- まえがき
- 本書をご利用になる先生方へ
- T 記述力アップを目指す
- U 知っておきたい!作文指導の基本的手順
- V 基礎・基本の力を育てる日常活動Q&A
- W 「記述力」アップの授業例
- 低学年
- 1 モデル文と絵を見て,主述の整った文を書く(1年)
- ただしい ぶんを かこう 〈はをへを つかって かこう〉
- 2 店の品物の良さを宣伝する文章を書く(1年)
- ものの名まえ 〈おみせやさんごっこをしよう〉
- 3 経験したことを報告する文章を書く(1年)
- おもい出して かこう 〈いいこといっぱい,一年生〉
- 4 身近な生き物について観察したことを記録する(2年)
- きろく しよう 〈かんさつ名人に なろう〉
- 5 物語を作る(2年)
- まとまりに 分けて お話を 書こう 〈お話のさくしゃになろう〉
- 6 知りたいことを尋ね,紹介文を書く(2年)
- しょうかい文を書こう 〈友だちのことを知りたいな〉
- 7 おもちゃの作り方について,分かりやすく説明する文を書く(2年)
- 分かりやすくせつめいしよう 〈おもちゃの作り方〉
- 8 一年間で一番心に残ったことを書き,文集にする(2年)
- 文集を作ろう 〈楽しかったよ,二年生〉
- 中学年
- 9 記号についての報告文を書く(3年)
- 報告する文章を書こう 〈気になる記号〉
- 10 目的に合わせて手紙文を書く(3年)
- 用件や気もちがつたわるように書こう 〈手紙を書こう〉
- 11 読んだことを生かして感想文を書く(3年)
- 物語の感想をまとめよう 〈ちいちゃんのかげおくり〉
- 12 相手や目的に応じて食べ物の材料について調べたことを報告説明する文章を書く(3年)
- せつめいのしかたを考えよう れいをあげてせつめいしよう 〈すがたをかえる大豆〉〈食べ物のひみつを教えます〉
- 13 分かったこと・考えたことや調べたことを報告する文章を書く(4年)
- 調べたことを報告する文章を書こう 〈読書生活について考えよう〉
- 14 新聞の特徴を知り,内容と方法を決めて新聞を作る(4年)
- 新聞のとくちょうと作り方を知ろう 〈新聞を作ろう〉
- 15 写真を効果的に使って,仕事の内容についての報告文を書く(4年)
- 報告する文章を書こう 〈「仕事リーフレット」を作ろう〉
- 16 身近なこと,想像したことなどを基に,詩を作る(4年)
- 詩を楽しもう 詩を書こう 〈のはらうた〉〈野原の仲間になって〉
- 高学年
- 17 豊かな言葉の使い手について調べ,調べたことを基に,自分の考えをまとめて意見文を書く(5年)
- 自分の考えをまとめて討論しよう 〈豊かな言葉の使い手になるためには〉
- 18 資料から「分かったこと」や「結論」を整理して書き表す(5年)
- 説明のしかたについて考えよう 〈天気を予想する〉〈グラフや表を引用して書こう〉
- 19 写真を基に想像を広げて,物語文を書く(5年)
- 構成や表現を工夫して書こう 〈物語を作ろう〉
- 20 事物の良さを多くの人に伝えるための解説文を書く(6年)
- 読み取ったこと,感じたことを表現しよう 〈この絵,わたしはこう見る〉
- 21 経験したことや見たこと聞いたことを基に随筆を書く(6年)
- 言葉について考えよう 〈言葉は動く〉〈自分を見つめ直して〉
まえがき
今日,子どもたちが自分で感じたことや考えたことを書いて表現する力,すなわち記述力を身に付けることがつよく求められています。それはPISA調査のような国際的な学力調査においても,また文部科学省が実施する全国学力調査においても,そこに課題があることが明らかになってきたからです。
また,本年度から全面実施に入る学習指導要領が目指す子どもたちの思考力,判断力,表現力を伸ばすためにも,書いて表現する力,記述力を育てることは極めて重要なことであると言えます。
今回の学習指導要領改訂の考え方を示す,中央教育審議会・教育課程部会の平成20年1月17日の答申においても「子どもたちの現状と課題」として子どもたちの問題点が具体的に指摘されています。それは国語の問題における「資料から必要な事柄を取り出して与えられた条件に即して書き換えること」というような課題だけでなく,どの教科の問題においても記述式で回答する問題に課題があるというように,子どもたちの表現力に関わる根本的な課題となっています。
このことは,学校現場でも厳しく受け止められ,新教育課程への移行措置期間のこの数年,どこの学校でも授業の中で文章を書く活動を多く取り入れ指導に力を入れてきています。こうした情況は貴重なことであり確かにそれなりの結果が出てきつつあります。しかし,その後の学力調査で多少改善されたとはいえ成績の上位層と下位層の格差はかなり残されています。
学習指導要領の「指導計画の作成と内容の取扱い」の章に「書くこと」の領域の指導の配慮事項として「実際に文章を書く活動をなるべく多くすること」と書かれています。この意味で今日の学校現場の取り組みは適切だと言えます。しかし,ここで大切なことはその書く活動においてどのような指導をするかということです。
書くことの指導に当たっては,日本語の文章表現の特徴をきちんと押さえて指導する必要があります。教師はその素養を身に付けなければなりません。文章にはいろいろな種類がありますからそれらを押さえて計画的に指導することが必要です。何より学習指導要領に示されている各学年の指導事項を具体化して,ポイントを押さえた指導をすることが大切です。また,子どもたちの学習意欲を重視し,一人一人の個性や習熟度に応じて指導の工夫をすることも必要です。ただ多く書かせればいいということでなく,時間ごとに大事なポイントを押さえて指導の効果を高めることが求められています。
それに応えるのが本書の内容です。新教育課程全面実施に当たってどうぞ本書を繙き,子どもたちの文章を書く力,記述力を高めて下さることを期待しています。
2011年3月 /藤井 治
-
- 明治図書
- 研究授業に役立てたい2015/6/2740代・小学校教員