子どもたちの対話が激変する「質問力」アップワーク 低学年

子どもたちの対話が激変する「質問力」アップワーク 低学年

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「質問力」で話合い活動がみるみる活性化する!

子どもの質問力に焦点を当てた初の書!話合いがどうもうまくいかないのは質問力不足?友だちの言葉をしっかり受け止め、質問と応答を繰り返す中で気持ちよく共通理解して、話し合おう。短時間で、楽しく、効果的に「質問力」を鍛えるトレーニングワークを多数開発した。


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ISBN:
978-4-18-078122-5
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 88頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年3月29日

目次

もくじの詳細表示

はじめに …質問力がなぜ求められるか
T 一から分かる低学年質問力育成の方略
(村松 賢一)
1 質問力を意識すると国語の授業が変わる―子どもがイキイキと話す・聞く授業―
2 子どもに身に付けさせたい質問力とは
3 質問力を育てる授業づくりの重点
U 1年生の「質問力」アップワーク&活用アイデア
(佐藤 申子)
(1) モデル型ワーク
[1] 台本を演じて質問の基礎を学ぶ
お友だちの家にあそびに行きました
(2) 基本スキルのドリル型ワーク
[2] 聞き合いごっこで質問パワーをつける
あのね,今日学校で
[3] 質問力アップは「習うより慣れろ」
ビンゴでしつもんゲーム
[4] こんな仕掛けで5W1Hを習得
きのう なにをしましたか?
[5] 質問力をつけて忘れ物をなくそう
夢の遠足に行こう
(3) 活動型のアイデアワーク
[6] 質問力がつけば友だちができる
どうぞ よろしく
[7] 「なぜ」質問で心の扉を開こう
ペットをかってみたいな
[8] 楽しいクイズで質問の基本を学ぶ
変身! わたしはだれでしょう
[9] 質問してくれるとうれしいな
冬休みの思い出
[10] 質問ができると楽しい本がいっぱい見つかる
本やさん,おすすめの本はありますか
V 2年生の「質問力」アップワーク&活用アイデア
(佐藤 申子)
(1) モデル型ワーク
[1] 良い例・悪い例から学ぶ質問のキホンのキ
小さいころの話をおしえて
(2) 基本スキルのドリル型ワーク
[2] 質問ビンゴで友だちできた
ビンゴでしつもんゲーム
[3] 早口ことばで「聞き返し方」を学ぶ
伝言ゲーム なんて言ったの?
[4] 宝物が見つかるも見つからないも質問力次第
宝島 宝さがし
(3) 活動型のアイデアワーク
[5] 聞き上手で広がる友だちの輪
インタビュー ひみつをおしえて
[6] ◯◯名人に聞く上達の秘密
教えて ◯◯名人!
[7] 質問力をつければウソが見抜ける
ダウトをさがせ
[8] おもしろい本は? ためになる本は? 本探しは質問力が決め手
わたしは 本やさん
[9] さあ,主人公にインタビューしてみよう!
ものがたり なりきりトーク&インタビュー
[10] 不思議!
聞き合うだけで結論が一つに 聞き合って,班の名前をきめよう
W 質問力を高める実践事例
1 みぶりをいっしょにかんがえてね――「みんなにつたえよう」(1年生) /佐伯 美穂子
2 お話,大すき――「本やさんへようこそ」(2年生) /佐藤 申子
あとがき

はじめに

   質問力がなぜ求められるか


質問力は生きる力

 「ジャングルブック」の著者として知られる英国の作家,ラダヤード・キプリングは次のように語ったと言われる。

 「私は人生の全てを次の6人の正直者から教わった。彼らの名前は,What,Why,When,How,そして,Where,Whoである。」

 いわゆる5W1Hだ。インタビューの仕事に30年近く携わってきた経験に照らしても,この言葉は決してオーバーでないと言える。中でも,What,How,Whyの3つはマジックワードと言ってもよく,状況により,目的に応じて,これらの質問を適切に操れれば,人生無敵と言っても過言ではない。単に,会話上手になったり,必要な情報を獲得できたりするだけではない。その人は,丁寧に人の気持ちに寄り添い,気持ちをほぐし,本音を引き出すことができるので,自ずとまわりに友人と信望とを集める。自分の意見を押しつけることなく,気がついたら,対立していた相手が「わかった」と歩み寄る。なぜか。彼(彼女)は,言い張る前に,まず,相手の考えをしっかり受けとめる(聞き出す)ことに努める。そして,言葉のもとになった考えを理解すべく,あれこれ質問を繰り出しながら,自分の考えとの相違点と共通点を相手と共に見つけようとする。やがて,2つの円が重なり合う領域がはっきりしてくると,合意形成は時間の問題である。こうして,どんな人とでも,気持ちよく共通理解が築けるからどんどん仕事が進み可能性が広がる。これを生きる力と言わずして何と言おう。


