- はじめに
- T これが低学年の「学びの共同体」だ!
- 一 「学びの共同体」の姿
- 二 「学びの共同体」には基礎・基本が必要不可欠
- 1 音読する力
- 2 自分の考えをノートに書く力
- 3 調べる力
- 三 低学年の「学びの共同体」は友だちづくりがキーになる
- 1 教師が一緒に遊ぶ
- 2 プロを育てる
- 3 友だちの学びを共有させる
- U 「学びの共同体」をつくる学級づくり
- 一 低学年は保護者との連携がキーになる
- 1 入学説明会で保護者との連携をつくる
- 2 学級通信が保護者との連携をつくる
- 3 お便りノートで保護者との連携をつくる
- 4 授業参観に保護者をまきこむ
- 5 懇談会をこう運営する
- 二 「学びの共同体」づくりのための黄金の三日間
- 1 出会いはこうする
- 2 ルールづくりはこうする
- 3 当番活動を決める
- 4 何をほめ、何を叱るか
- 5 「学びの共同体」をつくる片々の技術
- 三 「学びの共同体」づくりのための一日
- 1 登校時間の発見を生かす
- 2 休み時間にも学び合い
- 3 帰りの会で学びの一押し
- 四 「学びの共同体」づくりのための係活動
- 1 当番活動とは
- 2 プロ当番の一日
- 3 「学びの共同体」としての当番活動
- 4 会社活動とは
- 5 会社活動の実際
- 6 「学びの共同体」としての会社活動
- V 「学びの共同体」をつくる授業づくり
- 一 国語で「学びの共同体」をつくる
- ――言葉を根拠に討論する国語授業――
- 1 音読を大好きにさせよう
- 2 根拠がたくさん出てくる発問をしよう
- 3 ノートに書かせほめてあげよう
- 4 いっぱい発表させよう
- 5 意見が分かれる発問で討論させよう
- 6 絵を描かせて検討させよう
- 7 教師の意見を批判させよう
- 8 一問一答で言葉に敏感にさせよう
- 9 指名なし音読に挑戦させよう
- 10 指名なし発表に挑戦させよう
- 二 算数で「学びの共同体」をつくる
- ――向山型算数こそ「学びの共同体」に最適!――
- 1 教科書を読ませる
- 2 ノートをチェックする
- 3 黒板に書かせて発表させる
- 4 隣の席の子との活動をつくる
- 5 赤えんぴつで薄く書く
- 6 挑発する
- 三 生活で「学びの共同体」をつくる
- 1 ちょっと導入を工夫するだけで
- 2 一度でやめないで、何度か続ける
- 3 縦割り活動を生かす
- 四 音楽で「学びの共同体」をつくる
- 1 挑発すると、子どもたちはどんどんのってくる
- 2 あえて「今日のめあて」を隠す
- 3 低学年の音楽の指導にあたって
- 五 図工で「学びの共同体」をつくる
- 1 一回目は普通に描かせた
- 2 酒井式「変態マスク」追試
- 3 酒井式鑑賞指導法で「学びの共同体」をつくる
- 六 体育で「学びの共同体」をつくる
- 1 「フープリレー」で仲間との交流
- 2 「人間知恵の輪」で、体と心の触れあい
- 七 道徳で「学びの共同体」をつくる
- 1 生き物を大切にしよう
- 八 英会話で「学びの共同体」をつくる
- 1 英語の歌を歌おう
- 2 英語ゲームをしよう
- 3 フラッシュカードをする
- 4 友だちと英語で話す
- 5 「英会話学習スキル1番」の授業例
- 九 コンピュータを使った授業で「学びの共同体」をつくる
- 1 船に色をつけてみよう
- 2 漢字ひつじゅん君で練習しよう
- 3 三角形をかいてみよう
- 十 少人数で「学びの共同体」をつくる
- 1 少人数制スタート
- 2 まずほめる
- 3 音読指導
- 4 指名なし音読
- 5 指名なし発表に挑戦
- 6 一人一人の様子を具体的に評価することができる
- おわりに
はじめに
朝、教室に入ります。いきなり、子どもたちに、上の草を提示します。
この草の名前は何て言うのでしょうか。
子どもたちは、身を乗り出してきます。
「ハーブだ」
「ユーリカだ」
「ユーリカって何だ?」
「それを言うなら、ユーカリだろう」
「違う。これはユーカリではない」
たった、一つの草を見せるだけで、子どもたちの思考回路はフル回転します。
うーん、いろいろな意見が出てますねえ。ちょっと、これ、分からないからはてな?にしておきましょう。
こう言って、朝の会を終えます。
さて、休み時間になると、数名の子が動き出します。
「先生、見つけました。それは、この本に載ってます」
祐輔君が先の草とそっくりの草が載っている本を図書室から持ってきたのです。祐輔君の周りに子どもたちが集まってきます。
「あ、本当だ」「これとそっくりだ」「ホントだ、ホントだ」「祐輔君、すごいなあ」「よく見つけたねえ」
これを機に、他の子も調べ始めます。
翌日。
「先生、うちのおばあちゃん、この草何だか分かるって言ってました」理紗子さんである。
『えー、本当。うれしいなあ。おばあちゃん、知ってるの?』
「うん、知ってるって。うちに、これと同じ草があるんだもん」
『へえ、それはすごい。じゃあ、おばあちゃんに聞いてきてよ』
「うん、分かった」
こう言って、理紗子さんは、翌日聞いてきました。
たった一つの素材を提示するだけで、子どもたちはいろいろなことを学び、考え、それを共有していくのです。
このような低学年の「学びの共同体」をどのように創っていけばよいか。
それに答えたのが、本書です。
本書を読んでいただき、ぜひ低学年の「学びの共同体」をめざしてほしいと思います。
これから、「めでしま」サークルのメンバーの総力をあげての執筆活動が始まります。
本書が多くの方々に役立つことを願い「はじめに」のペンを置きます。
二〇〇一年五月二二日。本書の執筆を開始します。さあ、頑張るぞ。
「めでしま」サークル代表 /漆山 仁志
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- 明治図書