- はじめに
- T 個と集団づくりのためのゲーム
- (1) 握手でよろしく 学級開きの時期に
- (2) 大当たり! 友達ビンゴ エンカウンターの手法を取り入れて
- (3) 私はだれでしょう エンカウンターの手法を取り入れて
- (4) ご指名ゲーム 席替え直後に
- (5) みんなで完成させる絵 楽しい雰囲気を作る
- (6) スパイは何番? 集団遊びを楽しむ
- (7) もしも私があなただったら 互いのよさを認め合う
- (8) ジェスチャー伝言ゲーム 和やかな雰囲気を作る
- (9) ジェスチャーお絵かき のびのびと表現する
- (10) 物語づくり 表現力を高める
- (11) Sけん 休み時間に
- (12) なかよし椅子取りゲーム 元気なクラスを目指して
- (13) ぼくの・私の大発見! 調べてみよう
- (14) みんな友達、だあれかな? スキンシップを楽しむ
- (15) 友達集まれ スキンシップを楽しむ
- (16) 仲間集め 他者理解のために
- U 場に応じた遊び
- (1) 水中ペア競走 プールでの遊び
- (2) オーエス、水中綱引き プールでの遊び
- (3) 水中障害物 プールでのゲーム
- (4) ジャンケン野球 雨の日に
- (5) 力を合わせて〜おいもほり 男女なかよく
- (6) 親子で握手 親子交流会で
- (7) まちがえないで 親子交流会で
- (8) 親子おばけ大会 親子交流会で
- (9) 子とろ子とろ 親子交流会で
- (10) 2人で運ぼう〜お箸で宅急便 親子交流会で
- (11) 室内ボーリング お年寄りと一緒に
- (12) お手玉まと当て お年寄りと一緒に
- (13) ぼくの特技を見てください お年寄りと一緒に
- (14) 手ぬぐい渡し 遠足のバスの中で
- (15) カメラゲーム 自然に親しむ
- (16) 宝はあげないよ! 遠足で
- (17) 線おに、島おに 準備体操の一環として
- (18) お相手、どの子? 学年で楽しめる
- (19) ステレオゲーム 緊張をほぐすゲーム
- (20) ジャンケン列車 全校集会で
- (21) パン タラン タン 異文化理解のきっかけづくりに
- V 学習ゲーム
- (1) いいわけ上手 国語学習ゲーム
- (2) 新聞絵ばなし 国語学習(遊び)ゲーム
- (3) 地名しりとり 社会学習ゲーム
- (4) タイム・長さ・高さ・距離あて 算数学習ゲーム
- (5) 算数オリンピック 算数学習ゲーム
- (6) 数字ゲーム 算数学習ゲーム
- (7) 電卓ゲーム 算数学習(遊び)ゲーム
- (8) 大砲ゲーム 調整力を育てる
- (9) 漢字バラバラパズル 国語学習ゲーム
- (10) 文章バラバラパズル 国語学習ゲーム
- (11) 文章虫くいパズル 国語学習ゲーム
はじめに
★ 遊びを知らない子どもたち
子どもたちは一体どうしてしまったのだろう。
友達の家に遊びに来てもテレビゲームがないと遊べない。テレビゲームがないときは、お菓子をほおばりながらマンガの本を読みふける。それも一人一人ばらばらに。そして「楽しかった。またね!」と再会を誓い合う。
家族団らんのはずのファミリーレストランでも注文の品が来るまでの間、親子それぞれに雑誌やマンガに顔をうずめる。
お互い同士関われないのか、関わりたくないのか、関わり方を知らないのか。自然溢れる野原に行っても、バッグの中からボールを取り出しサッカーを始める。フリスビーを取り出し投げ合いを始める。足元のシロツメ草を踏みつぶし、ペンペン草には目もくれない。
自然とは遊べないのか。それとも道具に遊ばれているのか。
★ 遊べないのは子どものせいではない
しかしここには、重大な2つの問題が潜んでいた。
1つは、遊びを教えられない先生が増えているということ。教えられないということは、つまり遊びそのものを知らないということ。または、知っているのだけれども遊びを教える「ゆとり」がないこと。これは、学校自体に「遊び」がないということでもある。
21世紀に実施される学習指導要領では各教科で大幅な「厳選」がなされた。しかし、一方で「基礎・基本は徹底的に教え込む」とうたっている。「総合的な学習の時間」が生まれたところで、どこまで子どもの生活にゆとりができることか。
そしてもう1つは、そうしたゆとりのなさは学校だけでなく、家庭にも蔓延しているということ。偏差値教育から個性化の時代へと変わり、大学や高校の受験体制も変わろうとしているのに、相変わらず下校後の子どもの生活は塾通い。友達同士遊ぶにも手帳を出し合ってスケジュールを確かめなければならない。生活のリズムも崩れ、食べ物のバランスも崩れ、体力は低下し休みの日があってもゴロゴロしているばかり。
子どもたちはどうしてしまったのだろうと嘆く前に、学校はそして家庭は大丈夫なのか、もう一度問い直す必要がありそうだ。
★ 遊びの効用
子どもは本来、遊びの中から多くのものを学んできた。1つの遊びをするにしても年齢に応じて、性別に応じて、その子の特性に応じて、さまざまな特別ルールが作られた。その代表が「おみそ」だろう。人を差別するためではなく、どの子も遊びに参加できるようにするために作られた特別ルールは、1つの「思いやり」の姿でもある。こうして子どもたちは、遊びの中で自然に人間関係を学び、道具の使い方を学び、自然との関わり方を学び、そして自分の夢を膨らませていった。
また遊びやゲームには「心の癒し」の効果も十分期待できる。心を閉ざしがちな子も、のびのびと動きまわったり、大きな声で叫んだりすることで自分自身を解放することができる。現在家庭でも少なくなってきたスキンシップも、遊びを通して自然な形で体験できる。今まで気付かなかった友達の一面に触れ、今まで見過ごしてきた自然の豊かさを感じる。
こんな教育的な価値のある「遊び・ゲーム」をもっと学校教育の中に積極的に取り入れていかない法はない。
「遊び・ゲーム」を学級経営の1つの軸に取り入れれば、どんな子でももっと楽しく学校生活に取り組めるはず。
/清水 保徳
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