子どもと保護者のココロに寄り添う! エピソードで学ぶ特別支援教育AtoZ――小学校/特別支援学級編――

子どもと保護者のココロに寄り添う! エピソードで学ぶ特別支援教育AtoZ――小学校/特別支援学級編――

子どもの行動の理由が分かればベストな支援が見えてくる!

目標の点数に2点足りないだけでプリントを破り捨てる、かけっこで一番になれず途中でやめる、参観日でいつになくテンションが高い…子どものつぶやきや行動にどう応えればよいのか、4コマまんがでエピソードを紹介しながら、とっておきの支援をアドバイスします!


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PDF
ISBN:
978-4-18-154716-5
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年12月17日
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もくじ

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はじめに
「子どものつぶやき」にこう答えよう!エピソード26
1 「ぼくはねー、魔法使いなんだよ」
2 「7時50分がぼくの登校時間だよ」
3 「お母さん、ファイルからプリント外しちゃダメ!」
4 「休憩はダメ、これしてしまう」
5 「先生がこんな問題出すからだ!」
6 「83点は嫌なんだ!」
7 「『春』ってなんなんだ!! 宿題ができない!」
8 「『出席番号○番の人』がぼくに嫌なことを言った」
9 「自分がもらったものは自分のものだ」
10 「近づくな。飛び降りてやる!」
11 「ぼくは行きたくありません」
12 「見通しカードはなくても大丈夫だよ」
13 「あの先生や声がいらつく……」
14 「昨日は37度あったからお休み。でも今日は36・9度だから来た」
15 「『ごめんなさい』は言いたくない」
16 「先生も修学旅行に一緒に行くの?」
17 「仕方ない! ぼく、行ってあげるよ!」
18 「6年1組では絶対暴れない」
19 「今年のお休みは5日にするよ」
20 「先生、最近薬飲んでないけどイライラしなくなった」
21 「先生が言うんだから仕方がない!」
22 「ぼくも2年生はA君みたいにしたいかな」
23 「おれ、友だちがいない。友だちがほしい……」
24 「ぼく、絶対T大に行くから!」
25 「ぼくは、あとどれくらい勉強したらB君と同じところができるかな」
26 「ぼく、このクラスでよかった!」
コラム 「うざい」「あっちいけ」「ちかよるな」
「子どもの行動」にこう対応しよう!エピソード7
27 「ありがとう」を言ってもらいたくて自分の学習を止めてしまう
28 急に意欲が下がりまっ青な顔に
29 大好きなヨーグルトのふたが外せず涙目で訴える
30 学校ではいつでも一生懸命に約束を守る。でも家では……
31 友だちと言い争った後、周りのものを手当たり次第に壊そうとする
32 リーダーの子どもがコンピュータを独占
33 一番になれないのが嫌でわざと途中でやめてしまう
コラム 職場体験実習「この会社くさいな……」
「日々の授業・行事」でこう支援しよう!エピソード21
34 一文字ずつの花丸でやる気がアップ
35 課題量を調整してやりきる達成感を
36 「よくできたシール」が頑張るきっかけに
37 自分流「スケジュール管理」のススメ
38 学校探検は「行ってみたい部屋へ行く」
39 給食を無理させるより「おにぎり弁当」が近道
40 集団演技―みんなに合わせるよりできるところから
41 宿題の習慣を定着させるルール
42 休み時間に目一杯遊べば次の学習も頑張れる
43 参観日で興奮!「先生のお手伝い」で少し休憩
44 校外学習の事前学習の鉄則「いつ・どこへ・どうやって行き・何をする」
45 校外学習でバスに乗れないハプニング
46 不安な宿泊学習も成功体験の積み重ねでクリア
47 【国語】「どう思いましたか?」―みんながつまずく「登場人物の思い」
48 【算数】「違いはいくつ?」―難関の引き算
49 【社会】「織田信長と戦ったのは?」―答えが思い出せず「三成」に八つ当たり
50 【生活科】「植物の成長を目で確認しよう」
51 変化の春―学級変えはとてもしんどい
52 プールの夏―水の捉え方は十人十色
53 行事の秋―時間調整は難しい!
54 締めくくりの冬―得意を披露できる場を
コラム 部活動で自信をつける
「支援スキル」をこう磨こう!エピソード6
55 新年度、今年の学級メンバーはどうする?
56 子どもの力を引き出す自作教材はどう作る?
57 「交流及び共同学習」はどのように進めればいい?
58 交流学級に行きたがらない子は無理強いしなくてもOK?
59 通常学級の先生とどのように協力体制をとればいい?
60 1年の終わりを落ち着いて迎えるための秘訣は?
おわりに

