- まえがき
- 1章 中学校担任・保護者対応の姿勢と基礎・基本
- はじめに
- 1 何より「保護者との好ましい関係づくり」を目指すこと
- 2 保護者対応では誠意を示すこと。誠意とは手続きを間違いなく遂行すること
- 3 学校組織の一員として保護者と対応している意識をもつこと
- 2章 保護者との好ましい関係づくり
- §1 保護者会,面談など直接的なかかわりを通して
- 1 保護者相互の絆を強める保護者会の演出
- 2 保護者の心をつかむ保護者会運営の工夫
- 3 生徒の学校生活を豊かにさせる三者面談(生徒のよさを引き出す言葉かけ)
- 4 生徒の学習意欲を高める保護者との連携(学業指導充実に向けた保護者への助言)
- 5 保護者の信頼を獲得する教室環境の整備
- 6 学年,全校を対象とした保護者会での話し方
- §2 紙面を通して
- 1 生徒の学校生活の意欲を高める学級通信づくり
- 2 生徒全員に配慮した文章づくり
- 3 生徒の学校生活への意欲を高める通知表の所見
- 4 保護者の啓発を図る文書作成
- 5 学年,学校を対象とした学年通信,生徒指導だより,進路通信などの作成
- §3 電話,通信機器を介して
- 1 保護者の信頼をかちとる電話対応の基礎・基本
- 2 保護者の信頼をかちとる電子メール等の配慮事項
- §4 課題別の行事前後の保護者会
- 1 入学式後等のあわただしい中での初めての保護者会
- 2 長期休業前の保護者会
- 3 旅行・集団宿泊的行事を前にした保護者会
- 4 進路指導説明会
- 5 年度末,卒業期の保護者会
- 6 公開授業後等の研究協議での対応
- 3章 生徒指導での対応
- §1 保護者との面談を通して
- 1 いじめられた生徒の保護者対応
- 2 いじめている生徒の保護者対応
- 3 不登校生徒の保護者対応
- 4 暴力的傾向の保護者への対応
- 5 怪我や事故への対応(保護者への連絡も含める)
- 6 問題行動への対応 @異装への対応
- 7 問題行動への対応 A健康面に関して
- 8 問題行動への対応 B性の指導と関連して
- 9 問題行動への対応 C薬物乱用,盗癖,深夜徘徊など
- 4章 配慮を要する保護者への対応
- §1 電話対応,面談を
- 1 地域からの生徒の校外生活等の苦情対応
- 2 虐待関係への対応
- 3 精神的に不安定(発達障害的)な保護者への対応
- 4 国籍・文化のちがいへの対応
- 5 前担任とすぐに比較する保護者への対応
- 6 学級経営方針に異論をもつ保護者の対応
- 7 評定の苦情対応
- 8 学習指導に異論をもつ保護者
- 9 生徒指導方針に異論をもつ保護者
- 10 諸費の未納・滞納への対応
- 5章 特別支援教育関係
- §1 面談を通して
- 1 生徒の障害を受け入れていない保護者
- 2 他の保護者からの苦情等
まえがき
私が教師になったのは,昭和52年でした。当時は全国的に「荒れる中学校」と言われるほど,多くの生徒の問題行動がありました。私は,数学の教師でしたが,教科の教材研究をやるより生徒指導(生活指導)にかかる時間の方が格段に多かったです。もちろんどこの学校もこの傾向はあったと思います。保護者もわが子を守るために必死でした。ですから学校の依頼には比較的協力をしてくれました。若くして3年の担任になったとき,「よく,出来の悪いうちの子の担任になってくれた。本当にうれしいです。うちの子が何か悪さをしたら,連絡してください。家でも先生に迷惑をかけないように叱り飛ばしますから」と言われたことを印象深く覚えています。その保護者は,私のような未熟な教師の失敗を温かく見守ってくれました。保護者に一人前の教師にしてもらったという実感があります。
時が流れ,急激な社会の変化は,この教師の周りまで変えてきています。このことは保護者の教師の見方を変えてきています。未熟な教師には,職務の厳しさを指摘します。集団としての成長よりもわが子(個)の成長を優先し,指導の在り方について強く要望する保護者も増加傾向にあります。その要望が深夜,毎日電話となってあらわれることもあります。保護者対応に苦慮している教師は着実に増加しています。
しかし,子どもを健全に育てるには周知の通り学校ばかりでなく,学校・家庭・地域の三者が緊密に連携を図りかかわっていくことが何より重要です。特に,家庭教育の重要性は教育基本法の第10条でも第一義的責任として示されています。学校としては,今まで以上に保護者と連携し子どもの教育を進めていかなければなりません。
これからの学校教育の充実は,学校と家庭,教師と保護者との好ましい人間関係が大きく影響してきます。互いに言うべきところは言える。相談すべきところは同じ視点に立って悩みを共有し解決していく。情報は共有する,といった教師の姿勢が重要であり,このように保護者と対応していく能力を身に付けていくことが必要です。
そこで,こうした保護者対応に役立つポイントやスキルを保護者対応の姿勢と基礎・基本という形で特に,若い教師の皆さんに役立つ形で分かりやすく具体的な内容を提供したいと考えまとめることといたしました。このような執筆の意図を汲みご協力いただいた執筆者の方々並びに,本書の企画・編集にご尽力された明治図書の安藤征宏氏に対して心から感謝とお礼を申し上げたいと存じます。
2010年12月 編者 /美谷島 正義
-
- 明治図書