長年無視された質問力

 それほどに大切な質問は,しかし,国語教育の世界で長いこと不遇をかこってきた。試みに,現行(平成10年改訂)の学習指導要領をひもといてみよう。「話すこと・聞くこと」の指導事項のどこにも「質問」という言葉は見つからない。学習指導要領上,長い間,「話すこと」は表現領域,「聞くこと」は理解領域に分けられ,両者の中間に位置する「質問」は居場所を与えられてこなかった。その影響が,「話すこと」と「聞くこと」が統合されても,尚,残っているのである。だが,ようやくその重要性が認識され始めた。新学習指導要領では,初めて,「尋ねたり応答したり」(小学校,1・2年,言語活動例)とか「話の中心に気を付けて聞き,質問をしたり」(同,3・4年,指導事項)という言葉が登場したのである。これから,である。これから,私たちは,「質問力」ときちんと向き合い,その可能性を追究していかなければならない。


質問力育成の具体的手立て

 質問力に限らず,言語技能の習得には2つのアプローチのバランスをとることが大切である。1つは,「質問力」自体を学習目標とする取り立てた指導である(基礎・基本)。もう1つは,そうして鍛えた「質問力」を「読むこと」や「書くこと」,更には,他教科の学習に生かすことである(活用)。どちらか一方に偏した指導では,十分な質問力を身につけさせることはできない(本書に,ワークだけでなく,巻末に実践事例を載せたのもそのためである)。学習指導要領上はどうあれ,質問力の重要性に気付いた指導者は,これまでも,さまざまに工夫された実践を通してその育成に心をくだいてきた。しかし,残念ながら,その多くは活用型であり,基礎・基本を取り立てて指導するノウハウの確立は大きく立ち遅れているのが現状である。私たちが,本シリーズを世に問う理由はそこにある。短時間で,楽しく,効果的に質問力を鍛えるワーク,という高いハードルをあえて掲げて力を尽くしたつもりである。能書きはこれくらいにして,本書を活用していただく一助として,最小限度のキーワードを説明させていただきたい。


本書のキーワード

 私たちは,質問を,その機能から大きく次の3つの系統に分けた。

 @ 知らないことやわからない点を尋ねる(WHAT系)。これを「なに」質問とする。

 A より詳しい様子や状態を聞き出す(HOW系)。これを「どう」質問とする。

 B 理由や根拠を質す(WHY系)。これを「なぜ」質問とする。

 これらの質問は,言語活動の類型(心情交流型・情報交流型・意見交流型・合意形成型)によって,求められる主な機能が異なる。

 また,ワークは難易度によって,以下の3種類に分けた。すなわち,あらかじめ用意された質問を声に出すだけの「モデル型」。質問の3類型のどれかに焦点を合わせ,それを集中的に練習する「ドリル型」。そして,達成すべき目的を明確にしたミニ活動を通して,すべての質問類型を学ぶ「活動型」である。各ワークの冒頭に,これらの種別を記したので参考にしていただきたい。

 ワークは,@「アイデアとねらい」,A「活動の手順」,B「指導上の留意点」,Cワークシート(振り返りカードを含む。そのままコピーして使えるよう配慮した)から構成されている。配列は,モデル型,ドリル型,活動型の順に並べたが,子どもの実態に応じて,いつ,どこから始めていただいても構わない。

 最後に,そもそもの企画から数次にわたる原稿の手直し,脱稿に至るまでの全ての段階で深く関わってくださった明治図書の佐保文章さんに心から感謝の意を表したい。本シリーズがかくある形になったのは佐保さんの的確なアドバイスがあってこそである。

 本書が,子どもたちが,「6人の正直者」と出会うきっかけになればこれ以上の喜びはない。


  2011年2月   著者を代表して /村松 賢一

著者紹介

村松 賢一(むらまつ けんいち)著書を検索»

1941年,神奈川県に生まれる。一橋大学卒業。NHKアナウンサー,お茶の水女子大学教授をへて,2003年よりスピーチコミュニケーション教育研究所を主宰。現在は,「児童・生徒のコミュニケーション能力育成」をテーマに,全国の小・中学校で「話すこと・聞くこと」の授業作りのアドバイザーを務める傍ら,日本教育大学院大学で教員養成にも携わっている。小中学校の国語教科書編集委員。NHK高校講座「国語表現T」講師。

佐藤 申子(さとう のぶこ)著書を検索»

東京都町田市立南第二小学校教諭。「思いや考えを伝え合う力を育てる指導の工夫」をテーマに研究校・研究推進校として4年間研究を継続。2009年研究発表。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 隙間時間にできる活動が載っており、大変参考になる一冊です。ワークシートも具体的で、そのまま活用できます。
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      2015/10/450代・小学校教員
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