- はじめに
- 第1章 小学校英語スタート グローバル化と英語教育
- 1 なぜ小学校で英語?
- 2 小学校英語教育のこれまでとこれから
- 3 新学習指導要領を支える三つの基本概念
- 4 小学校外国語活動・外国語科が目指すもの
- 5 新学習指導要領で大切にしたい三つの事柄
- 6 英語教育は小学校教育を支える一つの土台
- 7 小学校英語で育つ子どもの姿
- 8 学級担任の英語苦手意識を宝に
- 第2章 英語の学習プロセスとそのつまずき
- 1 人によって異なる認知の嗜好
- 2 文字習得のプロセス
- 3 音のイメージ獲得から文字へ
- 4 日本語でのつまずきが英語のつまずきを予見
- 5 情報処理のプロセス
- 6 情報処理プロセスから考える単語入力の工夫
- 7 自分の認知の優位さに気づくことが学習方略獲得の一歩
- 8 英語が得意な学習者と英語が苦手な学習者
- 9 言語学習適性能力
- 10 暗記力と記憶のメカニズム
- 第3章 どの子も学びやすくなる!小学校英語 授業づくりのポイント
- 1 英語の授業を頑張ってみよう
- 2 子どもに英語を学びたいと思わせよう
- 3 学級に合った単元計画を立てよう
- 4 「めあて」を軸に一時間の流れをつくろう
- 5 多感覚を意識した授業づくり
- 6 中学年と高学年の発達段階の特徴を捉えよう
- 7 英語のインプットを増やそう
- 8 聞く活動にもヒントを出そう
- 9 言語活動は相手意識・目的意識が肝
- 10 ジェスチャーや言葉の区切り方も大切にしよう
- 11 口ずさんで記憶に残る英語の歌を活用しよう
- 12 聞いて見て学べる絵本を活用しよう
- 13 身近な教材で子どもの関心を高めるアイデア
- 14 Classroom Englishにチャレンジ
- 15 Small Talkにもチャレンジ
- 16 読み書きの前に多感覚で英語に触れさせよう
- 17 ローマ字と英語の違い
- 18 ローマ字の訓令式とヘボン式の使い分け
- 19 英語と日本語の音韻単位の違い
- 20 文字と音の関係を学べるフォニックス
- 21 アルファベットを書く時の指導ポイント
- 22 世界の文化・多様性も教えよう
- 23 ALTの先生といい関係を築こう
- 24 ALTの先生との文化の違いも意識しよう
- 25 英語を使ったスペシャルイベントを考えよう
- 26 評価の多様なアプローチ
- 27 英語学習におけるつまずきの要因
- 28 「聞く」「話す」が難しい子どもへの支援
- 29 「読む」「書く」が苦手な子どもへの支援
- 30 「読み書き障害」(ディスレクシア)
- 31 人との関わりが難しい自閉症傾向の子どもへの支援
- 32 集中が続きにくいADHD傾向の子どもへの支援
- コラム 外来語の活用
- おわりに
はじめに
多忙な日本の先生方にとって外国語の授業への負担感は否めません。一方で,人との関わりが多い外国語の授業は学級経営に生かすことができます。また私たちの周りでは,急速に多文化化,グローバル化が進んでいます。全国どの都道府県に出かけても外国の人を見かけるようになりました。海外から日本への外国人旅行者数は既に3000万人を超え,日本の小学校でも外国人児童の数が増加しています。世界で活躍する日本人アスリートも増え,流暢な英語でインタビューに答えている選手がまぶしく見えます。
先生方に伺うと「自分は英語が苦手だけれど,これからの社会を担う子どもたちには英語が必要だ。だから自分も英語の授業を頑張ってみる」という声が多く聞かれます。先生方が英語を教えられる際,何かお役に立てればと思い,この本に取り組みました。この本は,読んですぐに使える活動集ではありません。先生方が授業の流れや活動を考えられる際,どのような要素が必要か,なぜ必要か,という点の何かヒントになると幸いです。同時に,英語を学習する際,楽しく取り組む子どもたちがいる一方で,難しさを感じる子どももいます。発達障害も含め,様々な特性を持った子どもたちに,外国語の授業ではどのように工夫・支援をすることができるかも含めました。第1章は,大学教員として長年,児童英語に関わってこられた築道先生が,小学校への英語導入の経緯と新学習指導要領におけるポイントを,第2章は,子どもの支援に長く携わってこられた飯島先生が,英語の習得とつまずきのメカニズムについて,そして第3章は私が,授業に取り組む際のヒントについてまとめました。
他教科に比べ,日本の小学校の英語は,まだ始まったばかりです。先生方が授業に取り組まれる際,この本が何らかのお役に立てることを願いつつ,同時に,先生方のさらなるご活躍とご多幸をお祈りしております。
編著者 /大谷 みどり
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- 明治図書