- 監修のことば
- まえがき
- 第1章 よさを伸ばし,豊かな生活をつくる自立活動の授業づくり
- 1 よさを伸ばし,豊かな生活をつくる自立活動の授業づくり
- 2 子どもの発達段階に合わせた指導の実際
- 第2章 よさを伸ばし,豊かな生活をつくる自立活動の授業事例
- 1 健康の保持
- (1) 小学部
- 1 楽しく身体を動かそう
- (2) 中学部
- 2 「どこ? なに? どうする?!」をさまざまな場面でとらえよう
- (3) 高等部
- 3 僕の体と生活づくり
- 2 心理的な安定
- (1) 小学部
- 4 思いっきり線を書こう
- 5 動作を通したリラクセーション学習をしよう
- (2) 中学部
- 6 心のキャッチボールをしよう
- 7 安心して人とかかわろう
- (3) 高等部
- 8 働く大人になろう
- 3 人間関係の形成
- (1) 小学部
- 9 気持ちや思いを伝えよう
- 10 ソーシャルスキル学習をしよう
- 11 先生と投げっこしよう
- (2) 中学部
- 12 課題別グループ活動 さわって比べよう,確かめよう
- 13 やりとりを広げよう
- (3) 高等部
- 14 感情を見つけに行こう
- 15 自分と向き合う気持ちを育てよう
- 4 環境の把握
- (1) 小学部
- 16 認知力を伸ばし,自分の置かれている状況への理解を高めよう
- 17 絵カードや指示書(工程表)を活用しよう
- (2) 中学部
- 18 よし,あつめよう
- (3) 高等部
- 19 光の中で楽しもう
- 5 身体の動き
- (1) 小学部
- 20 感覚運動機能の発達を高めよう
- 21 楽しく身体を動かそう
- (2) 中学部
- 22 みんなで身体を動かそう
- (3) 高等部
- 23 四つ這い位や座位が保持できるようになるために
- 6 コミュニケーション
- (1) 小学部
- 24 「やってちょうだい」が言えるようになったよ
- 25 「伝わる」ってうれしいな
- 26 ゆっくりおはなししよう
- (2) 中学部
- 27 何が見えるかな?
- 28 言葉のキャッチボールをしよう
- (3) 高等部
- 29 状況に応じて話せるようになろう
まえがき
学校教育法の改正による特別支援教育への制度改革とともに,平成21年3月,特別支援学校幼稚部教育要領,同小学部・中学部学習指導要領,同高等部学習指導要領が改訂・告示され,新たな時代となった。
時代の進展とともに,国内外における障害者施策の進展,幼児児童生徒の障害の重度・重複化,発達障害を含む障害の多様化,また,教育,医療,福祉,労働等の関係機関が連携した支援の必要性など特別支援学校を取り巻く諸状況は大きく変化してきている。このような状況の変化に適切に対応し,障害のある幼児児童生徒が自己のもつ能力や可能性を最大限に伸ばし,自立し社会参加するために必要な力を培うためには,一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導を一層充実することが重要であることから,今回の学習指導要領の改訂では次の4つの観点から改善が図られた。
ア 障害の重度・重複化,多様化への対応
イ 一人一人に応じた指導の充実
ウ 自立と社会参加に向けた職業教育の充実
エ 交流及び共同学習の推進
特に,アの項目において,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導領域である「自立活動」について,障害の重度・重複化,発達障害を含む多様な障害に応じた指導を充実するため,その内容として新区分「人間関係の形成」などが加えられたとともに,指導計画作成上の手順等が明確に示された。
自立活動は個々の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導として,特別支援学校の教育課程に特別に設けられている領域であるが,知的障害のある児童生徒を教育する特別支援学校においては,知的発達の遅れに対応する各教科と発達の偏りに対応する自立活動との違いが分かりにくいことから,現場での実践において,今一つ取り組みにくさがあった。また,自立活動の時間を特設して指導をしている学校はまだ少なく,各教科等を合わせた指導としての形態で学校全体を通して指導をしていることが多いことから,個別の指導計画の作成,実践,評価,改善のサイクルがうまく機能していない傾向があるように思われる。
しかし,今回の改訂で文部科学省から発行された自立活動の解説書では,発達障害を含む障害の多様化への対応ができるよう,自立活動の基本的な考え方や指導事例などがふんだんに提示され,大変活用しやすいものとなっている。
そこで,本書においては,特別支援学校の新学習指導要領に沿った,知的障害のある児童生徒を教育する特別支援学校における自立活動の実践の充実を図るため,個別の指導計画の立案から具体的な授業まで,実践事例を集めて編集した。
本書の特徴として,次の点が挙げられる。
ア 6区分の内容すべてにわたっての実践事例を掲載
イ 小学部,中学部,高等部での実践事例を掲載
ウ 自立活動の時間における指導と各教科等を合わせた指導の両者を掲載
また,実践事例では,次の項目でまとめた。
@ 題材・内容のねらい
A グループ又は個人の様子
B 授業計画
C 特定の子どもの個別の指導計画
D 授業の実際
E 使用した教材・教具
F 子どもの変化,指導の効果
本書が,特別支援学校の先生方,特別支援教育に関心のある方々,これから特別支援教育にかかわろうとしている方々等,多くの皆様にご一読いただき,特に,知的障害のある児童生徒を教育する特別支援学校の自立活動の指導の充実,発展に資することができれば幸いである。
ご多用の中,ご執筆いただいた多くの皆様に心から感謝申し上げるとともに,監修に当たってくださった東洋大学教授の宮ア英憲氏と編集,校正等でご支援くださった明治図書出版教育書編集部の佐藤智恵氏に敬意と謝意を表する次第である。
編者 /横山 孝子
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- 明治図書
- 自立活動のレポートを書くときに参考にしました。項目ごとに実例を示してあり、初心者の自分にもわかりやすかったです。いつも手元のにおいています。2011/11/12いいこ