発達障害のある子どもの自立活動の指導
特別支援学校・特別支援学級・通級,通常の学級の指導の工夫

発達障害のある子どもの自立活動の指導特別支援学校・特別支援学級・通級,通常の学級の指導の工夫

好評5刷

新しい教育課程を編成するに当たり、特に発達障害のある子どもの自立活動の指導をどのように位置付け、内容を具体化し、どのように組み合わせて効果的に指導に取り入れていけばよいのか、できるだけわかりやすく解説、また指導事例を掲載。編著者によるコメント付。


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ISBN:
978-4-18-084424-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
5刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 128頁
状態:
品切れ中
出荷:
未定
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目次

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はじめに
第1章 新しい学習指導要領における自立活動
1 学習指導要領の改訂と自立活動
2 発達障害のある子どもと自立活動
3 特別支援学校(知的障害)における自立活動
4 知的障害/自閉症・情緒障害特別支援学級における自立活動
5 通級による指導(自閉症・LD・ADHD)における自立活動
6 通常の学級における配慮や自立活動を参考にした指導
第2章 自立活動の指導の実際
1 特別支援学校(知的障害)における取り組み
1 事例の概要/ 2 自立活動の指導について/ 3 個別の指導計画/ 4 指導の実際/ 5 成果とまとめ/ 6 コメント
事例1 人とのやりとり関係の習得に困難のある子どもの他者との相互交渉の成立を目指した指導
事例2 少しずつでいいんだよ!
〜食べることに苦戦していたA君への給食完食を目指した偏食指導の実際〜
事例3 人や環境とのかかわりに乏しい児童における,相互作用の力を育てる
事例4 自発語の少ない子どもに感情を表す言葉の理解を図り,絵カードで自分の意思を表出することを目指した指導
2 特別支援学級(知的障害/自閉症・情緒障害)における取り組み
1 事例の概要/ 2 自立活動の指導について/ 3 個別の指導計画/ 4 指導の実際/ 5 成果とまとめ/ 6 コメント
事例1 自ら見通しをもって活動できるようにするための指導
〜スケジュール表による支援の活用〜
事例2 集団生活の中で落ち着いて過ごすための指導
〜自己肯定感を維持し,自己管理力を育てるために〜
事例3 積極的に集団の中で人とかかわっていくための指導
〜人間関係の形成と情緒の安定の指導を中心に通常の学級担任と連携しながら〜
事例4 様々な人とのかかわりを円滑にするための指導
〜達成感のある活動内容と「記録メモ」の活用を中心に〜
事例5 自らの将来に希望をもち,働ける大人になるための自立活動を目指して
〜「なりたい自分」をイメージした3年間の取り組み〜
事例6 自信のない生徒が意欲的に学校生活を送るための指導
〜学校生活全体を支え,自己有能感の向上を〜
3 通級による指導(自閉症・LD・ADHD)における取り組み
1 事例の概要/ 2 自立活動の指導について/ 3 個別の指導計画/ 4 指導の実際/ 5 成果とまとめ/ 6 コメント
事例1 学校生活への適応をスムーズにするための社会的スキルの指導
事例2 自己理解を図り自己決定するための社会的スキルの指導
事例3 自己理解と他者理解,自己支援と他者支援の力を育てる
〜グループ指導と個別指導の効果的なリンク〜
事例4 在籍校との連携による望ましい授業参加と友達とのかかわりを促す社会的スキル指導
事例5 集団での行動を円滑にするための感情コントロールの指導
事例6 社会的に認められる行動への指導
〜自閉症の特性の理解を促し支援者を増やす試み〜
4 通常の学級における自立活動を参考にした指導
1 事例の概要/ 2 指導のねらい/ 3 個別の指導計画/ 4 指導の実際/ 5 成果とまとめ/ 6 コメント
事例1 いごこちのよい教室にするための全体への“転ばぬ先の杖”的支援
事例2 通常の学級でのかかわりづくり

はじめに

 教育基本法や学校教育法の改正等の教育理念を踏まえ,学校で子どもたちの「生きる力」をはぐくむことを目指し,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領,中学校学習指導要領,高等学校学習指導要領及び特別支援学校学習指導要領が改訂されました。

 障害のある子どもの教育については,平成19年4月より特別支援教育が位置付けられ,通常の学級に在籍する障害のある子どもも含め,すべての学校において,その実態に応じて指導内容や指導方法を工夫する等,支援をさらに充実していくこととなります。

 特別支援学校では,幼稚園,小学校,中学校,高等学校に準ずる教育を行うとともに,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するために,自立活動という特別の指導領域が設けられ,子どもの障害の状態等に応じた弾力的な教育課程が編成できるようになっています。特別支援学級では,基本的には,小学校・中学校の学習指導要領に沿って教育が行われますが,子どもの実態に応じて,特別支援学校の学習指導要領を参考として特別の教育課程も編成できるようになっています。また,通級による指導は,障害の状態に応じた特別の指導を特別の指導の場(通級指導教室)で行うことから,通常の学級の教育課程に加え,又はその一部に替えた特別の教育課程を編成することができるようになっています。特別支援学級と通級による指導の教育課程の編成においては,特別支援学校学習指導要領を参考にすることができることから,自立活動の指導を取り入れるなど,個々の子どもの障害の状態に応じた教育課程を編成することが求められます。

