国語科「習得・活用型学力」の開発と授業モデル4
伝記・ノンフィクション編

国語科「習得・活用型学力」の開発と授業モデル4伝記・ノンフィクション編

授業モデル開発を通じて「論理的な言語力」を提案!

授業モデルと学習シートとして@伝記教材の生かし方A伝記教材を生かす読書指導のプログラムB伝記教材の習得から活用C事象・事物を楽しく分析的に理解する方法D事実・生き方の記録の活用などノンフィクションの習得方法を示すなど具体的に方法を示した。


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ISBN:
978-4-18-086722-6
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
B5判 132頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年11月15日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
―「習得・活用型学力」の解明からの国語科授業改革を―
T 本シリーズの「学習シート」を授業で,どのように生かすか
1 「学習シート」は万能ではない―形式的な穴埋めシートか?―
2 「学習シート」の意味―自立した学習能力のための型・ステップ―
3 授業づくりと教材研究の力量を高めるステップに
4 授業技術の習得から活用力へ―自分の教育観・授業観を深めるステップに―
5 「指導過程」論と「言語活動」の位置,授業構成力のために―モデルから―
6 授業評価・改善力の習得から活用力へ
U 新しい学力の三要素と国語科授業改革
1 新しい学力の三要素と国語科授業改革の視点
2 なぜ,「基礎・基本的な知識・技能の習得」の重視なのか
3 習得から活用へ・キーワードは「判断力」―知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力などの育成―
4 主体的に学習に取り組む態度,学習意欲の向上
5 言語活動の重視―まず,全教科の中核としての論理的な「言語力」育成―
V なぜ「習得・活用型学力」を問題にするのか
1 「活用型学力」の明確化は可能なのか?
2 「活用型学力」を考える四つの視点
W これまでの国語科学習,どこを見直すか
1 教育観(指導観)と「習得」「活用」の段階の明確化
2 他教科・活動に転化しない? 国語科授業
X 「習得・活用型学力」のステップを考える
1 言語力の育成と「習得・活用型学力」の明確化
2 学びの系統性・評価観のとらえ直し―「習得」「活用」と「探究」の位置―
Y 「習得・活用型学力」の解明と主体的な「探究」学習へ
―「活用型学力」のステップが「論理的思考力・判断力・表現力」を育てる―
1 国語科「習得型学力1」(基礎学習)―全ての教科の基盤となる言語力指導段階―
2 国語科「習得型学力2」(基本学習)―国語科固有の学力・言語力を育てる段階―
3 国語科「活用型学力1」―「自分の考え」を持つ,論理的な構成モデル習得段階―
4 国語科「活用型学力2」―論理的な発信・交流・評価の「モデル学習」の段階―
5 「活用型」から「探究型学力」へ―国語科から各教科・読書力・課題解決学習へ―
資料 国語科「習得・活用型学力」のステップと授業改革
―「論理的思考力・判断力・表現力などの学力を鍛える」指導過程モデル
Z 授業モデルと学習シート・実践編
―情報を論理的に読み解き,生きる勇気と知恵を学ぶ―
1 伝記教材を生かした生き方の発見と論理的な報告・説明へ
―「洪庵のたいまつ」(小6・大阪書籍)―
1 主な学習目標(到達目標)/2 評価規準のポイント(→新学習指導要領との対応)/3 学習計画(9時間完了)/学習シート1〜7 振り返りカード
2 伝記教材を生かす読書指導プログラム・習得から活用へ
―「イーハトーヴの夢」(小6・光村図書)―
1 主な学習目標(到達目標)/2 評価規準のポイント(→新学習指導要領との対応)/3 学習計画(6時間完了)/学習シート1〜5
3 伝記教材の「習得」から「活用」へ
―「マザー・テレサ」(小5・東京書籍)―
1 主な学習目標(到達目標)/2 評価規準のポイント(→新学習指導要領との対応)/3 学習計画(8時間完了)/学習シート1〜8 振り返りシート
4 事象・事物を楽しく分析的に理解し伝える「活用型学力」
―「森へ」(小6・光村図書)から社会見学報告へ―
1 主な学習目標(到達目標)/2 評価規準のポイント(→新学習指導要領との対応)/3 学習計画(9時間完了)/読み方カード 学習シート1〜7
5 事実・生き方の記録(ノンフィクション)の「習得・活用型」学習
―「アラスカとの出会い」(中3・光村図書)を例に―
1 国語科教材の実態と課題―伝記・記録・ルポルタージュ等の教材の授業・評価開発―
2 子ども達の実態と「習得・活用型」学習の混乱―徳目的学習か,自由な感想を話し合う学習か?―
3 〈情報モデル〉としてのノンフィクション教材と「到達目標(評価規準)」を明確にした授業・評価―説明文・文学教材学習の「習得から活用型学習へ」―
4 ノンフィクションの「習得・活用型」学力の明確化
5 事実・生き方の記録(ノンフィクション)の授業実践例―星野道夫「アラスカとの出会い」を例に―
6 学習目標と評価規準―到達目標を明確にした授業づくりの提案―
7 教材の特質と生かし方
8 学習計画(7時間完了)
9 到達目標(評価規準)を明確にした授業展開のポイント
10 研究実践の考察―新たな授業・評価システムの開発を―
おわりに
資料1〜7
おわりに

