一人一人の活動と参加を高める領域・教科を合わせた指導
知的障害児の自立を目指して

一人一人の活動と参加を高める領域・教科を合わせた指導知的障害児の自立を目指して

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領域・教科を合わせた知的障害教育を進化させるために

社会自立に向けて日常生活や職業につながる指導が求められてきた知的障害教育において、一人一人の教育ニーズに応じた指導が重要であると共に領域・教科を合わせた指導の充実は大きな課題である。今後の教育実践の一助となる理論・実践をまとめた。


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ISBN:
978-4-18-088213-7
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2刷
対象:
小・中・高
仕様:
B5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

刊行に寄せて
はじめに
第1章 新しい時代の生活につながる指導 〜領域・教科を合わせた指導〜
1 日常生活の指導
2 遊びの指導
3 生活単元学習
4 作業学習
第2章 小学部の実践事例
【日常生活の指導】
1 「自ら動く」活動に向けたツールとしてのICT
〜朝の会の活動を通して〜/北海道札幌養護学校(郡司 竜平)
2 自閉症のある児童に配慮した朝の活動の実践
埼玉県立本庄特別支援学校(宮前 太志)
3 給食たべたよ,ごちそうさま!
〜自閉症のある児童への偏食指導〜/京都府立舞鶴支援学校(内田 亜依)
4 生活の充実を目指して
愛知県立一宮東養護学校(津田 博史)
【生活単元学習】【遊びの指導】
5 児童が生き生きと楽しんで活動する「生活学習」の授業づくり
〜児童がやりたいことを選んで準備した「お楽しみ会をしよう」の実践〜/宮城県立光明支援学校(海野 善和)
【生活単元学習】
6 買い物学習の取組
〜生活スキルの習得を目指して〜/栃木県立足利中央特別支援学校(見持 英児)
7 科学であそぼう
〜あれっ?なんだろう?やってみよう!の授業〜/静岡県立御殿場特別支援学校(前田 博子)
第3章 中学部の実践事例
【生活単元学習】
1 高等部合格を祝う雪灯り大会をしよう
〜地域に密着し,ろうそく作りを中心に進めた学習〜/岩手県立盛岡みたけ支援学校(下平 弥生)
2 こころの学習
〜好ましいコミュニケーション能力の育成を目指して〜埼玉県立秩父特別支援学校(実践:近藤 渉・大島 みゆき・小水 浩平/文責:清水 光雄)
3 ご当地バーガーを作ろう!!
島根県立益田養護学校(永見 修一)
4 社会性を育てる「パワーアップタイム」の取り組み
〜自分の思いや願いを実現するためのコミュニケーション・ソーシャルスキルの学習〜香川大学教育学部附属特別支援学校(山内 雅子)
5 地域に出かけて行って,自分でできることを増やそう!
鳴門教育大学附属特別支援学校(岩嵜 伸浩・富永 美香・榎本 恵美)
第4章 高等部の実践事例
【生活単元学習】
1 修学旅行での沖縄県の特別支援学校との交流
秋田大学教育文化学部附属特別支援学校(橋 基裕)
2 「自分MAP」の作成を通して
〜人との関わりを広げ,地域で豊かに暮らしていくために〜/島根県立石見養護学校(藤井 寛子)
【作業学習】
3 りんご箱の箱打ち作業
〜高等部作業農工班の実践事例〜/青森県立黒石養護学校(乗田 朋宏)
4 より良いコンクリート製品作りを目指して
〜工業高校との交流及び共同学習に取り組みながら〜/千葉県立千葉特別支援学校(香取 聖子)
5 地域と共に育てる「働く力」
静岡県立清水特別支援学校(高田 宗享)
6 ホンモノを志向した学習の成果を披露する「校内アビリンピック大会」の取組
福岡市立特別支援学校「博多高等学園」(福島 勇)
7 大学で働こう
〜デュアルシステムを試行した作業学習の改善〜/熊本大学教育学部附属特別支援学校(谷口 和弘)
8 メンテナンス作業における『作業能率』の向上を目指した作業学習
〜題材の配列,題材計画の工夫を中心に〜/大分県立大分支援学校(三原 彰夫)
9 「できる」ことへの実感を深め,就労意欲の高まりを目指した取り組み
新潟大学教育学部附属特別支援学校(佐藤 宏充)
10 生徒の主体性が伸びる学習
〜支援内容表(ICF・キャリア型)の活用を通して〜/岩手県立盛岡峰南高等支援学校(大村 泰久)
【生活単元学習】【作業学習】
11 農業高校と取り組む綿花の栽培
兵庫県立出石特別支援学校(安原 聖生)

刊行に寄せて

  文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官 /石塚 謙二


 平成21年3月の特別支援学校の学習指導要領の改訂では,その総則において,より一層,個々の児童生徒の知的障害の状態や経験等に応じた指導がなされるよう,領域・教科を合わせた指導を行う際にも,具体的な指導内容を設定する必要があることが示された。それまでは,個々に応じた具体的な指導内容の設定は各教科だけに限られていた。この追加的な改正は,領域・教科を合わせた指導が適切に行われ,児童生徒にとって真に役立つ学習が提供されることを願ってのことと受け止めていただきたい。

 ずいぶん前に,知的障害教育について,今でいう特別支援学級担当者が大正時代前期に著したものを目にしたことがある。そこには,すでに知的障害の特性を踏まえた指導観が述べられており,その中で特に印象に残ることは,例えば,校庭に鶏小屋を設け,実際に鶏の世話をするなどして,実生活や職業に生かすことができる力を育てることが重要としていたことなどである。それらを読み終えたときに,大正の先達の教えに,脳髄にしびれのようなものを感じたことを覚えている。

 私が思うには,そのころの,そのような指導観が連綿と現在まで続いていて,主として領域・教科を合わせた指導に息づいている。当然,それは社会の変化に応じながら内容を深化させつつ,法令に規定されてきているが。領域・教科を合わせた指導を行うときには,そうした指導観に思いを馳せたいものである。

 もうひとつ,特別支援学校の学習指導要領の改訂で留意したいことがある。それは,指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱いにおいて,個々の児童生徒の実態に即して,生徒が見通しをもって,意欲的に学習活動に取り組むことができるよう配慮するものとすることが示されたことである。また,学習指導要領の解説には,知的障害のある児童生徒の特性に応じるならば,実際的・具体的な内容の指導が必要であり,抽象的な内容の指導よりも効果的であるとしている。これらのことも,領域・教科を合わせた指導を行うときには,最大限の配慮を要することであろう。

 インクルーシブ教育システムの構築が求められているが,領域・教科を合わせた指導を進化させながら,知的障害のある児童生徒に間違いなくフィットした教育が行われるよう願うものである。

著者紹介

石塚 謙二(いしづか けんじ)著書を検索»

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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