- まえがき
- 序章 NIEで育む「主体的・対話的で深い学び」
- 1 NIEとは……
- 2 新学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」とは……
- 3 NIEと「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」「カリキュラム・マネジメント」
- 4 NIEを通して育てたい「資質・能力」
- 5 いつでも・だれでも・どこでもNIE
- 第1章 いつでもNIE―新聞にいつでも親しもう―
- 1 NIEって難しい?!
- 2 新聞をいつでも読むことができる場→全校新聞を読む日
- 3 新聞をいつでも手に取り,読むことができる環境→いつも新聞がある学校図書館
- 4 新聞をいつでも意識して進める学習の場→新聞切り抜き作品づくり
- 1 全校新聞を読む日
- 2 新聞コーナーのある学校図書館
- 3 図書委員会でNIE
- 4 新聞切り抜き作品づくりに挑戦
- 第2章 だれでもNIE―だれでもできる新聞学習―
- 1 NIE学習の3分野
- 2 NIE学習の学年のめあて
- 3 NIEカリキュラム
- ☆NIEカリキュラム(1年)
- ☆NIEカリキュラム(2年)
- 実践1 1年生活科〈@新聞制作〉
- シャボン玉新聞をつくろう〜おもしろいあそびがいっぱい〜
- 実践2 1年生活科〈A新聞活用〉
- おもしろ新聞すごろくであそぼう〜むかしあそび名人になろう!〜
- 実践3 2年音楽科〈@新聞制作〉
- ようすをおもいうかべて新聞づくり〜『人形のゆめと目ざめ』をきいて〜
- 実践4 2年国語科〈A新聞活用〉
- みんなで楽しく文づくり〜新聞で見つけたかたかなをつかって〜
- 実践5 2年国語科〈A新聞活用〉
- めざせ!四コマせりふ名人〜絵を見てお話をそうぞうしよう〜
- ☆NIEカリキュラム(3年)
- ☆NIEカリキュラム(4年)
- 実践6 3年総合的な学習の時間〈A新聞活用〉
- 新聞からクイズをつくろう〜自分の歯を100歳まで〜
- 実践7 3年道徳科〈A新聞活用〉
- 78円の命〜命について考えよう〜
- 実践8 4年国語科〈B新聞機能学習〉
- 見出しつけに挑戦!〜「ふつう」みんなちがうじゃん!〜
- 実践9 4年社会科〈A新聞活用〉
- 地名ビンゴをしよう!〜新聞から地名を見つけよう〜
- 実践10 4年道徳科〈A新聞活用〉
- メッセージを送ろう〜原発いじめから考えよう〜
- ☆NIEカリキュラム(5年)
- ☆NIEカリキュラム(6年)
- 実践11 5年社会科〈B新聞機能学習〉
- 新聞社の役割〜新聞のひみつをさぐろう〜
- 資料 同一新聞・同一日で版の違う新聞を使って
- 実践12 5年家庭科〈A新聞活用〉
- 広告で買い物にGO!〜じょうずに使おうお金やもの〜
- 実践13 6年図画工作科〈A新聞活用〉
- 頭の中は……
- 実践14 6年国語科〈B新聞機能学習〉
- 投書に挑戦!〜新聞の投書を読んで意見を書こう〜
- 実践15 6年道徳科〈A新聞活用〉
- リオオリンピックから学ぶ〜協力し合って目標に挑戦しよう〜
- 実践16 特別支援 国語科〈@新聞制作〉
- にこにこスマイル新聞を作ろう
- 資料 こんなところでもNIE〜NIEギャラリー〜
- 第3章 どこでもNIE―どこでもチャレンジNIE―
- 1 NIEを広げるために
- 2 保護者と進めるNIE
- 3 新聞づくりから取り組むNIE
- 4 どこでもできるNIE
- 資料 親子わくわく新聞教室
- 実践1 1年〈A新聞活用〉
- 親子で防災グッズづくり〜新聞でスリッパをつくろう〜
- 実践2 2年〈A新聞活用〉
- 新聞で思いを伝えよう〜親子で新聞のお手紙こうかん〜
- 資料 新聞で帽子をつくろう
- 資料 親子で新聞のお手紙こうかん
- 実践3 4年〈@新聞制作〉
