- はじめに
- さぁ,数学的な発想力と分析力を磨こう!
- 1 身近なもので数学しよう!
- 1 1L入り牛乳パックの容積は1L未満!? 全学年対象
- 2 カード番号に隠された数字の秘密 方程式(1年)
- 3 新聞紙を何回折りたためばスカイツリーの高さを超える? 不等式(1年)
- 4 トイレットロールは何巻き? 方程式(1年)
- 2 図形に強くなろう!
- 1 手をつないで地球を一周するには 式の計算(2年)
- 2 工夫して面積を求めよう 三角形と四角形(2年)
- 3 円周率を計算してみよう 円の性質(3年)
- 4 土地を平等に分割しよう 三平方の定理(3年)
- 3 深く考えて,思考力を鍛えよう!
- 1 三角形の内角の和は本当に180°? 三角形と四角形(2年)
- 2 コインゲームで損をする?得をする? 確率(2年)
- 3 黄金比ってどんな比率? 図形の相似(3年)
- 4 床屋さんの髪を切るのはだれ? 全学年対象
- 5 二進法ってなんだ?
- 4 整数に強くなろう!
- 1 東京オリンピックの開会式は何曜日に行われた? 全学年対象
- 2 13日の金曜日は毎年必ずやってくる!? 式の計算(2年)
- 3 倍数判定法 多項式の展開と因数分解(3年)
- 5 発想を転換してスッキリしよう!
- 1 夏の甲子園は何試合? 確率(2年)
- 2 敷き詰めできる?できない? 全学年対象
- 6 文章題上達のキモ,「式を立てる力」を身につけよう!
- 1 ルートルートルート… 二次方程式(3年)
- 2 連分数に挑戦 二次方程式(3年)
- 3 一筆書きできる?できない? 全学年対象
- 4 何人助かる? 全学年対象
- 5 干支を言い当てよう 全学年対象
- 7 どんな図形でも成り立つか調べてみよう!
- 1 どんな正多面体でも… 空間図形(1年)
- 2 どんな四角形でも… 図形の相似(3年)
- 3 どんな三角形でも… 三平方の定理(3年)
- 8 図形の相似を活用しよう!
- 1 五円玉を使って月までの距離を測ってみよう 図形の相似(3年)
- 2 皆既日食をヒントに太陽までの距離を測ってみよう 図形の相似(3年)
- 3 ナスカの地上絵はどうやってつくられた? 図形の相似(3年)
- 4 コピー用紙の折り目の長さの秘密 図形の相似(3年)
- 9 整数の2乗に強くなろう!
- 1 ピタゴラス数を見つけよう 三平方の定理(3年)
- 2 背理法ってなんだ?
- 3 ピタゴラス数の性質@ 三平方の定理(3年)
- 4 ピタゴラス数の性質A 三平方の定理(3年)
- 10 鳩の巣原理を使ってみよう!
- 1 鳩の巣原理ってなんだ?
- 2 整数のたし算の答えを考えよう 式の計算(2年)
- 3 一致するしかあり得ない!? 二次方程式(3年)
- 11 数学の世界の「未解決問題」に触れてみよう!
- 1 コラッツ予想 文字の式(1年)
- 2 魔方陣の種類 式の計算(2年)
- 3 ゴールドバッハ予想 多項式の展開と因数分解(3年)
- 4 双子素数予想 多項式の展開と因数分解(3年)
- 5 エルデシュ・シュトラウス予想 多項式の展開と因数分解(3年)
- 12 美しい証明の鑑賞会―過去の偉人たちの発想に学ぼう!
- 1 素数が無限にあることの証明@ユークリッドのアイデア 多項式の展開と因数分解(3年)
- 2 素数が無限にあることの証明Aオイラーのアイデア 多項式の展開と因数分解(3年)
- 3 素数が無限にあることの証明Bスティルチェスのアイデア 多項式の展開と因数分解(3年)
はじめに
数学,という教科は「嫌い」「苦手」「難しい」という言葉と常にセットになっているように思います。
確かに,数学は難しい学問です。プロの数学者の中で,「数学なんて簡単だ」と言っている人を私は知りません。数学が簡単だと感じる人がいたとしたら,それは簡単な数学しかやってこなかったからであり,積極的に調べ,考えてみると,難しい問題というのは山のようにあることに気付くはずです。
ですから,多くの子どもたちが描く「難しい」「苦手」というイメージは,ごく自然な印象なのだと思います。規則に縛られ,今まで学んだ内容をふんだんに使い,1桁の計算間違いも許されないうえに,大人たちが普段そこまで数学を使っているようにも思えない,となると,目の前のハードルを越えるための気力が削がれ,つまずきが多くなり,徐々に嫌いになっていく…というのも,ある意味では当然の流れなのかもしれません。
一方で,成長してから「得意にしておきたかった教科」としてよく名前があがるというのも,数学の特徴的な一面だと思います。私のところには現在,一度社会に出た後で改めて数学を学び直したい,という方からのご相談が年に数十件届きますが,この方たちが数学を修めようとする動機は,大きく2通りに分けられます。
まず,ご相談のうち約2割を占めるのが,純粋に学問を,趣味として修めていきたい,という動機です。そして,残り約8割という大部分を占めるのは,今後のキャリアを考えるうえで,数学がわかっていると有利な状況になった,という動機です。どちらも学びに対する姿勢にはただただ頭が下がりますが,前者は他の学問に対しても同様に確からしくあり得る動機であるのに対し,後者は数学独特の事情が隠れているように感じます。すなわち,私たちの身の回りには意外と多くの数学があふれていて,大人になるまでその事実に気付きにくい,という特徴が数学にはあるのではないでしょうか。
この気付きのタイミングをできるだけ早め,「やっていればよかった」を「やっていてよかった」に変えるうえで,小・中学校や高等学校の時期は大変重要な意味をもつように思います。
本書は,身の回りの現象や数学的に重要な性質について,「答えを当てる」というよりも,「あれこれ試しながら解明していく」ということに重きを置いて執筆しました。したがって,答えが用意されていない未解決の問題も含まれています。まずは,世の中が今まで習ってきた知識を使って数学的に考察できるものであふれている,ということを,本書を通して感じてもらいたいと思います。そして,さらに深く考えられる問題も多くあるので,解答例に縛られず,自分なりのやり方で解明していってくれることを願っています。
最後に,本書を執筆するきっかけは,私が運営する「数学って面白い!?」というブログを見られた明治図書の矢口郁雄様からお話をいただいたことにあります。私の度重なる遅筆にも,辛抱強く,また紳士的に応対していただいた矢口様に,心より感謝申し上げます。また,これまでブログを訪れていただいた読者の方々なしでは,本書はでき上がりませんでした。鋭いご指摘をいただいた方,応援コメントをいただいた方ほか,ご覧いただいたすべての皆さまに御礼申し上げます。
2014年7月 /大句 哲也
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- 明治図書
- 基礎から発展まで様々な事例があり、役に立った2022/2/1240代 中学校主幹教諭
- 授業で扱いやすいレベルの問題が多く、生徒たちが達成感を感じやすい2021/4/230代・中学校教員
- 章のまとめの問題に使えるので、役に立ちました。2017/5/2820代・中学校教員
- 読んでいて、知的好奇心が湧きました。2016/3/920代・中学生
- いつか、こういう内容を扱う授業をしてみたいです。2015/9/24教員