- まえがき
- T 一年生を学級集団に育てる
- 一 ドキュメント! 入学式当日の全記録
- 1 登 校
- 2 入学式前
- 3 入学式
- 4 初めての学級活動
- 5 保護者への話
- 6 写真撮影そして下校
- 二 入学式当日から集団を意識させる
- 1 学級活動の分析
- 2 健康観察で友だちの名前を意識させる
- 三 「わがままをしない」「楽しい活動を仕組む」
- 1 二つのポイント
- 2 校長先生の話
- 3 学校の約束
- 4 わがままをしない
- 5 ドン・ジャンケン
- 四 「遊び」の中で、子どもは育つ
- 1 「こうえんにいこう」
- 2 トラブル続出
- 3 少しずつ成長
- 4 全員遊び
- 五 「男子対女子」「男子と女子」をうまく使い分ける
- 1 男子対女子
- 2 男子と女子
- 六 「一人ぼっちの子」の調査
- 1 「一人ぼっちの子」の調査
- 2 「一人ぼっちの子」の調査の効果
- 3 教師も遊ぶ
- 七 「全員遊び」がついにできた
- 1 集団意識を高める原則
- 2 ルールを教え、守らせよ
- 3 楽しい活動の中で、教えよ
- 4 ついに昼休みの「全員遊び」が実現
- U 授業で一年生を育てる
- 一 再現! 一年生初めての国語の授業
- 1 手でアイロン
- 2 ページを確かめる
- 3 「表紙」を扱う
- 4 「ひらがな」を探す
- 二 一年生初めての音読指導
- 〜「原則」どおりにやる
- 1 フラッシュカードから始める
- 2 「あ」
- 3 教科書を扱う
- 三 一年生に音読のシステムをつくる
- 1 丸一〇個のシステム導入
- 2 誉める
- 3 読むときの注意
- 4 回数を尋ねる
- 四 一年生初めての「話す・聞くスキル」
- 〜「あいうえお」であそぼう
- 1 変化のある繰り返しで音読
- 2 スキルアップでさらに楽しく
- 五 一年生初めての「向山型一字読解指導」
- 〜問題の質がポイントである
- 1 授 業
- 2 授業の考察
- 六 一年生初めての「五色百人一首」
- 〜一年生でも必須アイテムである
- 1 準備からやる気満々
- 2 一時に一事の原則で指導
- 3 百人一首の効果
- 七 一年生初めての「暗唱直写スキル」
- 〜「ホームラン級の教材」を実感!
- 1 音 読
- 2 直 写
- 3 暗 唱
- 八 一年生初めての「漢字指導」
- 〜最初の漢字テストで全員一〇〇点!
- 1 一日目 新出漢字の指導
- 2 二日目 テスト練習
- 3 三日目 テスト
- V 一年生に「読み」「書き」の力をつける
- 一 読む力をつける その1
- 〜「実態を正確に把握する」ことの大切さを実感する
- 1 ひらがなの読みの指導では成功
- 2 音読指導では失敗
- 3 実践の考察
- 二 読む力をつける その2
- 〜「実態を正確に把握」して、手立てをうつ
- 1 音読の実態
- 2 三つの手立て
- 三 読む力をつける その3
- 〜音読テストで子どもは力をつける
- 1 「あめふりくまのこ」で勝負をかける
- 2 「どうぶつの赤ちゃん」で力を伸ばす
- 四 書く力をつける その1
- 〜誉めて、誉めて、誉めて、「日記」を書かせる
- 1 宿題プリントの裏を利用する
- 2 絵を描いてくる
- 3 文を書き始める
- 4 文章を書き始める
- 5 宿題にする
- 6 学級通信で紹介する
- 7 最後の二人が書き始めた
- 五 書く力をつける その2
- 〜一年生に読書感想文を書かせる
- 1 山田式読書感想文指導
- 2 内容を理解させる
- 3 心に残ったことを出させる
- 4 似たような体験を引き出す
- 5 作文用紙に書かせる
- W すべての子どもを熱中させる
- 一 誉めて、誉めて、誉めて、育てる
- 1 誉めることの大切さ
- 2 言葉で誉める
- 3 目で誉める
- 4 頭をなでて誉める
- 二 授業は「つかみ」で決まる
- 1 授業開始三分のテープ起こしと分析
- 2 授業開始三分のテープ起こしの考察
- 三 TOSSランドに全員熱中
