- はじめに
- 教材研究がもっとうまくなるために
- Strategy1 ある特定の数から一般化して考える
- 新幹線でぴったり座るには?
- Strategy2 条件を変えて考える
- ずらして平行四辺形へ
- Strategy3 価値観の違いを数学化する
- ケーキの分配とタクシー料金の割り勘
- Strategy4 日常事象を図形化する
- 富士山より高い山がある?
- Strategy5 日常事象をグラフ化する
- どんなボトルかな?
- Strategy6 具体的操作から証明へ
- 中点連結切り
- Strategy7 つまずきを生かして考える
- 紙を折ることで三角形の内角の和が180°であることを示す
- Strategy8 解決方法を限定して考える
- 十字架の相似
- Strategy9 身の回りのものを数学的に分析する
- リフレクター
- Strategy10 既習の適用範囲を明確にし,拡張する
- 図形に負の数を導入する!?
- Strategy11 似て非なる事象を新たな視点から統合する
- 2つの図形が同じに見えてくる!?
- Strategy12 式表現を図形表現で解釈し直す
- インド式かけ算を図形で説明
- Strategy13 図形化を通して,バラバラの知識を関連付ける
- 平均もいろいろ
- Strategy14 ないものをあるとみなして,思考空間を広げる
- 凹四角形の中点連結切り
- Strategy15 直観的な考えを基に反省的に考える
- 家の形を正方形にする
- Strategy16 具体的操作を洗練させる
- 長方形から正方形をつくる
- Strategy17 何が一般で何が特殊かを明確化する
- ヒラメメソッド
- Strategy18 きまりを見つけることで,暗黙の条件を顕在化させる
- 魔方陣の根底にある条件
- Strategy19 逆を考えることで,暗黙の条件を顕在化させる
- 逆は必ずしも真ならず
- Strategy20 条件を加えることで,問題を広げる
- 三角形の面積を二等分しよう
- Strategy21 特殊・一般の見方により,バラバラの知識を統合する
- 星形多角形の内角の和から統合へ
- Strategy22 ある特定の関数であるとみなして考える
- 72の法則
- Strategy23 複数の解法を関連付けることで,新たな知識を生み出す
- 5じゃんけん
- Strategy24 問題解決を広い視野から振り返る
- 携帯電話の料金設定
はじめに
教材開発に関して最近気になっていることがある。問題が徐々に見えてくるときのワクワク感である。与えられた問題をいかに解くかは,問題解決において強調されてきたが,それと対等に,問題が徐々に見えてくるときのワクワク感こそ,数学教育でもっと強調されるべきではないかと考えている。問題は,天から降ってくるわけではなく,自分自身の中にある見方や考え方があるからこそ生まれてくるものである。
このようなことを考えている最中に,明治図書の矢口氏より「教材研究の方法」といった視点からの本の執筆のお話をいただいた。私にとって,自分がこれまで考えてきた教材をまとめると共に,その教材が生まれてきた背景を省みるいい機会だと思い,力不足ながらお引き受けすることにした。
本書では,「ストラテジー24」と称して,具体的な24の教材とその研究方法を解説している。どのような視点から教材を分析していくのかを述べ,中学校数学の授業の中でどう取り扱うかについて言及している。ただし,中学校数学に閉じたものばかりではなく,小学校算数で取り扱うことが可能な教材もあれば,高等学校数学で取り扱うことが可能な教材もある。ストラテジーを基に教材をアレンジして,幅広い視点から実践していただければ幸いである。
本書のいくつかの教材は,雑誌『数学教育』(明治図書)の「数学を育む数学的活動」という連載で,早稲田大学の渡邊公夫先生,横浜国立大学の両角達男先生と一緒に連載させていただいたものである。お2人の先生からは貴重なご助言をいただいた。また,明治図書の矢口氏には,本の構成から校正に至るまで,多大なご協力をいただいた。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
2014年7月 /池田 敏和
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- 明治図書