“子ども集団力づくり”原理原則入門2
子ども集団として組織する原理原則

“子ども集団力づくり”原理原則入門2子ども集団として組織する原理原則

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学校の教師は家庭教師ではない。集団を組織する力が必要だ。

子どもの成長にとって不可欠とも言える集団性。その子ども集団を組織化し、活性化させるための手立てとは何か。常にパワーとエネルギーが溢れる学級にするための指導法をキーワードを用いて紹介。若い先生はもちろん、学級経営に悩むベテラン先生にも必読の書。


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ISBN:
4-18-107819-1
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
序 向山学級のキーワードによる集団づくり
教師の対応の仕方で学級は変わる /青坂 信司
『向山学級騒動記』から学ぶ向山洋一氏の教育観・子ども観/ 「事実」を伝え「正直さ」を求める/ 「事実」をほりさげる/ 「責任」をとらせる/ 解決するために時間を与える/ 日常の指導の成果/ 「事実」と「意見」を分ける
T 子ども集団を組織化するためのキーワード
[1] 「黄金の三日間」とは向山洋一氏が世に出した言葉である /水野 正司
「三日間」に発するすべての言葉が集団に影響するということを自覚しているか/ 「ぼくたち、ちゃんとやっている」という状態を教室の中につくり出しているか/ 向山氏が言う「名前を覚えたら次にすること」を実行しているか/ 「三日間」はめっちゃ明るくスタートしているか
[2] 「自由立候補じゃんけん制」どの子もリーダーになれる /平田 純也
「自由立候補じゃんけん制」の実践/ なぜ選挙がダメなのか?/ 差別の構造を破壊せよ/ 「自由立候補じゃんけん制」の実践を重ねて
[3] 係り活動は全ての子どもがリーダーに立てる場である /大石 貴範
当番活動と係り活動の違い/ 当番活動と切り離した係り活動の姿/ 係り活動のもう一歩のつっこみ/ 当番活動と係り活動の分離の意味
[4] 「担任がいなくても機能する」しくみは子どもの「快適な」生活のためにある /馬場 慶典
「快適」のために「しくみ」はある/ 当番的な仕事を分担する/ 学級生活を豊かにするしくみ
[5] 逆転現象
〜差別構造を破壊するために〜 /和歌 千明
逆転現象は差別構造を破壊するためにある/ 逆転現象をしかけるのは教師である/ 逆転現象は子どもを変える
U 子ども集団を活動で活性化するためのキーワード
[1] 「裏文化」は、子どもを育てる魔法の力だ /菅野 博文
まずは「昔遊び」を教室に持ち込む/ 「戦略」の必要な遊びを教える
[2] 「学級レク四連発」だってあり! /永山 祐
キーワード「イベント」/ 向山実践の大イベント/ みんなでクラスを盛り上げよう、学級レク/ 学級レク四連発
[3] 五色百人一首・成功までの道筋……宍戸威之
準備/ やり方/ 注意点/ 発展/ 成功の秘訣
[4] 「パロディーの授業」は向山学級の裏文化の象徴である /山辺 慎太郎
向山学級、大笑いの秘密は「パロディーの授業」/ 中学生が熱中した「パロディーの授業」/ 生徒の「予言」
V 効果的な指導のためのキーワード
[1] 放課後の孤独な作業 /藤原 佳澄
[2] わだかまりを残さないために、優しく・毅然と対処する /平田 純也
ダメな指導の典型/ 「短く・スパッと」けんかの処理/ 原則通りの指導/ 向山氏による「けんか両成敗」ライブ体験
[3] 靴隠しは二度と起こさせない /佐々木 智穂
クラスを味方につけて、やんちゃ君との対決に勝利する/ 「靴隠し」は二度と起こさせないようにする
[4] きちんとしていないが乱れていない /山辺 慎太郎
減点主義か、加点主義か/ 「加点主義」で、林間学校をこう行った/ 終った後も「加点主義」。反省はしない。ビデオを見る
[5] アドバルーンとの闘いに勝ち、安心できる教室をつくろう /富樫 慎也
小さなうちに叩いておく/ 教師VS子ども一人の対決/ 集団を味方にする対決/ 保護者を巻き込む対決/ 予想を超えたアドバルーン
W 差別と闘うためのキーワード
[1] 些細なシステムの違いが弱肉強食を生み出すか否かの境界線になる /角田 俊幸
おかずは少なめに盛りつけさせる/ おかわりは温食から牛乳、ゼリーなどは最後/ 食の強い子への配慮も忘れない。温食は少し残しておく
[2] 差別を許さない学級世論をつくる /大石 貴範
差別にどう立ち向かうか/ まず差別を許さない学級世論をつくる/ 小さな差別を見逃さない/ いじめとの対決
[3] 「自己否定できるたくましさ」を育てる /今野 邦治
[4] 子どもの可能性を引き出すために小さな「信頼」を重ね続ける /水野 正司
小さな信頼を重ね続けるためのターニングポイント/ 叱り方の原則・追補
[5] 向山実践「空白の四日間」を読み解く /青坂 信司
教室から先生が出ていく/ 向山実践「空白の四日間」/ 「空白の四日間」から何を学ぶのか/ 子ども集団の教育力を引き出す実践
執筆者一覧

