障害児学級ブックレット3
楽しみながら進める文字学習

障害児学級ブックレット3楽しみながら進める文字学習

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単なる「文字の読み書き」に限定せず、生活する力の一つの表われとしてとらえ、習得過程でいかなる力をつけているか詳細に考察した画期的指導書。


復刊時予価: 2,244円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-128301-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はしがき
総説 知的障害児と文字学習
あるエピソードから
文字指導の基盤
健常幼児にみられる文字習得過程から考えること
むりをして教え込もうとしていたのではないか
第1章 文字学習の裾野を広げる
ことばは使っているけれど
ことばの広がりをめざして
文字刺激のある環境
日常生活指導や生活単元学習の中で
第2章 生活の充実と文字学習
連絡帳を自分で書く
新聞づくり*生きた歴史をつくる
紙芝居のおまけのようについてくる文字学習
音遊びから文の意識化へ
「ことば遊び」で生活を広げる
電車の図鑑を使った文字学習
第3章 文字学習を楽しいものに
毛筆を使って
つぶやきを詩に
詩をつづる*「みんなで発見! 詩をつくろう」
調理実習とともに
映像メディアの活用
*手軽なメディアを活用して,イメージと結びついた
“使えることば”を身につけさせる
読む意欲をそそったコンピュータゲーム
多動な児童の動きに合わせて
第4章 文字習得に特別な困難さを示す子
見たままがとらえにくい子
*読み書きの困難さが見られた事例
視知覚認知の悪い子
鏡文字の目立ったSくんの指導
遊びを通した文字の獲得
*文字に関心を示しはじめた幼児の事例
終 章 むすびにかえて
どうして,詩や童話の作家が生まれなかったのか?
ひとひねり,ふたひねりのアプローチ

はしがき

 知的障害児の文字指導は,古くて新しい課題である。これまでからも,さまざまな実践が積み上げられてきたし,今後も,いろいろな取り組みが発表されていくに違いない。

 そのような中で,障害児学級ブックレットの1冊として,文字指導を取り上げることになった。これまでに出版されているものとは,ひといろ違うオリジナリティが出せなければ,あまり意味がないのではないかと思った。

 執筆者と協議を重ねていくうちに,

 ・学習の主体者である子どもの立場に立つこと。したがって,「文字指導」ではなく,この子らの「文字学習」でなければならないこと

 ・文字学習を「ひらがなの読み,書き」に限定せず,生活する力の一つの溜め込み方として,あるいは,表れ方として受け止めていくこと

 ・文字習得の結果だけを見るのではなく,習得の過程で,どのような力をつけているかも考察していかねばならないこと

などの切り口が浮かび上がってきた。

 これまでの実践事例を,この切り口から選びだすことになった。考察を進めていくと,いずれの事例も,

 ・子どもたちが本当に楽しめる活動であったこと

 ・子どもの気持ちが文字に向かうためには,その子の現在の過ごし方を揺さぶり続けていたこと

 ・文字は,その子の生活の総合力として組み込まれていたこと。文字だけが切り離されて存在しているのではないこと

などが明らかになっていった。

 このような立場から,本書を『楽しみながら進める文字学習』と名づけることにしたのである。

 本書の編集では,できるだけ多くの実践事例を出すことで,私たちの構想している「文字学習」を伝えていきたいと考えた。中には,これまでの文字指導の概念からはみ出すような事例もある。これは,「文字学習」を広義に解釈しているからである。

 私たちは,障害児教育の現場から,

 「そのような立場からの文字学習があったのか。」

と注目され,ささやかでもこの一石が波紋をよぶことを期待している。

 読者の文字指導における課題意識とずれていないか心配であるが,ご批正をお願いするところである。


  1998年4月   編者 /北脇 三知也

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      明治図書
    • 北脇先生のご著書。是非拝読したいです。
      2011/8/17satchmo

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