- まえがき
- T章 学級づくりの難所にどう対処するか
- 1 学級づくりの難所とは
- 2 難所を克服するために
- 3 難所は必ず克服できる
- U章 学級づくりの難所攻略に必要な原則は何か
- §1 1年生の学級づくりの難所攻略の原則
- §2 2年生の学級づくりの難所攻略の原則
- §3 3年生の学級づくりの難所攻略の原則
- V章 1年・学級づくりの難所攻略12か月
- §1 1学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 中学校生活スタート時の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 初めての学級組織づくりの難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 不登校を生み出さない指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §2 2学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 学級組織再編時の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 初めての学校行事への取組み指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 いじめ問題解決の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §3 3学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 規律ある学級生活づくりの難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 保護者との信頼関係づくりの難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 一年間のまとめと進級への指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- W章 2年・学級づくりの難所攻略12か月
- §1 1学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 中堅学年の学級スタート時の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 係の活動や当番活動の実践意欲を高める指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 宿泊体験活動の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §2 2学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 学級の団結を強める指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 生徒会役員や各種委員への意欲を高める指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 生活態度や授業態度の乱れを改善する指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §3 3学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 対立や孤立を解消する指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 学習意欲を高める指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 学級担任と生徒の信頼関係を築く指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- X章 3年・学級づくりの難所攻略12か月
- §1 1学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 所属感を高める学級づくりスタート時の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 人間関係を深める修学旅行の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 主体的な学習態度を育てる指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §2 2学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 全力で取り組む学校行事の指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 進路決定に向けた教室環境づくりの難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 実践意欲を高める進路相談の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- §3 3学期の学級づくり難所攻略の方法
- ■1 互いを高めあう友人関係づくりの難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■2 思い出に残る活動を創造する指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
- ■3 感動の卒業式にするための指導の難所
- (1) なぜ難所なのか
- (2) 難所攻略の方法
まえがき
学級担任と生徒を取り巻く教育環境はめまぐるしく変化し続けている。教育制度も様々な改革・変革が進行し,校内では選択教科や少人数指導が導入され学級の枠を超えた学習も増加している。
そして,いじめ問題,不登校問題,非行・問題行動,学力問題などの様々な課題は学級担任の不断の努力にも関わらず一向に解決・解消の兆しは見えない。日々,生徒と向き合って懸命に対応策に取り組んでもなかなか好転しない状況は,学級担任に空しさや切なさなどの影を落としている。加えて,学級担任に対する理不尽な要求や社会常識に欠ける要求,些細な問題に対する責任追及や責任転嫁も増えている。
このような状況の中で閉塞感を打破する良策の一つは,原点に立ち返って改めて学級づくりに取り組み直してみることではないか。教育改革によって学校が変わっても,保護者や生徒が変わっても,学校の基盤は学級という学習集団であり,生活集団である。
中学校では,学級担任は教科担任としての顔,部活動顧問としての顔,校務分掌や学年分掌担当者としての顔など,様々な顔を持っている。そして,学校行事や学年行事などの指導も自分の学級だけでなく他学級の指導にも当たる。常に学年の他教師と共に指導に当たることが多い。こうした実態は,学級担任としての自分の学級に対する意識や愛着,責務を薄くしてしまう傾向がある。そのために学級担任の顔が浮かび上がってくる学級や学級担任の人間性が反映されるような学級が少なくなった。学級担任は,単に学級を維持し,管理するだけの関わりに終始するようになってしまう。学級担任の姿を学級で見るよりも職員室で見ることが多くなっている。
学級づくりは,教師として最もやりがいのある仕事であり,日本の教師にとっては教科の学習指導と同等の重要性を持っている。この学級づくりには苦労や努力が伴うが,使命感と生徒愛をもって取り組んでいくことが大切である。学級担任として悩み,苦しみ,戸惑っても問題や課題に正面から立ち向かえば,必ずや打開策,克服策が見えてくる。学級担任としての試練ととらえ,これを乗り越えれば学級は成長し,一人一人の生徒も成長する。もちろん学級担任も教師として成長する。
本書は,果敢に学級づくりに挑戦していこうとする学級担任の一助になればとの思いから,学級づくりの過程で生じるであろう難所を取り上げ,その克服の方策例を示した。各学級の実態に即してアレンジしていただき,難所を克服していただければ幸いである。
学級づくりに難所はつきものであり,難所はあって当たり前である。一年間の指導の折々に難所は存在し,一つの取組みの中にも存在する。難所が存在しているということを認識できる感性さえあれば,難所は克服したのも同然である。学級担任の生徒を包み込む温かい心,生徒を認め支える細やかな心,生徒に嘘・偽りのない誠実な心,生徒から学ぼうとする謙虚な心,これが学級づくりのキーワードである。
結びにあたり,本書の刊行の趣旨にご理解をいただき貴重な資料を提供いただいた諸先生方,刊行に際しご尽力を賜った明治図書出版株式会社の安藤征宏氏をはじめ編集部の皆様に心から感謝を申し上げます。
平成19年7月 編者 /桑原 憲一
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- 明治図書