- 親子でつくろう1/2成人式〜親子ではがき新聞に挑戦〜
- 実践4 5年〈A新聞活用〉
- 新聞をすみからすみまで読もう〜親子で新聞クイズに挑戦〜
- 実践5 3年・6年〈@新聞制作・A新聞活用〉
- 新聞で主張しよう〜親子で新聞切り抜き作品づくり〜
- 資料 新聞っておもしろい!西端小「ふれあい学級」(中日新聞)
- 資料 授業の振り返りに見出し
- 資料 どこでも新聞づくり
- 第4章 NIEのヒント
- 1 楽しくNIE
- 2 もっと気軽にNIE
- 3 NIEのヒントはいっぱい
- ヒント@ お誕生日新聞を読む
- ヒントA 挑戦!新聞ノート
- ヒントB 報道を詠む〜報道写真で俳句をつくろう〜
- ヒントC 新聞でスピーチ〜わたしのおすすめ新聞記事〜
- ヒントD 新聞でGO!〜新聞のこんな活用〜
- あとがき
まえがき
本書を手に取る人は,日頃から新聞に親しんでいる人だろうか。それとも,新聞にはあまり親しみのない人だろうか。最近は,ネットニュースで情報を得る人も多く,紙の新聞を手に取る人は減っていて,新聞がなくなることが心配される時代になっている。果たして,新聞は絶滅するのだろうか。
日本で「新聞」が発行されたのは,江戸幕府末の1862年のこと。当時オランダ東インド会社が幕府に提出していた「オランダ風説書」を幕府だけでなく一般にも公開するため「官板バタビア新聞」として発行されたのが,日本の新聞の始まりとされている。日本の新聞は,それ以来155年の歴史をもっている。かわら版と呼ばれた号外形式の新聞前史もあるので,日本の新聞の歴史は古い。その歴史の中間地点の1940年代は,政府の統制もあって戦争をあおる役割も果たした。現在は,そのような負の歴史も踏まえて,公正かつ正確な情報を提供することに努めている。
さて,本書がその内容とするNIE(エヌ・アイ・イー)は,Newspaper in Educationの頭文字をとったもので,「教育に新聞を」などと呼ばれている。新聞を教材として用いる教育実践のことである。本書を読むと,新聞が絶滅してよいメディアでなく,これからさらに必要なメディアであることに気づくだろう。本書は,子どもたちが,世の中に関心をもち,調べ,自分の言葉でわかりやすく人に伝えるという学習活動を紹介している。それは,考える人間を育てる学習活動である。「新聞」を使うことは,その学習が子ども主体で進んでいくのを手助けすることに,本書で気づかされる。新聞は,絶滅してよいメディアではないのである。
しかしながら,新聞はなくてもネットから情報が入ってくるため,人々は,新聞がなくてもよいと思えてくる。これが,いま現実化しつつある危機である。多様な情報から適切に必要な情報を選び,それらを組み合わせて考えをつくりだす。そのとき,他者の意見も参考に,自分の考えを見直し,より確かな考えに高めていく。その過程で異なる考えをもつ他者へも寛容になるし,情報が多様に解釈されることに気づく。このような活動に,紙媒体の新聞は効果的なことが本書でわかる。本書は,世の中に関心をもち,自ら思考する大人を育てるために,NIEが重要であるということと同時に,それを支える「新聞」がなくてはならないことを教えてくれる。ネット社会になっても,絵本や児童書が多く出版されているように,新聞がこれからも発行され続けられるべき情報文化であることも本書で理解できる。
なお,本書の著者である碧南市立西端小学校校長岩井伸江氏は,NIE実践家として定評ある教師であり,本書は,まさに氏が校長を務める学校の日頃の実践がまとめられた貴重な本である。新聞の質感すら伝わる本書から,多くのヒントを得て,実践に取り組む教師と子どもたちが生まれることを願っている。
愛知県NIE推進協議会会長・愛知教育大学教授 /土屋 武志
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- 明治図書