- 編者のことば
- T部 学校で必要なアセスメント
- ■第1章 アセスメントと教育
- 1) アセスメントの意義
- 2) アセスメントの対象と方法
- 3) 学校で進めるアセスメント
- 4) LD,ADHD,高機能広汎性発達障害のアセスメント
- 5) まとめ
- ■第2章 子どものアセスメント
- 1 学習,学力のアセスメント
- 1) 学力のつまずきにはどのようなものがあるか
- 2) 学力のつまずきにおける背景要因を探ることの重要性
- 3) 学力アセスメントの特徴
- 4) 学力アセスメントで用いられるツール
- 2 行動のアセスメント
- 1) 教育現場で行動観察ができない理由,続かない理由
- 2) 行動観察や記録の目的
- 3) 行動観察法
- 4) 実行しやすく継続しやすい行動観察や観察記録の工夫
- 5) 行動の機能のアセスメント
- 3 対人関係・ソーシャルスキルのアセスメント
- 1) 対人関係・ソーシャルスキルとは
- 2) アセスメントの考え方
- 3) アセスメントの方法
- 4) 学校でのアセスメントの視点
- 4 情緒・心の危機のアセスメント
- 1) 心のサイン
- 2) 発達障害と二次障害のアセスメント
- ■第3章 子どもと関わる人・場のアセスメント
- 1) 障害の本質への理解と環境アセスメントの必要性
- 2) 環境アセスメントの目的と効用
- 3) アセスメント全体の留意点
- 4) アセスメントの実際の視点
- U部 アセスメントの実際
- ■第1章 小学校で進めるアセスメント
- 1 通常の学級:特別な支援とは〜安心と自信を大切にした学級経営から見えてきたもの〜
- 1) 通常の学級で気になる子どもとは
- 2) アセスメントの視点
- 3) アセスメントの方法
- 4) アセスメントの実際
- 2 通常の学級:気がかりではじまるアセスメント
- 1) 通常の学級で気になる子どもとは
- 2) アセスメントの視点
- 3) アセスメントの方法
- 4) アセスメントの実際
- 5) おわりに
- 3 情緒障害通級指導教室:連携・協力によるアセスメントの有効性
- 1) 情緒障害通級指導教室の子どもたちと指導
- 2) アセスメントの視点
- 3) アセスメントの方法
- 4) アセスメントの実際
- 4 特別支援学級:目的のはっきりしたアセスメント
- 1) 特別支援学級の子どもたちと指導
- 2) 学級におけるアセスメントの意味
- 3) アセスメントの視点
- 4) 指導に活かすアセスメント
- 5) アセスメントの実際
- 6) 支援に活かすアセスメント
- ■第2章 中学校で進めるアセスメント
- 1 学校全体:一人ひとりのニーズに合わせた教育を展開するために
- 1) 中学校で気になる生徒とは
- 2) アセスメントの視点
- 3) アセスメントの方法
- 4) アセスメントの実際
- 5) 個別の指導計画の作成
- 6) 通級指導教室が設置されている場合
- 7) おわりに
- 2 通常の学級:行動の定義を明確にした客観的アセスメント
- 1) 通常の学級で気になる子どもとは
- 2) アセスメントの視点
- 3) アセスメントの方法と実際
- 4) アセスメントの留意点
- ■第3章 専門機関で進めるアセスメント
- 1 専門家チームでのアセスメント
- 1) アセスメントの概要
- 2) アセスメントの実際
- 2 医療機関でのアセスメントとその利用
- 1) 医療機関利用にあたっての配慮
- 2) 大学病院小児科における小児科医と臨床心理士の対応の流れ
- 3) 医療機関,本人とその家族,学校のスタッフとの間の情報交換,連携の工夫
- 4) 医療機関における支援の特性
- 5) おわりに
- 3 指導機関でのアセスメント〜アセスメントは指導のはじまり〜
- 1) 入室時のアセスメント
- 2) 本格的に指導を開始する前に
- 3) 継続指導の開始 指導の中で確認していく子どもの姿
- 4) 保護者面談(心理士面談・指導員面談)
- 5) 社会で生きていく力をつけるために
- 6) おわりに
編者のことば
子どもも大人も,人はときに予想や理解を越えた行いをし,周囲の者を驚かすことがあります。これは驚かす側の問題によることもあれば,驚かされる側の問題であることも少なくないでしょう。現代社会では自分意識が大事にされる一方,他者に対する意識・関心は軽んじられてきたこととも関係しているかもしれません。
平成18年12月の教育基本法の改正のもと,学校教育法も一部改正され,盲・聾(ろう)学校および養護学校は「特別支援学校」に,小中学校の特殊学級は「特別支援学級」に改められ,そして,小中学校等においても特別支援教育を推進することが法律上規定されました。今,学校において,子どもをよく見ることが一層求められています。
しかし,目の前にいる子どもを知ること・理解することは容易いことではないですし,なおさら学校という大規模集団では,一人ひとりの子どもがもっている資質と抱えている困難とを把握するには意識の高さだけでなく,的確な視点と手立て,そして努力が必要となってきます。
この的確な視点と手立てをもつことを助けるのがアセスメントという一連の作業過程ではないでしょうか。「アセスメント」ということばは誤解されたり,抵抗感をもたれたりすることがありますが,教室はアセスメントの対象・材料の宝庫です。実際,的確で懐の深いアセスメントに基づいたすばらしい指導実践に出会います。
より多くの先生が,日々行っている指導や支援をアセスメントという切り口から見直し,新たなアセスメントの視点を取り入れることができるよう,学校で活かされるアセスメントを整理して呈示できれば,という願いから本書が企画されました。
T部ではアセスメントの総論および視点・方法を概説してあります。アセスメントの対象はもちろん子どものみではありません。ここでは,子どもを中心に据えながら,子どもを取り巻く人や学校などの環境についてのアセスメントについても概説されています。
続くU部では教室,学校,教育センター,病院,指導機関におけるアセスメントの実際を,それぞれの領域の一線の実践家が事例をあげながら,記述しています。
人に関わるアセスメントは当然ながら奥の深いものです。本書はアセスメントのいくつかのエッセンスを網羅したに過ぎませんが,実践的な教育アセスメントの入門書として学校の先生,教育関係者の方々,そして学校臨床・発達臨床に携わる専門家の方々に活用していただければ誠に幸いです。
/篁 倫子
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- 明治図書