はじめに
   ―「習得・活用型学力」の解明からの国語科授業改革を―

1 本シリーズの問題提起―「論理的な言語力」をどう身につけさせるか―

 本シリーズ,確かな言語力が身につく『国語科「習得・活用型学力」の開発と授業モデル』は,「小学校低学年・説明文編」「同中学年・説明文編」「同高学年・説明文編」「伝記・ノンフィクション編(小学校〜中学校)」の4冊で構成されている。

 「伝記・ノンフィクション編」を除き,3冊は説明文学習に絞り,国語科で系統的に指導すべき論理的な言語力を「シンプルに,楽しく,全員に」どう身につけさせるかを,「習得・活用型学力」の授業モデル開発を通した実践的な問題提起をしている。

 こうした論理的な言語力育成は,文学的な文章の読解や鑑賞・評価,詩歌・随筆などの創作指導などにも,新学習指導要領「総則」「国語」で重視された「習得・活用」による「思考力・判断力・表現力など」の育成,「言語活動の充実」「学習過程・系統性」の明確化などを具体化する際の国語科の重要な指導事項の一つである。

 とりわけ,論理的な言語力(習得から活用へ,思考力・判断力・表現力)の育成は,算数(数学)・理科・社会・体育(保健)・図工(美術科)・音楽・技術・家庭科など各教科の論理的な記録・報告・レポート作成,話し合いやスピーチ・プレゼンテーションの技術と評価,より説得力のある説明力,評価・鑑賞・批評能力育成など,これから求められる「思考力・判断力・表現力など」を貫く基礎・基本学力でもある。

 本シリーズは,説明文学習で全員に,確かに身につけさせる「基礎・基本的な知識と技能(習得)」から「思考力・判断力・表現力など(活用)」へ,そして「振り返り(評価・学びの一般化)」へ至る指導過程の中で,すぐに授業で使える「学習シート」の開発を中心に,「習得」「活用」型の授業モデルを提案したものである。


2 なぜ,「学習シート」の開発と授業モデルなのか

 ワークシートと言わずに「学習シート」開発と名づけていること,それらによる「授業モデル」提案とした理由は,次の4点である。

 (1) 子どもにとっての「学習・評価モデル・シート」の提案

 一つ目は,「活動あって学習なし」と言われるような言語活動主義や他の学習に展開していきにくい読解スキルの基礎・部分としてのみの,形式的な穴埋め式のシートとの区別を鮮明にするためである。

 すなわち,本シリーズで提案しているのは,編著者にとっては,説明文の正確な学び方から「自分の考え・意見」を持ったり,論理的な報告や説明・スピーチなどの構成力,そして発信・交流,評価・批評などのモデルやステップを,子どもにとって目に見えるように示し身につくように構成した「学習・評価モデル・シート」だからである。

 (2) 段階的な指導過程論による「授業モデル」の提案

 二つ目は,この説明文で・この学年に・何をどのように教え・どこをどのように評価するのか,という「授業モデル」(子ども達にとっては「学習・評価モデル」)を,習得・活用(交流,振り返り・評価,学びの一般化=メタ評価能力)などの指導過程論(学びのステップとしての学習段階・「習得」から「活用」へ,その相互性も)で具体的に示したためである。

 一つの教材であれもこれも教えるような複雑な授業にならないようにするためには,段階的な学びのステップとしての指導過程論(「習得」から「活用」へ,その相互補完性も)の中に位置づけることが,授業の焦点化・重点化につながるからである。

