当たりにして,指導技術の習得は欠かすことができないものだと改めて強く感じたのです。同時に,ゼミ生を指導していただいている教育実習担当校の先生の力量も相当なものだと思いました。
もちろん,指導技術を習得する以前に,「よりよい授業をしたい」という強い思いが必要です。本書で紹介されている51の数学の指導技術は,すべて一人ひとりの先生のそうした思いがあって生まれたものです。だからこそ,明日から活用していただけるものばかりなのです。
若い先生からベテランの先生まで,幅広く活用していただける良書として,自信をもっておすすめします。
2018年6月 /玉置 崇
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- 明治図書
- 評価、評定の方法があるとさらに良い。特に主体的に〜の観点。2022/2/1240代・中学校教員
- すぐに使える授業づくりの技術が分かりやすく書いてあり,大変参考になりました。2020/2/1640代・中学校教員
- 「先生方がいろいろ実践されている授業の紹介や工夫している点の紹介があって、とても参考になりました。2018/11/1040代:教諭
- 授業のいろいろな場面での発問や指示においてのアイディアをもらいました。2018/10/1330代・中学校教員