はじめに

 私は、長年、市町の巡回相談員として園や学校に訪問させていただいています。その目的は、機関の要請に基づいて特別な支援が必要な子どもたちや悩んでいる先生方に出会い、保育・教育について一緒に考えさせてもらうことです。訪問件数は毎年のべ平均で百校園ほど、のべ人数としては数えきれないほどの子どもたちや先生方と出会います。

 前著では、保育園や幼稚園の子どもや先生方の日々の様子を実践事例集としてまとめさせていただきました。続編となります本著では、小学校へ進んでからの子どもたちの様子を、特に“特別支援学級”に在籍している子どもたちに注目し、その姿を切り取ってみました。園で保護者や先生方、関係機関の方々から暖かい応援をもらった子どもたちが、新たなステージ、新たな出会いの中、再び悪戦苦闘していきます。大きくなる集団、空間、抽象的になる学習、そして多くの行事。戸惑い不安いっぱいになる子どもたちの横で、子どもに寄り添い、子どもを理解し支えようとする先生方と様々な困難に立ち向かい、成長しようとする子どもたちの様子を著しています。


 私たちが、生まれたばかりの赤ちゃんをもつ親だと考えてみましょう。「今日は、子どもの調子もいいから郊外のショッピング・モールへ久しぶりに買い物に出かける」ことになりました。子どもを車の助手席に乗せ、出発です。親としても久しぶりの買い物に心も弾んでいます。ショッピング・モールの駐車場に到着し、子どもをベビーカーに乗せ、店内へ入ったところで、先ほどまで笑顔だった赤ちゃんが急に大泣きし始めました。「困ったなぁ。何とか泣き止んでくれないかなぁ」と私たち親は一生懸命に子どもをあやします。しかし、なかなか泣き止んでくれません。「困ったなぁ。何とか泣き止んでもらって最小限の買い物だけはして帰りたい」そう思った私たち親は、さらに一生懸命、赤ちゃんをあやします。でも、どうしても泣き止んでくれません。周囲のお客さんから何だか冷たい視線が向けられているように感じます。どうしても、泣き止んでくれない赤ちゃんに私たち親はどのような行動をとるでしょうか。例として、次の表をご覧ください。

  (表省略)

 まず、私たち親は、大泣きする子どもと接し、直感的に思いつくことは、「お腹が空いた」ではないでしょうか? その時私たち親は、「ミルクを与える」という行動を選択するでしょう。もし、ミルクの吸いつきが悪い、または全くお腹が空いているわけではないと感じた時は、「気持ちが悪い」のかなと思い、おむつを確認するなどし、もし汚れていたら「おむつを交換する」という行為に及びます。つまり、子どもの行動には「要因(原因)」が存在し、私たち親はその要因をあきらかにし、適切な「手だて」を講じているわけです。仮に「お腹が空いた」のに「おむつを交換する」とか、「気持ちが悪い」のに、「ミルクを与える」などの行為はしないでしょう。

 また、子どもの立場にたつとどうでしょうか? 「僕はお腹が空いた」から「泣く」という行為で親に自分の思いを伝えている、「僕は気持ちが悪い」から「泣く」という行為で親に自分の思いを伝えているわけです。なのに、大泣きする子どもに対して、大きな声を出して「泣き止みなさい」と強要することは、子どもの愛着形成を含む豊かな発育に何らかの歪みを生じさせることにもなります。私が出会った素晴らしい園の先生方は、いきなり手だてを求めず、子ども側の問題といわれる行動には、要因が存在するのだと認識し、子どもの行動をじっくり観察されています。だから、どっしりと構えておられますし、実践にも余裕が感じられるのです。

