- まえがき
- 第1章 「話す・聞く・読む」の指導内容と方法
- 1 話すこと・聞くこと・読むことの指導内容
- 2 指導の実際
- 3 取扱い上の留意点
- 第2章 授業ヒントの実際例
- T 「話すこと」に重点をおいた実際例
- 1 場に応じた言葉遣いで話すことができるようにするには
- ―「絵あてクイズ」の実践から―
- 2 場面に応じた会話ができるようにするには
- ―生活劇を通して―
- 3 経験したことを教師に話すことができるようにするには
- ―ビデオや写真を見ながら話してみよう―
- 4 テレビを見て感想を話すことができるようにするには
- ―ビデオの機能やカードを使って自分の思いを話す―
- 5 事柄を順序立てて話すことができるようにするには
- ―それから?それから?みんなで おはなしタイム―
- U 「聞くこと」に重点をおいた実際例
- 6 童話を楽しく聞くようにするためには
- ―「はらぺこあおむし」の実践から―
- 7 放送を聞いて内容をつかむことができるようにするには
- ―天気予報のVTRを用いた「長崎と熊本の天気は?」の実践から―
- 8 子どもたちが期待しながら、話を聴くようにするには
- ―「修学旅行に行こう」の取り組みから―
- 9 友だちの発表を聞くことができるようにするには
- ―「チャレンジ発表」の取り組みから―
- 10 簡単な指示を聞いて行動ができるようにするには
- ―学校での生活をより分かりやすく,より楽しく―
- 11 簡単な説明を聞くことができるようにするには
- ―「順番に よーく聞いて〜おもちや工場へようこそ〜」の実践から―
- 12 人に聞かれた時に、応答できるようにするには
- ―「レストランに行こう」でメニューを決めて答える―
- V 「読むこと」に重点をおいた実際例
- 13 漢字の熟語を読むことができるようにするには
- ―自作学習ソフト「漢字ドリルマスター」を使って―
- 14 やさしい読み物を読むことができるようにするには
- ―絵本を使った国語の学習指導から―
- 15 テレビ番組を読むことができるようにするには
- ―「番組紹介」の実践から―
- 16 ひらがなやかたかなで書かれた短文を読むことができるようにするには
- ―朝の会での取り組み―
- 17 簡単な漢字を読むことができるようにするには
- ―「かるたゲームで ことばあそび」の実践から―
- 18 場面を想像しながら読むことができるようにするには
- ―「自作紙芝居 私の自慢(いいところ)お見せします」の実践から―
- 附録 国語(音声言語)関係の主な指導内容一覧
まえがき
学習指導要領が改定されすでに6年が経過しました。この間,指導時間や指導内容の削減さらに,総合的な学習の時間の新設などがあり,学力低下につながるとして評判がよくありませんでした。これらのことを踏まえて,改定から10年待たずして平成15年10月7日中央教育審議会は,文部科学省に対し「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」の答申を行いました。この中で学習指導要領の見直し内容について,この本に特に関連したことを要約しますと次のようになります。
@ 学習指導要領の「基準性」を一層明確に示すため総則の記述を見直す必要があります。
A 「〜は扱わないものとする」などのいわゆる「はどめ規定」等の記述を見直す必要があります。
「『個に応じた指導』の一層の充実」の項で関連する事項は,次のようです。
@ 必修教科において,発達段階を考慮しつつ取り扱うことができるように「補充的な学習」「発展的な学習」について,例示として追加することが必要です。
A 「補充的な学習」「発展的な学習」を行う場合は,きめ細かい配慮が必要です。
知的障害教育では,総則事項の見直しに関しては,特に取り立てることもないでしょう。枠があっても日々の教育活動は,枠はないに等しい状況です。今回の学習指導要領でいう「はどめ規定」は,知的障害教育においては現在も何もありません。「負担過重にならないように」とは,子ども達の健康・安全を考慮してのことです。
個に応じた指導の項で「補充的な学習」「発展的な学習」について例示として追加するように述べていますが,知的障害教育では,必要があればこれまでも自由に行えますが,「補充的な学習」「発展的な学習」をするという機会はなかったでしょう。
知的障害教育では,「重複障害の場合,教科の一部又は全部を自立活動に変える学習」「障害が重い場合は一部を削除しての学習」「特性等に応じて選択・組織しての学習」は,従来から行ってきたことです。つまり,学力低下に端を発した臨時の学習指導要領改定の趣旨は,各教科内の「領域」や「分野」程度しか示してない知的障害教育には,あまり係わりがないといってよいでしょう。
ところで,国語の教科内分野は,「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」と「言語事項」です。本書は,「音声言語」つまり,「話すこと・聞くこと」と「読むこと」に絞って編集しました。
保護者の方は,1年生に入学するときまでに,とにかく自分の名前が読めて書けることを期待し特訓をする場合が少なくありません。しかし,知的障害のある子どもたち,あるいは,精神的に未発達の子どもたちには,日常生活で最も必要で大切なことは,コミュニケーションの基礎能力が身に付くことです。自分の思っていることをきちんと表現することと,相手の話をしっかりと受け止め対応できることです。
コミュニケーションの相手は,主に「両親」「教師」「友達」などで,場は,「家庭」「教室」「運動場」などです。機会は,「遊び」や「授業」などで,内容は,「テレビ」「絵本」「伝言」「指示」「説明」などなどです。さらに,「丁寧な言葉」「正しい発音」「理解して行動する」なども極めて大切な指導内容となります。
「読むこと」では,子どもたちの発達にもよりますが「ひらがな」「かたかな」は当然ですが,日常生活において接する「漢字」や「ローマ字」なども,養護学校卒業までには役立つようにしたいものです。
本書は,「音声言語」の指導が,遊び学習,生活単元学習,作業学習などはもとより,教科別の指導としての「国語」でも活用できるように配慮して内容構成しました。
さらに,日々の授業(展開の仕方や教材・教具の工夫等)を行う場合や研究会などで学習指導案を書く場合にも役立つように工夫しました。
生活単元学習や作業学習の中で取り扱う国語に関する内容は,定着に至るまで指導することが案外難しいものです。また,教科別の指導としての国語の授業は,子どもたちの興味・関心を起こさせるために,教材・教具の工夫や場面設定などが難しいものです。
本書は,ベテラン教師にこれらの課題を解決することができるように,しかも,分かり易くを心がけて執筆していただきました。きっとお役にたつものと思います。
最後になりましたが,本書作成に当たり,お忙しいにもかかわらずご執筆いただきました諸先生,本書の企画・作成に特別のご高配をいただきました明治図書出版株式会社並びに編集部の三橋由美子氏に心からお礼を申し上げます。
平成16年7月 編 者
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明治図書
















