- はじめに
- T 第3学年 最新国語科授業づくりのポイント
- 1 新しい授業づくり5つのポイント /冨山 哲也
- 2 指導事項と言語活動例から授業を構想する /冨山 哲也
- 3 これで1年間ばっちり! 年間指導計画の作り方 /三浦 登志一
- 4 こうすればできる! 新指導要録を踏まえた評価 /杉本 直美
- U 成功する国語授業! 言語活動のすべてが分かる最新モデル
- (1) A 話すこと・聞くこと
- 1 新型ゲーム機をPRしよう /宮城 洋之
- 2 「略語を使うことの是非」について考えよう /岩下 正尊
- 3 「ケータイ安心使い方ルール」を作ろう /鈴木 裕子
- 4 私のおすすめについて即興的にスピーチしよう /川端 香代子
- 5 文化祭に招待するPRビデオを作ろう /山内 裕介
- 6 模擬面接をしよう /勝田 敏行
- (2) B 書くこと
- 1 「作文募集ポスター」を批評する /加藤 咲子
- 2 卒業記念新聞を作る /笹平 みどり
- 3 社会の出来事を批評しよう /高橋 伸
- 4 学校の広報活動を見直そう /古田 亮
- 5 「味覚辞典」を編集する /田沼 良宣
- 6 地域の特産品を紹介しよう /藤田 まり
- (3) C 読むこと
- 1 「道」にかかわる小説等を読み比べて批評する /舟橋 秀晃
- 2 新聞記事を読み比べよう /宮城 洋之
- 3 自分の読書傾向を知り,読書の幅を広げよう /伊木 洋
- 4 主題歌を批評する /積山 昌典
- 5 文章を比較して考えよう /中島 聖巳
- 6 教科書で読書生活を振り返る /杉本 直美
- 7 いろいろな「桃太郎」を比較しよう /前田 敦子
- (4) 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
- 1 古典の魅力をポスターセッションで伝える /黒田 諭
- 2 あの人にこの一節を贈る /山内 裕介
- 3 敬語を使える人になろう /吉田 崇
- 4 漢字の問題を作成しよう /稲川 貞幸
- 5 修学旅行の思い出を書写の作品に仕上げる /田口 志津代
- (5) 領域の関連を図った授業モデル
- 「おくのほそ道旅マップ」を編集しよう /加藤 咲子
- V 中学校3年間の系統と年間指導計画例
- 1 3年間の系統表
- 2 年間指導計画例
- 3 他教科等への活用と連携の計画例
- 1 〈理科との関連を図った指導〉理科の学習で,引用して説明する力を生かす /内田 加奈子
- 2 〈音楽科との関連を図った指導〉音楽科の鑑賞の学習と国語科の「書くこと」の学習を結び,批評する力を高める /坂 英晃
- (付録)単元構想表〔記入用〕
- おわりに
はじめに
平成20年3月に新学習指導要領が告示され,9月には『解説国語編』が市販されました。中学校は平成21年から3年間の移行期間に入り,既に多くの学校で新学習指導要領による国語の授業が試行されています。昨年5月には新しい生徒指導要録と学習評価についての考え方が示され,新学習指導要領に基づく指導と評価の研究も一層進むことと思われます。
改めて言うまでもなく,今回の学習指導要領改訂では各教科等における言語活動の充実が示され,その基本となる能力を育成する国語科には大きな期待が寄せられています。特に教科担任制の中学校においては,国語科教師の責務はきわめて重いものがあります。そのような状況の中で若干懸念されるのは,教師主導で知識注入に偏した国語の授業,付けたい力やその評価方法が明確でない学習指導案,教材や活動に対する教師の思いばかりが先行した指導がいまだ多く見られることです。また,大都市圏を中心に増えてきている若い国語の教師の中には,授業をどうつくっていったらよいのか分からないという悩みをもつ人もいるようです。
このような課題を克服し,魅力的で確かな力が付く国語の授業を展開するために,私は,「学習指導要領から授業をつくる」ことを提案しています。学習指導要領から授業をつくる際には,
・付けたい力を明確にする
・言語活動を通して指導事項を指導する
・学習過程を意識した課題解決的な学習を取り入れる
・指導の系統性と重点化を踏まえて既習事項を活用させる
・重点的に指導する内容について的確に評価し指導に役立てる
という原則を大事にしてほしいと思います。そのために,「単元構想表」という書式をつくり,これに基づいて授業を構想することを考えました。本書は、この「単元構想表」に基づいた授業アイデアを各学年全領域について示すという方針で編集しています。そうした体裁をとることにより,
・指導事項と言語活動例の関係が分かる
・今求められている言語活動の具体的な姿がイメージできる
・新学習指導要領で新たに示された内容についての理解が深まる
・魅力的な学習課題,発問,板書などについてのヒントが得られる
・「学習指導要領から授業をつくる」具体的な方法が分かる
ことを意図しています。
授業アイデアや実践例については,全国の学校や教育委員会等で活躍されている先生方に執筆していただきました。これらは各領域ごとに,前半は1単位時間の展開まで詳細に分かる「細案」の形で示し,後半は単元が概括できる「略案」の形で示しました。それぞれすぐに授業で使える内容であるとともに,新しい中学校国語の授業のイメージづくりに役立つものになっています。
しかし,本書は,ただ実践やアイデアを紹介するだけの本ではありません。多くの例を参考にして,読者の皆さんに実際に単元を構想していただくことを想定しています。そのため巻末に,項目だけの「単元構想表」を付けました。これに記入しながら,これまでの実践を整理したり,新たな授業を創造したりしていただければ幸いです。
なお,本書は学年ごとの3冊のシリーズで作成しました。第1学年は冨山が編集し,第2学年は三浦登志一氏,第3学年は杉本直美氏と共同で編集しました。また,明治図書の佐保文章氏には全巻を通じてご尽力いただきました。記して,深く感謝いたします。
平成23(2011)年4月 文部科学省教科調査官 /冨山 哲也
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- 明治図書