 各実践モデル編をご覧になっていただくとおわかりになると思うが,どの学びの段階で・どのシートを・どのような意図で・どう使い・どう評価するのかの説明を書き入れた。授業のねらいや子ども達の実態に応じて取捨選択して,そのまま使える「学習シート」+「使い方・解説書き込みシート」の両方のシートを合わせて提示している。

 (3) 学校カリキュラム全体と国語科の役割,各教科学習とのつながり

 三つ目は,学校カリキュラム全体の中で国語科の役割を明確にし,さらに各教科学習・活動などとのつながりへの視野から提案していることである。

 「言語力」育成の中核の教科として,国語科の役割はますます重要であるが,これまでは国語科の学びが他教科の学びに効果的に転化するような点において弱かった面がある。国語科授業は,時代が求める「言語力」の育成という観点から,学校カリキュラム全体の中で年間を通じて,また小学校1年から6年まで(〜中学校含め9年間)系統的に繰り返し,重点化して行われる必要がある。

 この時,「学習シート」の開発と効果的な使用方法は,(2)でも述べたように学力定着と向上を目指す段階的に焦点化された「指導過程論」の中に位置づけられていないと,その時の授業は成立しても他の学習に転化しない断片的な一工夫に留まったりしがちである。また逆に,教師がシートに縛られて(何のための「学習シート」かが見えなくなって),あれもこれも教える押しつけの授業になりがちでもある。

 結局,子ども達にどんな学力がいつ・どのように身についたのか,それがどのように国語科の活用・探究能力や,他教科の学習・活動などに生きているのかが把握できている必要がある。そうでないと,例えば繰り返し(スパイラル)学習で定着させようとする時,この子どもに抜けている学習は何か(逆に優れている点はどこかなど)の診断とそのための支援・評価の観点も漠然となりがちである。

 教材を通して何を教えるのか,言語力と言語活動の区別,国語科固有の領域や全教科を貫く部分などをあらかじめ明快にしておかないと,多忙を極める先生方の背後で,子ども達の学力差や学びの意欲差はさらに拡大しかねないことになる。

 (4) 「習得」「活用」の相互性と到達目標(評価規準・基準,系統性)の明確化

 四つ目は,「習得・活用型学力」の明確化という観点から「学習シート」による授業モデルを提案しているからである。「習得」「探究」型授業(学力)はわかるが,「活用型授業・学力」といった考え方に抵抗があるご意見も多い。実際の授業場面での子どもの思考や内面を考慮すれば「活用」は学習のスタイルや型ではない,というのが大きな理由である。もちろん,「習得」「活用」の授業場面における相互補完性は承知しているが,全員に楽しく「習得」が身についていないのに,学習者主体の「活用」「探究」学習は難しい。

 国語科到達目標(評価規準・基準,系統性)の明確化・系統性という観点から,「習得」「活用」は主体的な課題解決能力や的確なコミュニケーションなど「生きる力」を育成するための両輪であり,授業に当たってはその扱いには相互性・補完性に配慮することが重要である。一方,国語科到達目標(評価規準・基準,系統性)の明確化・系統性という観点から,この学年・説明文で国語科ではどんな言語力を身につけさせ,それが他教科や活動にどのように生きるのかを明確にしておく必要がある。単に教師力・授業力の問題だけではなく,評価・評定という公的な学校における説明責任(結果責任)に関わることでもある。基礎・基本学力(習得型学力)を全員に,確かに定着させることは公教育における学力保証の責任である。そして,さらに「活用」とは何かが授業・評価レベルで明確にされる必要があるのではないか。

 何をどこまでわかれば「習得」になり,どのように「活用」できれば思考力・判断力・表現力などが高まったのかを,まず教師自身が明確にしておくという観点から,本シリーズでは新学習指導要領を踏まえた「習得・活用型学力」の開発を提案している。


3 本書は小中学校(高校)向け『伝記・ノンフィクション編』である

 新学習指導要領「国語」の「言語活動例」で「伝記を読み,自分の生き方について考える」項目が小学校5・6年に明示された。伝記は,小学3年以上の子ども達や中学・高校生が好んで読むジャンルの一つである。これまでも伝記教材はあり,授業でも扱われてきている。ただ,その読み方や意義,紹介や批評・評価の方法についての系統的な位置づけや評価観から十分,実践提案されてきたとは言えないのが現状である。

