これからの『知的障害教育』
関係の形成と集団参加

これからの『知的障害教育』関係の形成と集団参加

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知的障害教育の長い歴史に裏づけされた授業実践研究

平成22年度、開校50年を迎えた筑波大学附属大塚特別支援学校では、平成19年度から3年次にわたり全校研究の課題「特別支援教育時代の知的障害教育」で、子どもたちの自立と社会参加を目指す授業を実践し、進めてきた。本書はこれまでのその成果をまとめている。


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ISBN:
978-4-18-082626-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
幼・小・中・高
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
第T章 そもそも,知的障害教育とは何か?
◆知的障害教育のあゆみ
◆知的障害児の教育可能性への取り組み
◆人間観の類型から見た知的障害教育
◆教育課程の編成
◆教育課程の多様化と教育の個別化
◆知的障害教育における教科主義と生活主義の相克
◆知的障害教育における自立と社会参加
◆学習内容表の編成作業に参加して
コラム
大塚の「個別教育計画」とは
『経験内容表』とは
第U章 子どもたちは「何を」学ぶのか?
1 『学習内容表』とは
(1)はじめに
(2)「学習内容表」について
(3)「関係の形成と集団参加」領域
(4)「関係の形成と集団参加」領域の「学習内容表」
(5)「学習内容表」の活用方法
2 学習内容表「関係の形成と集団参加」領域(平成21年度版)
コラム
「個のニーズ」に基づく授業づくり
授業改善について
第V章 子どもたちは「どのように」学ぶのか?
◆授業の特長/ ◆「関係の形成と集団参加」領域における目標/ ◆授業の手立て/ ◆授業の流れ(展開)/ ◆Aさんの様子/ ◆授業におけるAさんの姿とその後
[1]  幼稚部の教育
1 設定遊び『アンパンマンと遊ぼう』
2 あさのあつまり
3 体育『サーキットをしよう』
4 造形『さらさら,とろとろ,ふわふわ小麦粉粘土遊び』
コラム 最小限の援助で,最大の可能性を引き出す!
[2]  小学部の教育
1 “くねくねマラカス”でレッツダンス!
2 おいしい生活 みんなのカレー
3 劇・育てよ花たち
4 ぐらぐらゲームでこちょこちょ!
コラム 柔軟な学習形態と指導体制へのチャレンジ〜課題別グループ学習の設定〜
[3]  中学部の教育
1 グループ学習『操作を通して見よう,書こう』
2 生活『“せーの”で ボウリング!』
3 朝の運動(サーキット)
4 音楽『楽器でおしゃべり』
コラム 中学部の造形紹介(粘土制作)
[4]  高等部の教育
1 生活単元学習『働く態度を身につけよう』
2 生活単元学習『卒業生のプレゼントを相談してつくろう』
3 生活単元学習『自分の時間を楽しもう!』
4 作業学習『壁掛けづくり〜働く力をつけるために〜』
5 生活体験実習『グループホームで暮らそう!』
コラム この子たちの将来を考えた教育って?
第W章 地域のセンター的な機能を担う
1 特別支援学校のコーディネーターになって1年目
2 コーディネーターの役割とは
第X章 それぞれの窓から
1 保健給食の窓から〜スマイルだより〜
2 特別支援教育研究センターの窓から
あとがき
教職員一覧

まえがき

 筑波大学附属大塚特別支援学校は平成22年度開校50年を迎えた。その誕生は昭和35年に附属小・中学校特殊学級から養護学校への独立にあった。その後,昭和39年に現在地の春日への新校舎に移転してから40数年になる。その前身であった特殊学級は明治41年の附属小学校補助学級の設置だから,100有余年の齢を数える。第二次大戦で閉鎖された時期もあったが,知的障害教育機関としてはわが国で最も長い歴史をもつと言える。

 本校は東京の都心,小石川後楽園や東京ドームを見下ろす高台に,立地としては申し分のない場所にあるが,難点はまことに敷地が狭く,施設がとても十分とは言えない点である。この立地のよさもあって,国内外からの参観者が多い学校である。イギリスのブレア元首相夫妻やパラグアイの大統領夫人など,外国の要人も来校されている。

 本校は,知的障害の特別支援学校としては在籍者76名という小規模の学校である。ただ全国的には数少ない幼稚部を含め,小・中・高と4つの学部をもち,教職員も比較的長期在職者が多いことから,チームワークよく一人ひとりの子どもにきめ細かな指導が一貫したかたちでできる体制にあると言える。

 最近の教育・研究活動は,本校の内的動機からと言うよりも,学校を取り巻く社会的変化による外的動機からで,それへの対応に追われた観がある。教育実践関係では,個別の指導計画(本校では個別教育計画)の作成・実施・評価改善と連動した授業づくり,さらに個別の教育支援計画の策定と活用,そして学習指導要領改訂に合わせてのカリキュラム検討(学習内容表編成)が主たる研究課題であった。ここには経験内容表作成等,指導に直結した教育課程研究の伝統が色濃く継承されている。

 また,平成19年度の特別支援教育制度への移行に対して,本校では早くに支援部を立ち上げ,文京区を圏域とする地域支援モデルを構築し,特別支援教育コーディネーターとセンター的機能に関しての実践研究を推進してきた。その影響は大きく,文京区との共同活動や本年度から始まった超早期段階の教育支援のプロジェクトにも反映されている。

 本書は,平成19年度から3年次にわたる全校研究の課題「特別支援教育時代の知的障害教育」の研究成果のまとめである。自立と社会参加を目指して実践する中で,子どもたちにどのような力をつけたいのか,どのような指導計画を立て授業づくりをすればよいかを明確にするため,学習内容表の編成と授業研究を大学教員と共同で進めてきた。その成果を毎年2月に開催される本校研究協議会で発表してきたが,このたび50周年に合わせ,広く世に問うため,本書の刊行が企画された。それゆえ,内容は実践研究の概要であり,学習内容表もまだ試案の段階で,今後も実践を経て修正を重ね完成させていく予定である。ついては何とぞご覧いただき,貴重なご意見ご指導をよろしくお願い申し上げる次第である。本書が,皆様方の実践に少しでも寄与し共有の財産になってくれればこの上ない喜びである。


  平成22年10月   /柳本 雄次

著者紹介

柳本 雄次(やなぎもと ゆうじ)著書を検索»

 元筑波大学人間総合科学研究科教授

 前筑波大学附属大塚特別支援学校長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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