若手教師アシスト選書7
明るい教室環境づくり12か月 小学校

若手教師アシスト選書7明るい教室環境づくり12か月 小学校

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子どもの心がぐんぐん伸びる教室環境づくり

子ども達が創り出す教室環境。その動的な働きを担任はどう支援していくか。低、中、高学年別に12か月の学級づくりの流れに添って、とっておきのアイデアを多数の実物資料を掲載して紹介する。若手教師の力強い味方になれる1冊。


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ISBN:
978-4-18-116110-1
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 176頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T章 あなたの教室環境イメージは?
―教室環境はあなたの「学級経営の質」が問われる―
§1 「きたない教室」
§2 「きれいな教室」
§3 「うるさい教室」
§4 「生きている教室」
§5 教室環境は「教師自身」
U章 あなたの教室環境デザインの戦略指針は?
―教室環境はあなたの「センス」が問われる―
§1 教室環境デザインを「盗む」
§2 教室環境デザインは「日常」から
§3 教室環境デザインに「センス」を
V章 低学年・明るい教室環境づくり12か月
§1 4・5月のデザインと実際
A 〈キラリ見つけ〉〈仕事見つけ〉
B みんなのめあてをつくろう 〜学級目標づくり〜
§2 6・7月のデザインと実際
A みんなで祝おう みんなの誕生日
B 1年間使える教室の基本アイテム 〜うたごえ楽譜・読書の木〜
§3 8・9月のデザインと実際
A いよいよ 夏休み
B ペタペタレターでみんながつながる 〜ふせんメモで よいとこ見つけ〜
§4 10・11月のデザインと実際
A 実りの秋は〈実りの教室〉
B スポーツの秋・芸術の秋
§5 12・1月のデザインと実際
A きっかけは例えば〈鏡餅〉
B みんなでかざろう 私たちの教室
§6 2・3月のデザインと実際
A 〈学級の終わり〉はカレンダーの積み重ね
B ありがとう 6年生 〜卒業をお祝いするプレゼント〜
W章 中学年・明るい教室環境づくり12か月
§1 4・5月のデザインと実際
A 子どもの笑い声が大きくなっていく
B はじめよう!係活動
§2 6・7月のデザインと実際
A 生きて成長する学級目標
B 学級会コーナーを作ろう
§3 8・9月のデザインと実際
A 楽しかったね,夏休み!
B 話合いを活性化しよう
§4 10・11月のデザインと実際
A 教室中が運動会気分!
B 行事を120%活用しよう(異学年集会)
§5 12・1月のデザインと実際
A みんなで拍手!作品展
B 学級集会を成功させよう
§6 2・3月のデザインと実際
A こんなに成長した世界一周旅行
B 係活動でこんな教室になったよ
X章 高学年・明るい教室環境づくり12か月
§1 4・5月のデザインと実際
A 基礎基本の〈当番表〉
B 〈思い・姿・計画・足跡〉みんな一緒に!
§2 6・7月のデザインと実際
A 学級目標を視覚的に
B 係 大好き!
§3 8・9月のデザインと実際
A 運動会のがんばりを生かそう
B 学校生活,グレードアップ再スタート
§4 10・11月のデザインと実際
A 〈紹介新聞〉で振り返ろう
B みんなでフェスティバルを成功させよう
§5 12・1月のデザインと実際
A 新しい年 さあ!
B 冬休みに向けて,そして新しい年を迎える教室
§6 2・3月のデザインと実際
A 6の3フラワー花束をつくろう
B 希望と夢をもって最高学年へ(5年生)
あとがき

まえがき

○ 「子どもたち色」

 小学校の教室は全国どこでも基本的に同じである。8m四方,つくりもほぼ同じ。しかし,教室に入ると何かが違う,雰囲気が違う,全国同じ教室はない。それは教室がその学級の色,「子どもたち色」に染められていくからである。「子どもたち色」とは何か。

○ 「私たちを見て,私たちの学級を見て」

 20年も前のことである。そのときの勤務校は毎年研究発表会を開いていた。だから,私も毎年,市内市外の多くの教員を前に授業を公開していた。

 それは5年生の担任の時であった。

 研究発表会の前日,こんな話を子どもたちにした。

 「明日,たくさんの先生がみんなの授業を見に来る。でも,みんなはいつもと同じでいい。だけど,心の準備をしてほしい。心の準備を何かの形に表せるといい。たとえば,鉛筆を削ってくるとか」

 私の話はそれで終わった。

 そして,次の日。中休みに鉛筆を削っている子がいた。一・二時間目の授業で鉛筆を使ったから,削り直していたのである。私はもしやと思い,子どもたちに聞いてみた。「きょう,鉛筆を削ってきた人」

 全員が手を上げた。いままでこんなことはなかった。すぐに言葉を発することができなかったほど,この子どもたちの素直さ,意欲に私は強い感動を覚えた。

 一時間目の授業中,教室の後ろのロッカーの上に花瓶にさしてある花が二つあるのに気づいた。今日のためにだれかが持ってきてくれたのだろう。

 しかし,いつもは花がないのに公開授業のときに花があるというのは,私には照れくさい。そこで,授業中,子どもたちに気づかれないよう,二つの花瓶をそっと端に動かした。目立たないようにしたのである。すると,中休み,女の子がふたりその花瓶を動かして元の位置に戻していた。

 私は聞いてみた。「この花どうしたの」

 「私たちふたりで買ってきました」

 「お金はどうしたの。お家の人に出してもらったの」

 「いいえ違います。ふたりのお小遣いを出し合いました」

 子どもたちの気持ちがひしひしと伝わってきた。公開授業に対する子どもたちの気持ち,「私たちを見て,私たちの学級を見て」という意欲・凝集性・誇り……それらを強く感じた。

 私は「公開授業がうまくいった,うまくいかなかったなんて,もうどうでもいい。この子どもたちの気持ちで十分だ」と思った。

○ 「みんなの心」の表現

 「花をかざる」これも教室環境である。そして,子どもたちが自ら創り出している。そして,そこには「私たちを見て,私たちの学級を見て」というみんなの強い気持ちがこもっている。

 それは,それまでの子どもたちによるクラスづくり・仲間づくりにより学級が子どもたち色に染まってきたからである。子どもたちはその色を教室環境に反映させようとしたのである。もっと正確に言えば,子どもたちみんなの気持ち,「心」を教室環境に表現したかったのである。

 ここに教室環境の本質がある。

 教室環境は教師が創り出すものではない。教室環境は静的なものではない。

 教室環境は子どもたちが創り出す,動的なものである。

 本書で表現したかったことはこのことである。

 「子どもたちが創り出す教室環境」その実践の陰にひそむ,教員の「子どもたちへの思い,学級経営への姿勢」それらも伝えられたら本望である。

 「教室環境は子どもたちが自ら『子どもたち色』に染めていく」


  2006年11月   編者 /松永 昌幸

著者紹介

松永 昌幸(まつなが まさゆき)著書を検索»

神奈川県横浜市立日枝小学校長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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