- まえがき──学級経営には知っておくべき「コツ」が山ほどある──
- T 「学級開きの3日間」に何をすべきか
- 1 「学級開きの3日間」を迎える前に行う準備
- 2 学級開きで教師は何を話すのか
- 3 何がなんでも初日にほめる!
- 4 手早い「学級組織作り」のコツ
- (1) 学級の委員・係の決め方
- (2) 給食当番の決め方,準備の手順
- (3) 席替えの仕方
- (4) 班の決め方
- (5) 掃除当番の決め方,掃除の仕方
- (6) 日直の仕事
- (7) 朝の会・帰りの会の仕方
- U クラスのリーダーの育て方
- 1 リーダーの条件とは何か
- 2 「やっと学級委員になれてとても嬉しいです!」なぜそんな言葉を中学生が言うのか
- 3 生徒会役員選挙にクラスから24人立候補!?
- V 明るく男女仲良いクラスを作るためのミニゲーム集
- 1 男女の仲が良くなる,クラスが知的になる「五色百人一首」
- 2 クラスが和やかな雰囲気になる「あいさつキャンペーン」
- 3 クラスが熱狂する! 10分ですぐにできる「いす取りゲーム」
- 4 不思議な緊張感が走る「ウィンクゲーム」
- 5 皆で同じ動きをする「震源地ゲーム」
- 6 グループがまとまる「班対抗ミニゲーム」
- W 中学生の「荒れ」と闘う方法
- 1 中学生の「荒れ」と闘う前に知っておくべきこと
- 2 ここで失敗したら取り返せない! 出会いの重要性
- 3 やんちゃくんとどうやってつながるか
- 4 「どうして先生はこんな俺にそんなに優しいんですか」やんちゃくんの言葉から見えてくるドラマ
- X おとなしい子,いじめられている子とどうつながるか
- 1 まず教師が,彼らの「ステキ」を感じる
- 2 彼らはどこにいるのか,何をしているのか
- 3 笑顔を取り戻した演劇指導
- 4 いじめが終わった瞬間のドラマ
- Y これは常識! 学級経営のコツ
- 1 毎日必ず笑顔で明るく全員の名前を呼ぶ
- 2 よく起こることには先手をうつ
- 3 システムを築きルールにもとづき笑顔で指導する
- 4 腹の底からの実感を語る
- Z 保護者とつながりクラスを和やかにするコツ
- 1 学級通信を書くだけでもこれだけの効果がある
- 2 授業参観では何を見せるか
- 3 学級懇談会では何を話すか
- 4 三者面談を迎えるためにやっておくといい準備
- 5 実物資料:学級通信SPRING(教員3年目)
- [ クラスの子どもたち,そして学級担任である自分をこうチェックする
- 1 クラス全員の個人ファイルをこう作る
- 2 学期末の「いい人アンケート」と担任への通知票
- 3 テストや道徳の最後に書かせる「授業の感想」
- 4 学級担任である自分の自己診断チェック表
- あとがき
まえがき
─学級経営には知っておくべき「コツ」が山ほどある─
「中学校はいろいろと大変でしょう」
私が中学教師であることを知ると,いろんな方からそう言われる。
「いえ,とても楽しく過ごしています。」
「とてもかわいい子どもたちです。」
そうこたえると,(そうですか?)と不思議そうな顔で見られる。
さらに,場合によっては,
・クラス全員が班長に立候補したこと
・学級委員の立候補者が多すぎて,なかなかなれない子から相談を受けたこと
・クラスから生徒会選挙の希望者が24名出たこと
・やんちゃな子もクラスのリーダーとして頑張ってくれること
・小学校の頃からいじめられていた子も,笑顔で過ごせるようになったこと
など,いくつかのエピソードを語る。
(信じられない!)との表情で見られる。
たしかに,教員1,2年目の頃は大変だった。
私と決して口をきかない子もいた。
「授業が下手だから全然わからない!」
「担任が新米だから成績が落ちる!」
と言われたこともあった。
やんちゃくんは言うことを聞かずに教室を飛び出し,女子のグループからは嫌われていた。
しかし,多くの教育書を読み,毎月サークルの仲間と集い,数多くの偉大な先輩教師たちから学び,全国セミナーを飛び回り,そうしているうちにいつの間にか「田上の学級経営は中学の奇跡だ!」などと大げさなことまで言われるようになった。
学級経営には,「コツ」がある。担任として知っておくべき「技術」が山ほどある。
・4月,学級開きの3日間で何を準備し何を語るべきなのか。
・楽しい協力的な雰囲気のクラスにするにはどうすればいいのか。
・学級の委員や係をどうすればスムーズに決められるのか。
・やんちゃで反抗的な子とどうやったらつながれるのか。
・いじめられていたおとなしい子にどうすれば笑顔が戻るのか。
・保護者から信頼されるにはどうすればいいのか。
これらのことは,すべてこの本の中に書いてある。
教員になったばかりの私は,どれ1つとして知らなかった。
大学の教育学部でも教えてくれなかった。
知らないまま,教壇に立ってしまった。
結果,当然のことながら,クラスはぐちゃぐちゃになった。
苦しい教員生活をスタートすることになってしまった。
この1冊との出会いが,やる気はあるもののなかなか学級経営がうまくいかない多くの若手教師にとって参考になれば嬉しい。
この1冊と出会った教師の教室で,また1人笑顔で過ごせる子どもが増えれば幸いだ。
/田上 善浩
-
- 明治図書
- 初任者を指導する際に、参考になった。2021/5/540代・中学校教員
- 本書のタイトルは「中学ビギナー」向けのものとなっているが、内容的にはベテラン教師にとっても大変参考になる。田上先生の包み込むような温かさが、いたるところから伝わってきた。やはり生徒指導の根本は「愛」だと改めて感じた。2007/4/8コーパス