 私たちの目の前にいる「子どもたちの将来における自立」とは何かを私なりの思いで語らせていただきたいと思います。よく巡回相談の場面で、「この子は、特別な支援が必要な子どもだから、将来、力強く一人で生きていけるような力をつけなければならない」というような声を耳にします。確かに「力強く(豊かに)」人生を歩むことは大切なことです。しかし、「一人で生きていけるような力をつけなければならない」ということに、私はどこか違和感をもちます。なぜなら、私たち大人とて、一人で生きている人など存在しないと考えるからです。例えば、職場では信頼できる上司や同僚がいます、家庭には最愛の家族がいます、そして地域には見守ってくださる方々がいます。私たちは「お互いに支え合って生きている」と言っても過言ではないと思います。つまり、支え、支えられる関係の中で豊かに生きていると言えるのです。それなのに、特別な支援が必要な子どもたちだけが、「将来の自立のため」に、どうして力以上のことを求められ、適応しにくい環境に無理に適応しなければならないのでしょう。ある当事者の方が「まるで、泳げない人に底の見えないプールで毎日泳ぐことを強いているようだった」と振り返らざるを得ない状況と同じであると言えるのではないでしょうか。一人ひとりの子どもたちが、それぞれの発達段階に応じて、豊かな青年期・成人期を送るためには、私は大きく次の5つの要素が必要なのではないかと考えています。


 @よき理解者が傍にいる

 Aよい体験を積んでいる

 B人が信頼できている

 C自己肯定感が高い

 D自分の特性とうまく向き合えている


 私の知人である自閉スペクトラム症(ASD)と診断されている社会人Aさんは、現在、自分の特性とうまく向き合いながら、毎日、事業所に通われています。「僕は昔から集団に入るのが苦手だったので、今は、必要な時以外は入らないようにしている」「僕は聞こえすぎる耳を持っているので、いつもは耳栓をしています。御用があれば合図してください。耳栓をとりますので」などと語るAさんは、確かに自閉スペクトラム症の特性は強く感じるのですが、対人関係が非常にナチュラルで、自分の特性とうまく向き合えていると感じます。頁数の関係で詳細な解説は他に譲りますが、混沌とした現代社会の中で、特性を有しながらも力強く生きている人たちの過去には必ず前述の5つの様子が継続的に、かつ補完的に関連づいていると言えます。よき理解者(よき環境)の存在と子どもの内面に丁寧に寄り添う支援こそ、もしかすると本当の意味での「自立」につながるのではないかと思うのです。 本書は、私自身が巡回相談員として実際に出会った子どもたちと先生方との貴重な取り組みをもとに書き下ろした実践事例集(学齢期編)です。同じ事例は一つとして存在せず、先生方が日々悩み、試行錯誤しながら、常に真摯に教育に立ち向かわれている様子があるのは、前著と同じです。

○「問題となる行動」の内側にある「要因」を掘り下げ、「鋭い視点」を持ち、「継続的」に子どもの内面に丁寧に寄り添う、「急がば回れ」を実践する先生方の姿を浮き彫りにすること

○子どもの内面に寄り添う姿勢と、さらに実践について反省し続ける謙虚な姿勢こそが私たちを成長させてくれる原点である、という部分を大事にすること

○教職員も周囲(保護者も含めて)に頼っていいのだという観点で振り返ること

○保護者の方々の我が子に対する深い愛情と子育ての難しさ、苦労なども盛り込み、また、逆に子育ての楽しさ、素晴らしさも同時に解説することにより、子どもの内面に寄り添うことの意味や大切さ、難しさを共有すること

などを大事にして表現するようにしました。今一度実践のなかで大事にしたい視点を確認し、大切にされなければならない「教育の原点」をみなさんとともに考えることができればと思います。

 なお、各事例には、内容をより理解しやすくする意味で、4コマ漫画を配置してあります。小学生になった主人公「総一郎くん」と先生とのやりとりも、本文とあわせてお楽しみいただければ幸いです。


   /筆者

著者紹介

松村 齋(まつむら ひとし)著書を検索»

大垣女子短期大学幼児教育科教授

臨床発達心理士

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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