- まえがき
- プロローグ
- 第1章 人とかかわる姿を追って
- 1 子どもの姿を見つめてみると
- 2 子どもの人とかかわる姿を見つめてみると
- 3 人とのかかわりをひろげる子
- 4 人とかかわる姿の周りにある「人・もの・こと」
- コラム1 人とつながる −朝のあいさつ−
- 第2章 一人一人を見つめて
- 1 友達と遊ぶ大和の姿から
- 2 「その子がもつ人とのかかわり方」を表す子どもたち
- 3 「その子がもつ人とのかかわり方」が表れる要因
- コラム2 人とつながる −なかよしタイム−
- 第3章 人とかかわる学習場面
- 1 人とかかわる学習場面をつくる
- 2 人とかかわる学習場面のある授業
- (1)「理貴がもつ人とのかかわり方」と,それが表れる要因
- (2)題材「数学ランドで 数えて はめて」〔中学部 数学科〕
- (3)「理貴がもつ人とのかかわり方」が表れる要因を題材にとりこむ
- (4)人とかかわる学習場面で表れた「理貴がもつ人とのかかわり方」
- 3 「その子がもつ人とのかかわり方」が表れる学習場面
- 事例1 友達とふしぎな木への飾り付け〔小学部 図画工作科〕
- 事例2 友達や教師とビー玉遊び〔小学部 ふようタイム*〕
- 事例3 友達や教師と部品を取り付けると電子音が鳴るロボットづくり〔小学部 算数科〕
- 事例4 友達と網を引くことができるおもちゃの魚捕り〔中学部 数学科〕
- 事例5 友達や教師とたくさんの光る的をねらうボール遊び〔中学部 保健体育科〕
- 事例6 友達と写真を見て決める,おすすめパン選び〔中学部 職業・家庭科〕
- 事例7 友達と力を合わせて完成させるパネルづくり〔高等部 国語科〕
- 事例8 友達と一緒に飛行機のおもちゃづくり〔高等部 数学科〕
- 事例9 ステージでの立ち位置を自分たちで工夫するバンド演奏〔高等部 音楽科〕
- 第4章 ともに学ぶ授業づくり
- 1 「今の姿」と「領域・教科における期待する姿」
- 2 「人とのかかわりをひろげる子」を育てる授業
- 3 ともに学ぶ授業づくり
- (1)「静花がもつ人とのかかわり方」と,それが表れる要因
- (2)静花の「今の姿」と「国語科における期待する姿」
- (3)授業を構想する
- @題材を決定する
- A「国語科における期待する姿」に迫るための支援を考える
- B題材の中で,人とかかわる学習場面をつくる
- (4)ともに学ぶ中で,「国語科における期待する姿」に迫った静花
- (5)ともに学ぶ授業ができるまで
- 4 ともに学ぶ子どもたち
- 事例1 動物の鳴き声のするボタンを友達と押して遊び,かごいっぱいにボールを入れて運んだ佐助〔小学部 ふようタイム*〕
- 事例2 大きなボールを動かして遊んでいる友達を追いかけ,両手で斜面を勢いよく押して滑り始めた明生〔小学部 体育科〕
- 事例3 自分が見つけたイルカの名前をおねえさんと伝え合い,人形を一度に2体取り出した啓太〔小学部 算数科〕
- 事例4 友達と様々なゲームに挑戦する最終ステージを行い,魚釣りゲームで短い竿に持ち替えた瑛汰〔中学部 ふようタイム*〕
- 事例5 友達とテレビ番組のコーナーを順番に進め,[やったあ。]という会話文を大きな声で読んだ繁樹〔中学部 国語科〕
- コラム3 人とつながる −栄養教諭の給食訪問−
- 事例6 乗り物や建物の絵の名前を教師や友達に伝え,塗り幅を小さくして下絵の輪郭線の近くを塗った大地〔中学部 美術科〕
- 事例7 夢の公園を飾っていく活動を教師や友達に見せ,花と茎,葉を2色で塗り分けた慶一〔高等部 美術科〕
- 事例8 友達やゲストに喜んでもらうために「お礼の係」をして,鈴をそれまでよりも大きく鳴らした志帆〔高等部 音楽科〕
- コラム4 人とつながる −行事のプログラム配布−
- 第5章 ともに楽しさを感じる子
- 事例1 おにいさんやピエロさんと,動物のまねをたくさんしたよ〔小学部 体育科〕
- 事例2 どうぶつひろばで,キリンさんやウサギさんと遊んだよ〔小学部 国語科〕
- 事例3 動物に変身して,踊ったり,楽器を鳴らしたりしたよ〔小学部 音楽科〕
- 事例4 友達と作品を組み合わせて,町を作ったよ〔中学部 美術科〕
- 事例5 忍者の里で,みんなと的をひっくり返したよ〔中学部 保健体育科〕
