- はじめに
- 第1章 ビジョンを描き,効率的に仕事を行うために
- 「こんな学校をつくりたい!」というビジョンを描く
- 管理職に相談し,係を生かす
- リソースを生かして,作業は効率よく行う
- 1年間,1か月,1週間のスケジュールをもつ
- 1人で抱え込まない
- 週に一度は早く帰る
- ストレスを溜め込まない
- 第2章 学校が円滑に回るスケジュール管理
- 教育計画の全体構成と分担,製作日程を12月の職員会議で扱う
- 願いを込めた教育計画の作成はみんなで手際よく行う
- 年間行事予定表は,早めに動いてミスなくつくる
- 特別教室の時間割編成の基本を押さえる
- 教室ごと,クラスごとに特別教室の時間割を作成する
- 時間割入力の手順を示す
- 時間割作成の相談に乗る
- 前年度のうちに児童名簿を仮でつくる
- 月暦は前月10日までに作成する
- 週暦は火曜日までに作成する
- 第3章 学校をアクティブにする教務学年主任会
- 円滑に学校を動かすための共通理解を図る
- 企画に応じたメンバーで質を高める
- 生活目標を子どもに確実に下ろす
- 学力向上の取組は全校で歩みをそろえる
- 要項は1週間前までに配付する
- 月のはじめに会議を行う
- 会議の方向性を校長,教頭と共有する
- 根回しをぬかりなく行う
- 協議の山場をつくる
- 参加者全員の発言を引き出す
- 教務学年主任会だよりを出す
- 第4章 教務学年主任会の各月の話題
- 毎月の重点を決める
- 4月 願いの共有
- 5月 6月の荒れへの備え
- 6月 6月の状況報告と7月への提案
- 7月 3つの見通しの共有
- 8月 1学期の振り返りと2学期の展望
- 9月 落ち着いたスタートとストレスへの対応
- 10月 課題解決の方略の検討と荒れへの備え
- 11月 学級の荒れへの対応策と来年度への準備
- 12月 丁寧なまとめと円滑なスタートの準備
- 1月 課題の整理と成果の発揮の準備
- 2月 成果の意識と共有
- 3月 最高の状態での締め括り
- 第5章 校務の質と効率を上げる
- 係への意見は紙ではなくPC入力にする
- 係の反省と計画を一度に済ませる
- 教科の計画は2つの視点で立てる
- ペーパーレス化を積極的に行う
- 学級経営案は簡潔に示す
- 学校評価アンケートは手際よく実施し,結果は慎重に扱う
- 学校評価アンケートでは少数意見も大切に扱う
- 罰則を周知することで非違行為を防止する
- 第6章 新年度準備,儀式的行事を円滑に進める
- 新任の先生を気持ちよく迎える
- 年度はじめの大量の配付物をマネジメントする
- 儀式的行事の司会はメリハリをつける
- 儀式的行事をトラブルなく運営する
- 第7章 学校内外の人間関係を円滑にする
- ベテランの先生をリスペクトする
- 20代前半の先生をリスペクトする
- PTA,地域の方とつながる
- 教職員の対人関係スキルを高める
- 第8章 教務主任1年目に特に大切にしたいこと
- 校内の隅々にまで目を配る
- ヒラメにならず,マグロになる
- 兼務を励みにする
- 1年目は仕事に慣れること,観察することに注力する
はじめに
教務主任の仕事は,学校教育法施行規則第44条の4に,「教務主任は,校長の監督を受け,教育計画の立案その他の教務に関する事項について連絡調整及び指導,助言に当たる」と規定されています。
このうち「教務」とは,時間割の調整,教科書・教材に関する事務処理,教育課程の検討・作成,学籍に関する事務処理,学校行事の企画・運営,指導要録・通知表の作成・管理といった,「教育に関する事務」のことを指します。教育に関する事務の仕事について言えば,仕事の内容も,仕事を行う時期も毎年そう大きく変わるものではありません。
また,例えば,指導要録や通知表のテンプレートも多くの学校にあります。
したがって,教育に関する事務に関してはこれまでの教務主任が行ってきたことを着実に行っていけば,仕事は確実に回っていきます。
しかし,教務主任の仕事に慣れ,それをこなしていくことそのものを目的として働くのでは,きっとどこか物足りない気がするでしょう。
教務主任の仕事はとても多いからこそ,仕事に追われるのではなく,「目的」をもって仕事をした方が,働き甲斐を感じることができるでしょう。
では,その目的とは何でしょうか。
それは,「学校をよりよくすること」に尽きます。
言い換えれば,「一人ひとりの子どもが笑顔で登校でき,友だちと仲良くでき,勉強ができるようになること」です。
そのためには,先生方が目標を共有し,見通しをもち,協力し合い,改善すべきところは改善し,校務を進めていくことが必要になります。
そこに,教務主任だからこそできることがあります。
一般に,教務主任は各係,及び学年の活動の情報共有・調整等を行う「教務学年主任会」を企画,運営します。学年主任や生徒指導主任等が集まる会議は,各係,学年の活動状況を報告し合うだけではもったいないです。例えば,教務主任が感じる課題や目指す学校の姿を伝え,各主任が課題や目標を共有し,実践していく道筋をつくることができます。
さらに,研究主任や生徒指導主任等の各主任を生かすこともできます。各主任が感じている課題や目指す学校の姿を知り,会議に提案してもらい,検討し,学校体制で実践につなげていくことができます。
一方,このように,教務学年主任会を軸として,先生方の願いを実践につなげたり,先生方同士をつなげたりしていくためには,校長や教頭との連絡・調整,見通しをもった会議スケジュール,各主任の主体性を高めるしかけなど,様々なことが必要になります。そこで本書では,基本的な教務主任の仕事に加え,12か月分の教務学年主任会のもち方の例をはじめ,上にあげた点についての方策を具体的に示しました。
その他にも,先生方が子どもたちに対して効果的な指導・支援を行っていくためには,それぞれの先生が担当する校務に見通しをもってあたり,できるだけ能率的に処理することが求められます。そこで本書では,例えば要点を絞った学級経営案のモデルなど,忙しい先生方の校務が円滑に進むために教務主任ができることについても具体例を示しました。
また,年度末から新年度にかけてのバタバタする時期のマネジメントのポイントについても示しています。
教務主任の仕事を「こなす」のではなく,教務主任の仕事を通して「学校をよりよくしたい!」「子どもをよりよくしたい!」「職員室を明るくしたい!」と願う先生方の一助になることを願っています。
最後になりましたが,明治図書出版の矢口郁雄氏には,このたびも大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。
2024年2月 /小林 康宏
特に「学校が回る円滑なスケジュール管理」が勉強になりました。
ありがとうございます。