- はじめに
- 1 授業の規律をつくろう! おいしい料理にするための下地づくり
- “やらない”のではなく,“知らない”だけ
- 起立,気をつけ,礼
- 自分の体を自分でコントロールする
- 休み時間は何の時間?
- しかっても忘れ物はなくならない
- 廊下の歩き方,階段の降り方
- 活動の前にロールプレイングを
- 2 少しの工夫で授業は変わる! 料理にアクセントをつけるスパイス選び
- 授業のひと言目を意識する
- とぼける
- 指導案は目標を達成するための地図
- 聞く力をムリなく伸ばす
- スキマ時間も遊ばせない!
- アウトプットの回数を増やす
- 「つなぎ言葉」の指導で話し合う力を鍛える
- 3 クラス全員がハッピーになる! とっておき授業レシピ
- 国語
- いろんな群読に挑戦しよう!
- 説明文で学んだことを活用しよう!
- 物語文の学習を生かして作文を書こう!
- 先生のスピーチ,ムチャクチャや!
- 算数
- 問題場面が見えてくる!
- 授業の始まり,何をする?
- 算数とふれあおう!
- 答え合わせのちょっとした工夫
- 社会
- みんなハッピー,社会見学!
- 都道府県で遊ぼう!
- どうして社会を勉強するの?
- 社会は覚えることが多いからイヤや!
- 理科
- 迷って,悩んで,熱中授業!
- 目には見えないものをイメージしよう!
- 体育
- ダンス! ダンス! ダンス!
- 手つなぎゲームの日本記録,9秒らしいで
- 着替えが5点満点になるには?
- ボールをとりに行くときも
- 図工
- ホントにそんなふうに見えた?
- 自分でやってみると見えてくる
- 音楽
- みんなでイメージを膨らませよう!
- 発声練習アラカルト
- ビデオに撮って,みんなでチェック!
- 家庭
- 家庭科室で仮想給食準備!
- 外国語活動
- 外国語活動アラカルト
- 配付物
- なかなかプリント配られへんなぁ…
- 当番
- 当番はどうして1週間交代?
- 給食
- 小さな心づかいができるかできないかの違い
- 日記
- 中だるみしない日記指導
- おわりに
はじめに
“野球少年にとってのイチロー選手になる”。はじめての著書『日本一ハッピーなクラスのつくり方』の中でそう書きました。
イチロー選手が野球少年に「自分の野球道具を磨くのは大切だよ」と語れば,それを聞いた野球少年は,その日を境に道具磨きを始めるでしょう。しかし,同じことを僕が野球少年に言っても,その子は…。
子どもと向き合ったとき,何を言うのかは大切ですが,それ以上に,だれが言うのかが大切だと思います。この考えは,今も変わっていません。しかし同時に,この「だれ」になるには,日々「何を言うか」を研究し続けることも大切だと感じています。それは,目に見える華やかな部分だけではなく,目に見えないところで,どのようなことをどういったふうに学び続けているのかに関係していると思います。
先日,学校から家に帰ろうと歩いていたら,習い事から帰宅する途中の子どもに出会いました。
「先生,さよなら! 今まで学校いたん?」とその子。「うん,今帰るところ。今まで習い事?」と僕。「そうやねん。今日は進級テストやってん」「そうか,お疲れ様。じゃあ,さようなら」「さようなら。先生もお疲れ様」
このちょっとしたやりとりを通して,僕は深く考えさせられました。
子どもは1日学校にいて,新しいことを6時間学びます。宿題もあります。習い事のある子はさらに学びます。このように,今の自分より少し上の目標に向けて,いつもチャレンジしています。その一方で,教師である僕自身は,これまで学んできたことを子どもに伝えるだけで,学ぶこともせず1日を終える日もあります。このことを自覚し,子どもと自分の間にはあまりに大きなエネルギーの差があると感じました。この差が埋まらない限り,子どもには本当の意味で僕の言葉は届かないと思っています。
では,どのようにして自分自身のエネルギーを上げるのか。僕は,マラソンなど自分の苦手なことにチャレンジする一方で,毎日の1時間1時間の授業を真剣に大切に研究しながら取り組んでいます。日々,どうすれば目の前の子どもが今よりハッピーになるのか考えているのです。
僕は,板書計画を中心に授業の流れを教材研究ノートに書いています。このノートは,1年を終えるとお礼を言って処分します。“えっ,蓄積していかないの!?”と驚かれることもありますが,なぜそうするのか理由はハッキリしています。目の前の子どもたちに足りない力は何か,どんな力をこの単元で身に付けさせるべきなのかといったことを考えると,授業の進め方や子どもに話す内容はそのたびごとに違ってくるからです。
だから僕は,基本的には過去の教材研究をふり返って同じ展開で授業をすることはありません(あるとしても,まずは自分で考え,その後で以前のものと比べるぐらいです)。そうしないと,過去の方法にとらわれ過ぎて,新しいものが自分の中から出てこなくなるからです。
日々目の前の子どもたちと向き合い,その子たちに今何が必要なのかを考えながら実践することは大切です。僕自身“あの先生がやってるから…”というだけでその方法を選択するようなことはしたくないと思っています。だからこの本も,ただのネタ本にならないように,なぜそのように実践するのかという部分をできるだけ詳しく書きました。一つひとつの事例が読者の先生方,そしてその目の前の子どもたちのハッピーにつながればうれしいです。
このたびも,明治図書の矢口さんにはたくさんのフォローをしていただきました。ありがとうございます。今回も本を書く機会をいただけたこと,そして読者の方に手にとっていただけることに感謝しています。
2013年8月 /金大竜
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- 明治図書
- 勇気をもらいました2016/4/2430代・小学校教員
- 以前書評をみて本を購入しました。しかし、しっかり読み切ることもなく、本棚に置いてしまっていたのですが、著者の方の講演会に参加する機会があり、話を聞いているうちにほんの内容がとても身近に感じられました。もう一度読み返すと、クラス作りに参考になることが散りばめられていて、とても役に立っています。2015/9/1550代・小学校教員