まえがき

 向山洋一氏は、戦後の日本の教育界を大きく変えてきた優れた実践家です。

 数多くの書籍を出し、その中で多くの優れた実践を発表してきました。

 それは授業づくりの分野にとどまらず、学級づくりの面でも多くの優れた実践を提出し、日本の教育界に問題提起してきたのです。

 向山実践は、多くの若い教師たちの憧れであり、目標でもあります。


 私は、学生時代に子どもの成長にとって集団の存在は大変重要であることを学んでいました。そして、その面から卒業論文をまとめました。

 その私が教師になって最初に惹かれたのは全生研(全国生活指導研究協議会)の理論と実践でした。集団の重要性を指摘し、理論的にも優れていると思ったのです。

 その考え方を知って私はすぐに教室に取り入れました。

 リーダーを育て、班を組織し、学級の中で話し合いを仕組んでいくということ。そして、あらゆる教育活動に班競走を取り入れ、ボロ班や優秀班をその都度決めていきました。

 その結果、学級は何となくきちんとしていました。しかし、私にとってはしっくりきませんでした。

 反対に教師になった当初の学級の雰囲気の方がいいのではないかと思いました。確かに子どもたちは様々な問題を起こしました。授業中、落ち着きもありませんでした。

 そうした様々な問題を解決するためにも、全生研に飛びついたのですが、何か違和感があったのです。

 それよりも、私と子どもたちとの出会い当初のはじけるような子どもたち、学級の方が良いと思ったのです。


 学級づくりで悩んでいたときに、向山洋一氏の実践に出会います。「じゃんけん制」です。

 「じゃんけん制」とは、子どものやりたいという意欲を尊重する方法です。学級委員に立候補した子が多かった場合、選挙ではなく、じゃんけんで選ぶという方法です。

 その学級委員をじゃんけんで選出する方法に出会ったとき、私にとっては大変新鮮であり、衝撃的でした。

 「じゃんけん制」だけでなく「係りと当番活動の分離」など、学級を組織するための方法が大変明確でした。

 私の頭にすっと入ってきました。すぐに学級で取り組むことにしました。

 学級委員や班長だけでなく、あらゆる学級の代表などを選ぶときじゃんけんで決めました。

 係り活動は、やりたいという意欲に支えられた活動。当番活動は、やらねばならない活動。このような考え方で学級を組織しました。

 その結果、全生研の時には考えられないようなことが起きました。

 学級の中で、いつも虐げられてきていたような子が、学級委員選出のときにそっと、そっと手を挙げました。

 「僕は、学級委員をやってみたいです」

 はにかみながら、小さな声で、みんなの前で立候補の演説をしました。そして、何人もの立候補者とじゃんけんをして、学級委員に選出されました。

 じゃんけんで勝ったとき、その子は「ヤッター!」と叫びました。

 それこそ大きな声で、喜び一杯の声でした。教室の中に小さなドラマが生まれた瞬間でした。

 また、係り活動も活発になり、学級は常にパワーとエネルギーにあふれるものへと変化しました。時にはトラブルもありましたが、笑顔のあふれる学級となりました。


 「じゃんけん制」や「係りと当番活動の分離」というのは、向山実践を読み解くキーワードの一つです。

 「じゃんけん制」や「係りと当番活動の分離」だけでなく、子どもを変えていく、子ども集団を変えていくキーワードが向山実践には数多くあります。

 キーワードは、教育技術・方法を端的に表わしたもの、または理念・考え方を象徴的に表わしたものもあります。

 しかし、どのキーワードも教室の実践を変えていくだけの力があるものです。それは当然子どもも変えていくだけの力があるものなのです。

 是非、多くの若い教師にとってこの書が役立つことを祈っています。


 最後に、この書の執筆の機会を与えてくださったTOSS代表の向山洋一先生と明治図書樋口雅子様に深く感謝いたします。


   TOSSオホーツク代表 /青坂 信司

著者紹介

青坂 信司(あおさか しんじ)著書を検索»

北海道別海中央小学校教頭

TOSSオホーツク代表

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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