 今回の新しい学習指導要領では,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導領域である自立活動についても改訂され,特に発達障害の子どもに重要な「人間関係の形成」が新しい区分として加えられました。「人間関係の形成」には,他者とのかかわりや他者の意図や感情の理解,集団の中で適切に行動することなどが含まれており,発達障害のある子どもの障害特性に応じた教育課程を編成する際には重要な内容となっています。

 自立活動の指導は,その区分や項目の一つ一つが指導する内容ではなく,区分の下に示された項目から個々の児童生徒に必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することになっています。つまり,発達障害の子どもは対人関係の面で様々な困難が見られることから,「人間関係の形成」に関する指導内容を中心に考えればよいということではなく,「心理的な安定」や「環境の把握」「コミュニケーション」などの他の区分に示された内容とも関連付けて指導内容を設定していくことが大切であるということです。

 学習指導要領では,学校における自立活動の指導は,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し,自立し社会参加する資質を養うため,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとされています。各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動が授業時間を特設して指導を行う縦断的な教育活動とすれば,自立活動については,時間を特設して指導を行うだけでなく,各教科等の指導においても自立活動の指導と密接な関連を図って行われることになっていることから,横断的な教育活動と言えるかもしれません。

 今回の改訂により,自立活動に「人間関係の形成」の区分が加えられたことで,より自立し社会参加する資質を養うための指導であることが明確化されました。社会的な存在としての人間の資質を高めることは,そのまま学校教育の目的にもつながるものと考えられます。「健康の保持」「心理的な安定」「人間関係の形成」「環境の把握」「身体の動き」「コミュニケーション」に示されている内容は,障害のある子どもたちだけでなく,社会的な能力が未熟であったり,困難にうまく対応できなかったりすることにより,集団生活における様々な適応困難を示している子どもたちにとっても,また,人間関係がうまく築けないと言われる現代の子どもたち全体を考えてみても,参考となるべき重要な内容が含まれています。

 各教科のように指導内容が体系化されていないということは,子どもの実態に応じて,必要な指導を柔軟に計画し実施することができる反面,指導内容をどのように設定し,どのように実践していけばよいのかという指導者には専門的な知見が求められる難しさもあります。特別支援教育の経験の浅い先生方からは,「自立活動の指導をどのように考えればよいかわからない」「具体的な指導内容が計画できない」等の不安の声をよく聞くことがあります。また,ベテランの先生でも,「自立活動の指導は教育課程上必要がなければ行わなくてもよいものである」「日常生活上の自立ができている場合には必要ない」等の誤った解釈がなされている状況もあるようです。自立活動の指導には,自立し社会参加する資質を養う目的があります。時間を特設して指導を行わない場合でも,他の教育活動の中に自立活動の指導内容を位置付けて計画していく必要があります。子どもは一人一人違った能力・特性をもっています。指導者の日頃のきめ細かい観察が確かな実態把握になり,効果的な個に応じた指導につながっていきます。自立活動の指導を計画するためには,子ども一人一人について,その自立や社会参加していく力を的確に評価できることが求められてきます。


 本書は,新しい学習指導要領のもとで教育課程を編成するに当たり,特に発達障害のある子どもの自立活動の指導をどのように位置付け,内容をどのように具体化し,どのように組み合わせて効果的に指導に取り入れていけばよいのか,できるだけわかりやすく解説し,新しく担任になられた先生方にも活用していただけるものを提供しようという意図でつくりました。

 第1章は総論として,特別支援学校,特別支援学級,通級指導教室及び通常の学級における発達障害のある子どもの自立活動の指導についての基本的な考え方を述べています。そして第2章では,自閉症を中心として発達障害のある子どもの自立活動の指導をどのように実践していけばよいのか,特別支援学校,特別支援学級,通級による指導及び通常の学級における指導事例を載せています。事例を執筆いただいた先生方は,自立活動の指導を日頃から計画的に実施されているベテランの先生方ばかりです。先生方の指導実践は,旧学習指導要領に基づいたものになりますが,大変わかりやすく書いていただいています。そして,それぞれの指導事例について,新しい学習指導要領における自立活動ではどのように変わるのか,3名の編著者が文末にコメントを入れさせていただきました。指導の場による違いもわかるようになっています。なお,通常の学級では自立活動の指導は行いませんが,発達障害等のある子どもが自立し,社会参加する資質を養うための指導を工夫する際には,自立活動の内容が参考になると考えられることから,通常の学級における実践も参考事例として取り上げました。

 本書が発達障害のある子どもの指導を担当する先生方の教育課程の編成や授業計画の手がかりの書となれば幸いです。

 最後になりましたが,難しい注文にもかかわらず快く指導事例の執筆をお引き受けいただいた18名の先生方,そして明治図書出版の三橋由美子氏,橘亜希氏のご尽力に深く感謝申し上げます。


  2009年7月   編著者 /笹森 洋樹

著者紹介

笹森 洋樹(ささもり ひろき)著書を検索»

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

発達障害教育情報センター総括研究員

廣瀬 由美子(ひろせ ゆみこ)著書を検索»

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

教育支援部総括研究員(小・中学校担当)

三苫 由紀雄(みとま ゆきお)著書を検索»

前東京都立高島特別支援学校校長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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