- はじめに
- 第1章 ことば・文字・数の基礎学習
- 1 基礎学習
- 2 コミュニケーションができるには
- (1) 具体物を通してのコミュニケーション
- (2) 身振りサインを通してのコミュニケーション
- 1) 身振りサインの種類
- 2) 概念の学習に役立つ身振りサイン
- 3) 分類学習に役立つ身振りサイン
- (3) コミュニケーションボード
- (4) 文字単語と行動の結合の学習
- 3 課題学習
- (1) 初期学習
- 1) 取る(抜く)手の使い方の学習
- 2) 入れる手の使い方の学習
- 3) すべらせる手の使い方の学習
- (2) 概念行動形成の学習
- 1) 見本合わせの学習
- 2) 系列化の学習
- 3) 形や文字の分解と組み立ての学習
- 4) 文字と実物・絵の結合の学習
- 5) 音節の分解・抽出の学習
- 6) 50音表の学習
- (3) 記号操作の学習
- 1) 文字の記号操作の学習
- 2) 数の記号操作の学習
- 第2章 ことば・文字・数の基礎学習の内容と方法
- 1 学習内容
- (1) 日常生活行動の学習
- (2) 課題学習
- 2 課題学習の進め方
- (1) 学習の見通しがつくようにしましょう
- (2) 学習には区切りをつけましょう
- 1) 1回ごとの学習の区切り
- 2) ひとまとまりの学習の区切り
- (3) 子どもの自発を大切にして学習を進めましょう
- (4) できる行動を大切にして学習を進めましょう
- (5) 相互のコミュニケーションを大切にしましょう
- (6) 子どもの好きなものは尊重しましょう
- 3 行動観察
- (1) 行動観察の視点
- (2) 「見る」という行動の観察
- 第3章 ことば・文字・数の基礎学習と教材の活用
- 1 教材の役割
- 2 日常生活行動の学習
- 登校・着替え行動
- 給食の準備と配膳行動
- 3 課題学習
- 初期学習(目と手の使い方の学習) /玉入れの学習(その1) /玉(棒)入れの学習(その2) /玉入れの学習(その3) /リング抜きの学習(その1) /リング抜きの学習(その2) /パイプ抜きの学習 /型入れスライドの学習 /棒押しスライドの学習 /取っ手つきスライドの学習 /マグネットスライド(直線)の学習 /概念行動形成の学習(位置・順序・形の学習) /棒さし(1本)の学習 /棒さし(3本)の学習 /棒さし(5本)の学習 /電池入れの学習 /3点の位置の学習(その1) /3点の位置の学習(その2) /3点の位置の学習(その3) /3点の位置の学習(その4) /宝探しの学習(その1) /宝探しの学習(その2) /マグネットスライド(形)の学習 /型はめの学習 /形の分類学習 /リベットさしの学習 /形の分解と組み立ての学習 /図形の分解と組み立ての学習 /型はめの見本合わせ学習 /概念行動形成の学習(記号操作の基礎学習) /3つの大きさの学習 /5つの大きさの学習 /形の構成の学習 /文字の型はめの学習 /十字の位置の学習 /マス目内の位置の学習 /碁盤目の位置の学習 /位置と方向の見本合わせ学習 /文字の見本合わせの学習 /文字の重ね合わせの学習 /マス目に文字片を入れる学習 /絵と実物の見本合わせの学習 /文字と文字の見本合わせの学習 /絵と単語の見本合わせの学習 /音節の分解・抽出の学習 /単語の構成の学習 /50音表の学習 /2点結びの学習 /数の系列化の学習(3と5の系列) /数の系列化の学習(10の系列) /属性の学習 /記号操作の学習(数の学習) /5の数の見本合わせの学習 /10の数の見本合わせの学習 /数える学習 /順序数と集合数の学習(5まで) /順序数と集合数の学習(10まで) /5の数の分解・合成の学習 /10の数の分解・合成の学習 /5の単位の学習 /10の単位の学習 /記号操作の学習(文の構成と計算の学習) /動詞や文の学習 /たし算の学習 /ひき算の学習(一桁) /繰り下がりの学習 /筆算(たし算)の学習 /筆算(ひき算)の学習 /お金の学習 /お金そろばんの学習 /かけ算の学習 /わり算の学習 /文章題(わり算)の学習
- あとがき
はじめに
障害児教育では,知的障害の子どもは抽象的な思考が困難であるので,国語,算数の学習は難しいと言われています。しかし,国語や算数の授業に携わっている教師からは,それを否定するような事実が現れています。私たちもその事実を真摯に受け止め支援すれば,あらたな障害児の姿が浮かび上がってくると考えます。そのためには,常日頃の教育実践を大切にし,とりわけ教材研究を怠らず,子どもがどのような内容をどのような順序で学んでいくかということを子ども自身から学ぶ姿勢を持つことが大切です。本書で紹介するものは,そういう子どもたちとのかかわりを通して,私たちが学んできた支援内容,方法,教材です。実際の教育実践を通して考えたものですので,きっとお役に立てると思います。
私たちは主に木材を使って教材を作っていますが,必ずしもそれにこだわる必要はありません。最近は発泡スチロール板のような簡単に加工できるものを日曜大工店で売っていますので,それらを使って作成できる教材もたくさんあります。タイル教材であれば,カッターで溝を彫ればそこにタイルを並べたりすることができます。買い物ついでに,子どもの姿を思い浮かべながら教材の材料を探すというのもいかがでしょうか。教材作りの第一歩は,どのお店にどのような材料があるかということを知ることです。教材を作り,子どもと一緒に学習するのは楽しいことです。しかし,いつもうまくいくと限りません。教材が子どもに適さず,子どもが勉強をしないということもあります。そのときこそ,「しめた」と思ってください。私たちが考えることができるからです。なぜその教材でうまくいかないのか,まだ工夫する余地はないのかなど,いろいろ考えることができます。もちろん,すぐに回答はでません。それでも諦めずに考え工夫し続けることが大切です。その結果うまくいったとき,私たちは成長します。子どもに障害はありません。私たちは上手に支援できないという障害を持っています。だからこそ,支援内容の検討と同時に教材研究が大切なのです。地道に教育実践を重ね,一年,二年と子どもたちを観ていきますと,子どもたちが着実に成長していく姿を見ることができます。
最近は,障害児教育も特別支援教育と言われ教育の質的転換が迫られています。その内容や方法を実りあるものとするためには,私たちの地道な教育実践を欠かすことはできません。 今後もさらに子どもから学び真の特別支援教育を実現していく必要があると考えています。
平成17年5月 /進 一鷹
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- 明治図書