親と教師で取り組む障害児教育9家庭との連携で就労=自立を実現する教育

好評7刷

具体的な事例をあげながら、どうすれば子供たちが伸びるのか、生き生きと活動・自立でき、就労を実現できるのか、その指導法をまとめる。


紙版価格: 1,560円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-128405-0
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
7刷
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 136頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2020年1月27日
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目次

もくじの詳細表示

1章 重視すべき指導
1 生活年齢を重視した指導を
2 将来の自立を見通した指導を
3 家庭生活を重視した指導を
4 実社会での訓練,指導を
5 主体性を引き出す指導を
自分の生活ができるようにする/ 自由と自主性は区別すべきである/ 押しつけでなく,できる援助をする/ 任せて待つ指導を大切にする/ 自主性は人間本来性のものである
6 社会的スキルを身につける
@ 基本的生活に必要なスキル
着替え/ 排泄
A 基本的相互交渉のスキル
あいさつ・返事/ ことばでのやりとり
B 職業・地域生活でのスキル
電話の使用
C 認知的・対人行動のスキル
2章
1 食事
@ 基本指導
欲求/ 量の調節/ 食器の扱い/ 食事マナー/ M子さんの事例
A 偏食・過食への対応
偏食/ 過食
2 衣服の着脱
@ 実態把握をしっかりとする
指示,援助をしないときの実態把握/ 指示,援助をしたときの実態把握
A 指導の基本
意欲を引き出す/ できる工夫をする/ 生活の質を高める/ 早期の指導が決め手となる/ 思いつきの指導が子どもをだめにする/ 意識を育てることが大切である
3 排泄
基本動作の指導を徹底する/ 実社会で通用するマナーを身につける/ 清潔心を育てる/ マナーを育てる/ 正しい行動を育てる/ 実社会での評価を重視する
4 清潔
@ 指導の基本
きれいを実感させる指導を/ 何よりも,まず気づかせる指導を/ 子どもに気づきやすい状況づくりを/ 適切なことばがけを/ 心地よさを実感させる
A 家庭への働きかけ
課題を明確にする/ 家庭へ働きかける
B 具体的指導
手洗い・洗面
5 就寝・起床
昼間の生活を充実させる/ 基本的生活習慣を確立させる/ 就寝前・起床後の活動を重視する/ 生活のリズムを作る
6 生活のリズム
N君の事例
3章 生活力の向上のための指導
1 基本的考え方
2 集団・移動
対症療法的指導は効果はない/ 集団を質的に向上させる/ 外での訓練を取り入れる
3 遊び
遊びの楽しさを教える/ 自ら遊ぶ活動を用意する/ 指導者は子どものレベルに立つ/ 後かたづけを軽視しない
4 応対
返事・あいさつがなぜ必要か/ あいさつの指導/ 返事の指導/ 受け答えの指導
5 礼儀
自他の区別/ 生活のマナー・ルール/ ことばづかい・態度
6 指示の理解
真剣に対応する/ 意味のあることばがけをする/ 理解の確認をする
7 身だしなみ
身だしなみがなぜ重要か/ 自分で整える/ 自立に向けた援助を行う/ 行動の仕方を教える
8 持ち物の管理
自分の物を意識させる指導を/ 時間をかけて徹底した指導を
9 対人関係
問題解決/ 創意・工夫/ ユーモア感覚
10 手伝い
@ 家事手伝い
親任せでは効果は上がらない/ 重視して欲しい指導
A 指導の実際
買い物/ 掃除/ 食事づくり
11 お金(買い物)
@ 指導の基本
現場での指導を重視する/ 計算よりも支払いの仕方を教える/ 机上よりも実際の指導を/ 頭の働く活動を/ 目的ある買い物を
A 指導の実際
小学1年生のT君の事例/ 中学部のN君の事例/ 高等部のH君の事例
12 自主通学
@ 自主通学
自立の力を信じる/ トラブルが適応力を増す/ 自力外出へ発展させる
A 交通機関の利用
早期に取り組む/ 現場での指導を重視する/ いろいろな乗り物を利用させる
13 自己決定・自己選択
子どもの主体性を確保する/ 子どもの意志,気持ちを大切にする/ 体験を積み重ねる
14 余暇
学校で指導すべきこと/ 家庭で指導すべきこと/ 地域社会で指導すべきこと
15 外食
食事マナーを身につける/ 外へ連れ出す機会を多くする/ 一人で外食できる/ 本物に触れさせる
16 コミュニケーション
コミュニケーションマインドを育てる/ 状況が把握できる子どもを育てる/ 子どもの興味・関心を大切にする
4章 就労の実現のための指導
1 実社会で通用する子どもを育てる
15年目に入った自閉症児のO君/ 単身赴任した自閉症児のN君
2 就労事例に学ぶ
事例1/ 事例2
3 就労を目指すための指導のポイント
主体的行動の差/ 認知的対人行動の差/ 指導者の姿勢の差

まえがき

 障害児教育においては,自立,就労は決してはずすことのできない目標であり,それに向けた指導が学校でも家庭でも熱心に行われています。しかしながら,その成果は一向に上がっておらず,学校を卒業しても,自立できない,就労できない者が大半であるというのが現状です。どうしてでしようか。障害児は自立することが困難なのでしようか。就労は無理なのでしようか。私は決してそうは思いません。自立できる,就労できる指導が行われていないから,できないのではないか,と思っています。指導者側にこそ責任があると言えば言い過ぎでしょうか。

 ことばもなく,パニックを頻繁に起こす自閉症児のY君は,将来は施設へいく以外ないと言われていた,大変重度な子どもでした。ところが,その彼が親と教師の2人3脚による指導で,見事就職を果たしました。就職当初は,どれだけ続いてくれるのかと不安の毎日でしたが,1年が過ぎ,5年が経ち,10年が経ち,とうとう,現在15年目を迎えています。この間,不況により会社の経営者が替わり,人員整理も何度も行われましたが,Y君は一度もその対象になりませんでした。ことばもなく重度ですが,精一杯活動している姿が高く評価され,今日まで続いているのです。障害は重度ですが,間違いなく自立した生活を送っています。何がY君をここまで成長させたのでしようか。

 彼に対する指導経過を考察してみて,基本的生活習慣の確立と生活力の向上が,今の彼を支えているということがわかりました。

 自立というと,指導者は大抵は,あれもこれもできなければならない,この子には無理だなどと考えますが,決してそうではないのです。ごく基本的なことが正しく,確かにできれば自立,就労はそれほど難しいことではないのです。

 本書はこうした事例を参考にしながら,どうすれば,この子ども達が伸びるのか,生き生きと活動できるのか,自立できるのか,そして私たちの最終目標である就労を実現できるのか,その指導法をまとめたものです。

 自立,就労に最低必要であると思われる内容を取り上げています。

 一人でも多くの子ども達が自立,就労できるようになればと願っています。そのために本書が多少なりとも役立つことがあれば幸いです。


  1998年6月   著  者

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