- 1 楽しいから、ルールを守る
- 2 初めてのTOSSランド
- 四 パソコン室でもTOSSランドに熱中
- 1 年度末、TOSSランドで習熟を図る
- 2 初めてパソコン室へ行く
- 3 初めてパソコンを使う
- 4 学習ゲームに熱中する
- 五 ALTとの英会話の授業を成功させる
- 1 英会話で崩壊させないワザ
- 2 授業の最初〜あいさつ
- 3 動作ゲーム
- X 子どもの成長を事実で示す
- 一 一年生初めての参観授業
- 〜全員活躍の授業を行う
- 1 あかねこかんじスキル〜ひらがなのれんしゅう
- 2 音 読
- 3 言葉集め
- 二 二回目の授業参観
- 〜成長している事実を示す
- 1 最重要の二回目の授業参観
- 2 TOSSランドを使う
- 3 スマートボードで教科書を扱う
- 4 音読をする
- 三 「命の授業」を授業参観で行う
- 1 「どうぶつの赤ちゃん」の発展で「命の授業」をつくる
- 2 授業記録
- 3 授業の反省
- 四 学級通信で子どもの事実を示す
- 1 学級通信に名前を載せる
- 2 成長の様子を名前を挙げて書く
- 3 数字を示す
- あとがき
まえがき
教師生活一七年目にして初めて、一年生を担任した。
数年来の希望がようやく叶った。
周りの反応は違った。
始業式での担任発表。校長先生から「一年生の担任は田口先生です」と発表がある。
子どもたちは、驚きのあまり声も出なかった。
周りの先生も心配して、本を貸してくれたりした。
入学式前日の夜、入学式のシミュレーションをした。
子どもたちがやってきてどうするのか、入学式前には何を話すのか、入学式後の学級指導はどうするのか、どのような話をするのか、頭の中をぐるぐる回った。
入学式当日、実際に子どもがやってくると、自然に子どもの目線まで下がって対応していた。
朝一番に全員と握手をした。これは非常に効果があったようだ。
子どもたちは不安いっぱいなのだ。握手で安心感を与えたようである。
さて、無事に入学式を終え、幸先のよいスタートが切れた。
うまくやれそうだと思ったのも束の間だった。
翌日、学校生活の仕方から教えようとした。席に座っていられない子どもが何人もいた。靴箱の確認をしようと連れて行き、教室に戻ろうとすると、いなくなっている子どももいる。話をほとんど聞けない。しかも、不安から泣き続ける子どもがいる。
三四人の子どもたち。覚悟はしていたが、予想を超えていた。
次の時間、授業をした。国語である。これには子どもがのってきた。反応がとてもいい。楽しい授業ができた。
子どもたちを集中させるには、授業をすればよかったのである。
授業をする中で、子どもたちを育てていく。
この基本方針が明確になった。
授業は、向山型指導が大原則である。
向山実践の追試では、明らかに子どもの反応が違った。
あかねこスキルなどの教材にも、子どもが熱中した。「楽しい」「またやりたい」の声が出てくるのである。
教材は、ユースウェアどおりに使うのが基本である。「一年生だから」といって、変える必要はほとんどない。
ここでも向山型指導のすごさを実感できた。
一年間で子どもたちは大きく成長した。
保護者からも感謝される。「ぜひ持ち上がりを」という声を数多くいただいた。
向山型指導のおかげである。
本書は、向山型指導を一年生で行った実践をまとめたものである。一年生を担任する方のお役に立てれば、幸いである。
実践では失敗もある。我流もある。見えていない部分もあるだろう。ぜひご批正していただきたいところである。
本書を執筆するに当たって、明治図書の江部編集長には、終始アドバイスと励ましを頂いた。ここに御礼を申し上げます。
また、TOSS代表の向山洋一先生、日頃からご指導を頂いているTOSS熊本の椿原正和先生に御礼を申し上げます。
そして、何より一緒に学んできた三四人の子どもたちとその保護者のみなさんに感謝します。
二〇〇八年四月 /田口 広治
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- 明治図書