- 事例6 友達と音をいっぱい鳴らしたよ〔中学部 音楽科〕
- 事例7 友達と問題をクリアして,メダルを見つけたよ〔高等部 国語科〕
- 事例8 友達と声をかけ合って,数学クイズに挑戦したよ〔高等部 数学科〕
- 事例9 作戦を考えて,友達に伝えたよ〔高等部 保健体育科〕
- 事例10 クリスマス会の写真を見て,みんなと話をしたよ〔高等部 ふようタイム*〕
- コラム5 人とつながる −介護等体験−
- エピローグ
- あとがき
- 研究同人
- *ふようタイム〜様々な「人・もの・こと」とのかかわりをねらいとした,領域・教科を合わせた学習の時間
まえがき
本校は,昭和42年(1967)に開校しました。以来,一貫して子ども一人一人を見つめ,よさを伸ばし,すべての子どもが生き生きと成長し,豊かな生活を実現していくことを願って,教育研究活動を行ってまいりました。
本校の研究主題を振り返ってみますと,最初が「ひとりひとりが生かされる授業」(1969−1970)で,以後,「ひとりひとりを生かすために」(1971−1997),「豊かに生きる子ども」(1998−2005),「豊かな生活につながる子どもの姿を求めて」(2006−2009)となっており,いつの時代も,子どもたち一人一人を大切にして,実践研究に取り組んできたことがわかります。
そして,これまでの研究を受けて,平成22年(2010),「人とのかかわりをひろげる子」を新たな研究主題に設定しました。
本研究の副主題は初年度が「人とのかかわりをさぐる」であり,平成23年度は「人とかかわる中で学ぶ授業」,3年目の平成24年度は「人とかかわることのよさを味わうことができる授業」,研究4年次となる昨年度は「『その子がもつ人とのかかわり方』を活かした授業」として研究を進めてまいりました。この間,常に一人一人の子どもの人とのかかわり方に目を向けて,子どもが日ごろの生活の中で見せる人とかかわる姿から,より生き生きと学習できる授業の在り方を追究してきました。
平成26年度は,研究最終年次となります。そこで,これまで5年間の実践研究の集大成として,本書『ともに学ぶ楽しさを感じる子―人とのかかわり方を活かした授業―』を上梓いたしました。
本書は,本校の領域・教科等の授業実践をもとに編まれています。「人とかかわることのよさを感じている」ということを,子どもの姿で検証するのはなかなか難しい面もありますが,とにもかくにも,
授業の中で様々な人とかかわる姿を子どもたちは見せている。しかも,その姿は大変微笑ましく,生き生きとしたものである。だから,人とかかわることができる授業を仕組んでいくことは,意義があるし,そんな
授業を繰り返していけば,必ず人とかかわることのよさを感じることができるのである。だからこそ,わたしたちは,そんな授業のよさを読者に伝えたい。どうやって伝えるか。それは,子どもの姿で伝えるのが一番である。(本年1月23日の日報より)
※日報〜主幹教諭が教職員に向けて作成
と考えました。そして,
教室の隅でかたまり,なかなか自ら動き出せなかった5年前の彼(A君)の姿を思い出すと,子どもは,確実に成長していると感じる。彼なりに人とかかわることのよさを感じているのだと思う。こういう教育を受けていれば,「みんなと一緒にいるっていいんだ」って読者が思うそんな出版本にしたい。(本年2月4日の日報より)
という思いを強くもって,原稿づくりをしてまいりました。本書がそんな一冊になっていれば幸いです。また,本書に掲載しました写真には,在学する子どもたち全員が登場しています。本書を手に取っていただいた皆様に,本校の子どもたちが人とかかわって,明るく生き生きと活動している様子を思い浮かべて,読んでいただければ幸甚に思います。
本書は,本校にとって明治図書から刊行する14冊目の障害児教育双書となります。今回の発刊に際して,ご尽力いただきました明治図書の木山麻衣子様,有海有理様をはじめ,編集部の皆様に心より感謝するとともに,わたしたちの研究に対して,愛情あふれる厳しいご指導・ご助言をいただいた多くの先生方に,心からお礼申し上げます。
平成26年9月 愛知教育大学附属特別支援学校長 /礒部 洋司
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- 明治図書