- まえがき
- T 子どもとのコンタクトのとり方ガイド
- §1 子どもとの出会い
- 1 担任としての心構え
- 2 学級開き
- 3 子どもを見る目
- 4 公平性の維持
- §2 子どもとの交流
- 1 子どもとの交流の目的
- 2 学年ごとの子どもの特徴
- 3 子どもとの交流の仕方
- 4 子どもの姿の記録
- §3 学級集団のコントロール
- 1 集団指導の基本
- 2 コントロールのツボ
- 3 注意する意味,叱る意味,怒る意味
- 4 注意する時のポイントと手順
- U 保護者との接し方ガイド
- §1 架け橋としての学級通信と通知表
- 1 学級通信の役割と期待
- 2 学級通信作成の手引き
- 3 通知表の作成
- §2 保護者会の実際
- 1 保護者会に求められること
- 2 学習の様子が伝わる教室の準備
- 3 担任の心が伝わる保護者会の準備
- 4 保護者会で話す内容
- 5 保護者会の後に
- §3 クレームへの対応
- 1 保護者からのクレーム処理
- 2 地域からのクレーム処理
- V 学校行事を目指した指導ガイド
- §1 遠足を目指した指導ガイド
- 1 担任としての心構え
- 2 遠足の指導ガイド
- 3 集団行動の指導ガイド
- §2 運動会を目指した指導ガイド
- 1 担任としての心構え
- 2 徒競走の指導ガイド
- 3 団体競技の指導ガイド
- 4 表現の指導ガイド
- §3 学芸会・展覧会を目指した指導ガイド
- 1 担任としての心構え
- 2 学芸会の指導ガイド
- 3 展覧会の指導ガイド
- W 学習指導ガイド
- §1 授業の構成ガイド
- 1 担任としての心構え
- 2 教材研究の仕方
- 3 授業のスタイル
- 4 問題解決型の授業構成
- §2 指導技術の会得ガイド
- 1 授業段階における指導技術
- 2 読み・書き・計算における指導技術
- 3 指導技術を会得する方法
- 4 子どもを伸ばす宿題の出し方
- 5 成績処理の方法
- §3 点数をとらせる指導ガイド
- 1 点数をとらせることの意味
- 2 国語のテストで点数をとらせる指導
- 3 算数のテストで点数をとらせる指導
- X 生活指導ガイド
- §1 子どもが活躍する朝の会・帰りの会
- 1 学級づくり
- 2 朝の会
- 3 帰りの会
- §2 食育と安全から見た給食
- 1 食育の意義と指導
- 2 安全を確保する給食指導のポイント
- §3 はたらく意義を育む清掃活動
- 1 清掃指導の意義
- 2 清掃指導のポイント
- Y 学習指導案作成ガイド
- §1 学習指導案の構成
- 1 学習指導案の意義
- 2 学習指導案の内容
- §2 学習指導案作成のツボ
- 1 教材研究の仕方
- 2 指導法の工夫
- §3 研究授業と授業参観の乗り切り方
- 1 研究授業の乗り切り方
- 2 授業参観の乗り切り方
- あとがき
まえがき
教師には様々な役割があります。校長や副校長・教頭といった管理職の立場もあれば,教務主任や生活指導主任のような学校の中核と言える立場もあります。学年集団のとりまとめ役である学年主任という立場もあれば,音楽や図工などを専門に担当する専科という立場もあります。それらの中でも学級担任は,学級の子どもたちとの最前線にいると言え,学校の主力とも言える存在です。優秀な学級担任がそろう学校はよい学校であり,その逆もまた然りでしょう。学級担任は一国一城の主であり,その集合体が学校を形成しているのです。
学級担任の仕事は,様々であり多岐にわたっています。子どものこともあれば,学級事務もありますし,保護者のこともあるのです。それらの仕事を一言で表現すれば,学級の子どもを幸せにすることが,唯一の学級担任の仕事でしょう。目先の幸せでなく少しだけ先の幸せ,今の幸せでなく将来の幸せの実現を手助けするという崇高な仕事が,学級担任の仕事なのです。
かつては小学校教員採用試験は,競争率50倍や100倍を超える難関でした。しかし,最近は都市部を中心に門戸がずいぶんと広くなってきています。それと同時に教職に就いて間をおかずに,自主退職をする若者が多くなっています。その原因の多くは,子どもが分からない,子どもが言うことをきかない,授業が成立しない,保護者とうまくつきあえない,といった学級担任のイロハに関わる内容です。
以前は,先輩の先生が新卒の先生にアドバイスをするなど,学校における教育力が旺盛でした。しかし,現在の学校には保護者の価値観の多様化,勤務条件の悪化など,学校の先生にはゆとりがないと言われています。したがって,かつてのような学校における教育力はほとんど機能していない現実があります。
本書は,学級担任のイロハを丁寧に説明することを目的に編纂されたものです。学級担任として何をいかに教えるべきか,いかに集団を作るかを軸にして,運動会や学芸会を見据えて年間を通した教科指導の妙,遠足を見据えた集団づくりのコツ,保護者からクレームを受けない指導のポイント,次に担任する教師が満足する教科指導のツボなどを詰め込んだ,1冊です。
本書の執筆陣は,若手の先生方を念頭に,教師としての力量を高めることを目的として,お願いしました。いずれも学級経営のプロであり,それぞれ専門の教科をもって各分野で活躍されている先生ばかりです。分担執筆を原則としていますが,全体を通して編集を担当した石井にその責任のすべてがあることをお断りしておきます。
最後になりましたが,明治図書出版株式会社の編集部長である樋口雅子氏には企画の段階から適切なアドバイスを頂きました。そして,2年半前に完成を目前にして病床に伏したために頓挫したこの原稿に,再び出版の機会を与えていただきました。ここに感謝申し上げます。
平成21(2009)年8月 /石井 勉
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- 明治図書