 「言語活動例」の系統を見ると,「自分の課題を解決するために,意見を述べた文章や解説の文章などを利用すること」(小学校5・6年)や「鑑賞したことを文章に書く」(中学1年),「関心のある事柄について批評する文章を書くこと」(中学3年)など,読み・書く・話す聞く能力の中で関連して位置づけられていることがわかる。

 伝記をどう読み自分の生き方をどう考えさせるのか,心情中心の文学的文章を読む(主題を読み取る)方法でいいのか,選んだ伝記(読書紹介)の紹介や報告レポートの評価のポイントは何かなど,実践課題は多い。本書では,緒方洪庵,宮沢賢治,マザー・テレサ,星野道夫の教材を取り上げ,伝記・ノンフィクション(記録・ルポルタージュなども)の授業モデルと「学習シート」を提案している。取り上げた人物は少ないが,本書の授業モデルと「学習シート」を活用して,「習得・活用」を明確にした論理的で説得力のある読書力育成や記録・報告技術を指導することができる。

 また,紹介させる文章を書くモデルを通して,誰を・なぜ・どこに関心を持ったのか,どのエピソードをどのように紹介するか(字数や相手・場面などの条件に対応して)などを通して,新学習指導要領が求めている「思考力・判断力・表現力」育成につなげることもできる。本書では,子どもの興味・関心を生かした読み方や紹介・報告・評価に生かせるようなモデルが提示してある(詳細は,各編を参照いただきたい)。

 伝記教材の学習では,ヘレン・ケラー,ナイチンゲール,レントゲン,戦国武将,政治家や科学者などの「偉大な」業績を残し人類の未来に貢献した人物だけではなく,身近な家族や友達,ある意味で無名の人物などの生き方の中に「輝かしい人生の瞬間」「人生の苦難に勇気と知恵をもってどう向き合ったか」などを自分の立場から読み解く方法,そしてこうした人々の生き方を批評的に学ばせることが重要なポイントである。

 本書ではそのための基礎・基本とは何か(習得),活用とはどうすればいいのかなどを各教材モデルごとに提案した。


 なお,教材は授業研究会などでよく取り上げられる各教科書会社の代表的なものを選んである。教材・学年や授業の目的などから取捨選択し,現職研修会やお若い先生方の授業づくり力量育成,国語科説明文指導を中心にした全教科による「言語活動の充実」の実践の一助などにご活用いただければ幸いである。


  /佐藤 洋一

著者紹介

佐藤 洋一(さとう よういち)著書を検索»

1955年山形県生まれ,山形大学教育学部・人文学専攻科修了。10年の高校教諭後,愛知教育大学国語教育講座へ(国語科教育学・日本近現代文学担当)。助教授・教授(大学院)を経て,2008年新設の教職大学院へ。現在,愛知教育大学教育実践研究科(教職大学院)教授。日本言語技術教育学会事務局長(理事・学会誌編集委員長),同学会名古屋支部代表,国語教育研究所所員,全国大学国語教育学会(理事),日本国語教育学会・愛知県理事,愛知県三河教育研究会常任講師(国語)等の他,愛知県総合教育センター,熊本・岡山・長野・福井・三重・新潟・滋賀・山口県市等のセンター・研究会講師を歴任等。

「戦後教育(国語)観からの脱皮をめざす国語科授業改革の提案」「言語技術を中核にした実践的授業研究論・学習評価論」「新課程に対応した活用力・コミュニケーション・情報リテラシー論」が目下の研究テーマであり,小中・高校の教育現場で,実際に詩歌・随筆・小説・古典・説明文・論理的なレポート作成などをテーマに児童生徒を対象にした授業を行い問題提起を続けている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • ウチのクラスの子たちは伝記を読むことがとっても大好きです。ですが、どのように授業をしていけばいいのか?そもそも伝記とは?という私にとっては、まさに“目からウロコ”のワークシート集でした!ワークシートとその解説(評価の仕方も載ってて勉強になります!)が見開きで示されているため、とってもわかりやすいです。新任さんにも、これはオススメですよ!
      2011/10/16ろーじん
    • 伝記やノンフィクションに苦手意識をもつ先生におすすめです。子どもたちが「何をすればいいのか」「どんな力をつけるのか」が明確な学習シートは、とても参考になります。
      2011/10/16
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