- はじめに
- 登校から下校までを 教師のまなざしで
- ◆第T章 見えないものが見えてくる(登校編)
- 1 挨拶で分かる子どもの実態
- 2 教室で子どもを出迎える
- 3 子どもへの声かけから始まる1日
- 4 学級への適応状況を把握する
- 5 日直の仕事の状況で認め励ます場の確保
- 6 学校生活習慣を見届ける
- 7 1日のスタートをどのようにきることができるか
- ◆第U章 見えるものをより確かなものにしていく(下校編)
- 8 その日の課題を持ち越さない
- 9 子どもの動向に耳を傾ける
- 10 校外での生活を把握する
- 11 校庭遊びの人間関係を把握する
- 12 子どもの変容を把握する
- 13 1日の終わりを気持ちよいものにする
- ◆第V章 言葉遣いのサインを見逃さない
- 14 呼び名がサインの一つ
- 15 言葉遣いの乱れから判断する
- 16 ののしる言葉遣いから判断する
- 17 落書きを見抜く力量をつける
- 18 落書きから見える子どもたちの姿
- 19 教師の言葉遣いが子どもを変える
- 20 日々の言葉遣いから把握する
- ◆第W章 人間関係調整力を見逃さない
- 21 登校時の人間関係を把握する
- 22 休み時間の人間関係を把握する
- 23 授業における人間関係を把握する
- 24 給食時の人間関係を把握する
- 25 体育の授業における人間関係を把握する
- 26 下校時の人間関係を把握する
- ◆第X章 授業における適応状況を見逃さない
- 27 授業に対する取り組み状況を見逃さない
- 28 リーダーシップに対する状況を把握する
- 29 話し合い活動の状況を把握する
- 30 調べ学習の状況を把握する
- 31 総合的な学習の時間の状況を把握する
- 32 体育における適応状況を把握する
- ◆第Y章 子どものサインを見抜く教師の力量
- 33 学級経営力,学級運営能力をつける
- 34 教師の人権感覚を高める
- 35 明確な方針,適切な対応がサインを見抜く
- 36 生活指導上の課題からサインを見抜く
- 37 子どもの学級に対する適応力を見抜く
- 38 学級と家庭との連携を強化して協力態勢を築く
- ◆写真協力◆
- 東京都江東区立平久小学校 主幹 山田 和也
- 東京都国立市立国立第七小学校 主幹 佐々木幹夫
はじめに
2004年の6月に起きた長崎佐世保市での児童殺傷事件は,多くの教訓とともに今の子どもたちをめぐる様々な課題も新たに露呈した形となった。そして,何よりも事前にサインを見抜くことはできなかったのか,様々な状況の変容を見抜くことは無理だったのか,学校関係者の果たすべきことは何か等,学校に寄せられた課題は山積している。
こうした状況のなかで,「待ったなし」で学校での人間関係の状況,言葉遣いの状況などから子どもを見抜く力は大丈夫か,改めて学校生活の1日をどのように振り返り,児童理解を高めていくかが問われている。
一方で,初任者をはじめ学校関係者のなかに十分な指導が行き届かない状況や,学力向上に向けた取り組みに不安を抱えている状況,子どもたちをめぐる様々な課題が見抜けない状況もある。そうしたなかで,教育に携わる者の資質向上,学級担任としての力量を高めていくことの責務は大きい。
本書では,学校生活の1日を,登校から下校までの間でどのようなことを心掛けて子どもたちを見なければならないか,また,見抜かなければならないかを確実に自己のものにして,学校の責任と信頼を得るための手立てを具体的に論じていく。また,特に,子どもの間の人間関係調整力を見逃さない教師の力量や,言葉遣いからくる学級の荒れの状況を把握していく実践を取り入れて,分かりやすく論考していくものとする。
学校生活での子ども理解のために日々の教師必携書として本書が活用され,子どもを守り,子どもとともに歩む姿を明確にした実践によって,学校生活がより安全で,安心して,安定ある教育を提供する場として生きるよう期待するものである。
平成17年8月 /著者 釼持 勉
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- 明治図書