特別支援教育の授業ヒント集1
知的障害教育 算数・数学(基礎的数量)編

特別支援教育の授業ヒント集1知的障害教育 算数・数学(基礎的数量)編

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あらゆる場面で活用できる基礎的数量の実践指導事例集。

「数と計算」の基礎的内容の先進的指導事例集。生活単元学習や作業学習の中でも、教科中心の指導「算数・数学」の中でも活用できるように内容を構成した。題材設定の理由・子どもの様子・指導計画・指導の実際・指導ポイントと発展を示し、多数の授業ヒントを提供する。


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ISBN:
4-18-072406-5
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
8刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 数と計算の指導内容と方法
1 指導内容
2 指導方法
3 教科別の指導
第2章 授業ヒントの実際例
T 「分類」に重点をおいた実際例
1 同じ形で分類することができるようにするには
―まず,同じものを選ぶ力を育てよう―
2 分割したカードや立体パズルを組み合わせることができるようにするには
―こわす喜びから,つくる喜びへの挑戦―
3 同じ色で分類することができるようにするには
―題材名「色の分類をしよう」―
4 平面図形による形の弁別学習
―○,△,□の形を「分類する→見本合わせをする」―
U 「数〈数える・合成・分解〉」に重点をおいた実際例
5 1対1対応で小さな数を理解する
―「黒ひげゲームをしよう」〜具体物・数図・数詞の関係性の理解を準備―
6 1から10までの数詞を唱えられることができるようにするには
―朝の会で行う「今月の月の数の数唱」―
7 さいころコロコロ 三浦へGO!
―すごろくゲームで数の学習―
8 ボウリングゲームによる順序の学習
―個別学習とグループ学習を組み合わせた学習活動の展開―
9 1から10までの数図の多少比較を通して,数系列の理解を促す指導
―個別指導における実践―
10 数の大きさ(量)を捉えさせる数の学習
―9までの数とたし算―
11 100までの数詞を唱えたり数えたりすることができるようにするには
―ドングリやワークシートなどを使った「かず」の学習―
V 「計算〈数える・合成・分解〉」に重点をおいた実際例
12 5までの数の合成・分解ができるようにするには
―理解を助ける多様な教材を活用して―
13 1対1対応〜10までの数の数量の理解・定着を目指して
―個に応じた視覚的支援の繰り返し学習の工夫―
14 和が10以内の数の加法計算ができるようにするには
―生活に生かす数の学習をめざして―
15 「数は唱えられるけどうまく数えられない」から「繰り上がりのある計算」まで
―教材教具を工夫して,いろいろな場面で定着を図る授業のポイント―
16 10ずつまとめて数えることができるようにするには
―集団指導→小集団指導→個別指導をうまく組み合わせて―
17 繰り上がりの仕組みを理解し,計算ができるようにするためには
―両替えの操作を基本にして―
18 合成・分解と計算とを関連づけた,たし算・ひき算の学習
―10以内の減法計算ができるようにするには―
19 繰り下がりのある引き算の指導
―計算シートとパソコンソフトを活用して―
20 大きな数を数えよう(身の回りの物や人とのかかわりを通して)
―5ずつまとめて数えられるようになるには―
21 「かずがならんでいること」に着目したかけ算の九九学習
―5のだん・2のだん・4のだんをたのしんでできるようにするには―
附 録 基礎的数量関係の主な指導内容一覧

まえがき

 学習指導要領が改訂されすでに6年が経過しました。この間,指導時間や指導内容の削減さらに,総合的な学習の時間の新設などをめぐって,学力低下につながるとして評判がよくありませんでした。これらのことを踏まえて,改訂から10年待たずして平成15年10月7日中央教育審議会は,文部科学省に対し「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」の答申を行いました。この中で学習指導要領の見直し内容について,この本に特に関連したことを要約しますと次のようになります。

 @ 学習指導要領の「基準性」を一層明確に示すため総則の記述を見直す必要があります。

 A 「〜は扱わないものとする」などのいわゆる「はどめ規定」等の記述を見直す必要があります。

   「『個に応じた指導』の一層の充実」の項で関連する事項は,次のようです。

 @ 必修教科において,発達段階を考慮しつつ取り扱うことができるように「補充的な学習」「発展的な学習」について,例示として追加することが必要です。

 A 「補充的な学習」「発展的な学習」を行う場合は,きめ細かい配慮が必要です。


 知的障害教育では,総則事項の見直しに関しては,特に取り立てることもないでしょう。枠があっても日々の教育活動は,枠はないに等しい状況です。今回の学習指導要領でいう「はどめ規定」は,知的障害教育においては現在も何もありません。「負担荷重にならないように」とは,子ども達の健康・安全を考慮してのことです。

 個に応じた指導の項で「補充的な学習」「発展的な学習」について例示として追加するように述べていますが,知的障害教育では,必要があればこれまでも自由に行えますが,「補充的な学習」「発展的な学習」をするという機会はなかったでしょう。

 知的障害教育では,「重複障害の場合,教科の一部又は全部を自立活動に変える学習」「障害が重い場合は一部を削除しての学習」「特性等に応じて選択・組織しての学習」は,従来から行ってきたことです。つまり,学力低下に端を発した臨時の学習指導要領改訂の趣旨は,各教科内の「領域」や「分野」程度しか示していない知的障害教育には,あまり係わりがないといってよいでしょう。


 ところで,算数・数学の教科内分野は,「数と計算」「量と測定」「図形」「数量関係」と「用語・記号」です。知的障害教育では,これらに「実務」を加えています。

 本書の「数と計算」の「数」では,「弁別・分類」「数詞を唱える」「数える」「数字の読み書き」「数の比較」「数の合成分解」「用語」に,「計算」では「加法」「減法」「乗法」「除法」「用語」としましたが,基礎的・基本的内容としましたので,「数」の指導と「計算」の極めて初歩的な内容でまとめました。

 本書は,基礎的数量ですが,「数と計算」の基礎的・初歩的内容です。この内容は,幼稚園や保育園に入園・入所させている保護者に特に関心のあるところです。小学校低学年の算数の指導内容は,「数と計算」「量と測定」「図形」の3分野になっていますが,最も関心の高いのは「数と計算」です。

 本書は,「基礎的数量」の指導が遊び学習,生活単元学習や作業学習などの中でも,教科別の指導「算数・数学」でも活用できるように配慮して内容構成しました。さらに,日々の授業(展開の仕方や教材・教具の工夫等)を行う場合や研究会などで学習指導案を書く場合にも役立つように工夫しました。生活単元学習や作業学習の中で取り扱う算数・数学に関する内容は,定着に至るまで指導することが案外難しいものです。また,教科別の指導としての算数・数学の授業は,子ども達の興味・関心を起こさせるために,教材・教具の工夫や場面設定などが難しいものです。

 本書は,ベテラン教師にこれらの課題を,解決することができるように,しかも,分かり易くを心がけて執筆していただきました。きっとお役にたつものと思います。

 最後になりましたが,本書作成に当たり,お忙しいにもかかわらずご執筆いただきました諸先生,本書の企画・作成に特別のご高配をいただきました明治図書出版株式会社並びに編集部の三橋由美子氏に心からお礼を申し上げます。


  平成16年6月   編 者

著者紹介

宮崎 直男(みやざき のぶお)著書を検索»

1972年 文部省初等中等教育局特殊教育課教育調査官

1981年 国立特殊教育総合研究所精神薄弱教育研究部長

現 在 障害児の授業研究会会長/独立行政法人国立特殊教育総合研究所名誉所員

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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