- まえがき
- 第1章 導入編:デジタル教材「おこめ」と総合的学習
- 1 「おこめ」学習のすすめ
- 2 NHK放送番組「おこめ」とは?
- 3 「おこめ」から考える新しい学力 〜総合と教科の交差〜
- 4 おこめにかかわる人々 〜専門家からのメッセージ〜
- ■田んぼと水の中の小さな生きもの
- ■古代稲作を再現する
- ■「おこめ」を学ぶこと
- ■「バケツ稲づくり」で広がる農業体験の輪
- ■世界に広がるお米料理
- 第2章 教材編:使ってみよう! NHKデジタル教材「おこめ」
- 1 NHKデジタル教材とは?
- 2 「テレビ」番組を見てみよう!
- 3 「クリップ」で調べてみよう!
- 4 「ホームページ」で学習しよう!
- 5 「けいじばん」で交流しよう!
- 第3章 実践編:「おこめ」で総合的学習をひらく
- 1 「おこめ」をテーマにした年間学習プラン
- ■おこめの大切さにせまる ――南小おこめプロジェクト2001
- ■今の子どもは本当に「飽きっぽい」?
- ■授業デザイナーとして菅原先生は何をしたか
- 2 「栽培・品種」をテーマにした学習プラン
- ■北へ行くほどコメはおいしいのか?
- ■おいしいお米たんけん
- ■デジタル教材で「栽培・品種」を学ぶ
- 3 「環境」をテーマにした学習プラン
- ■堆肥で安全でおいしいお米をたくさん作ろう ――循環型稲作学習を目指して
- ■「アイガモ農法」から「お米プロジェクト」へ
- ■育てて,食べて,考えよう
- ■デジタル教材で「環境」を学ぶ
- 4 「食糧」をテーマにした学習プラン
- ■おこめを食べよう! ――お米応援団
- ■おこめの良さ再発見!! ごはんを食べよう
- ■課題意識を培うために
- ■デジタル教材で「食糧」を学ぶ
- 5 「歴史・文化」をテーマにした学習プラン
- ■消え行く田んぼをどう思う
- ■鍋屋田の昔を調べよう
- ■おこめから文化を体験しよう
- ■デジタル教材で「歴史・文化」を学ぶ
- 6 「国際理解」をテーマにした学習プラン
- ■お米文化研究所
- ■デジタル教材で「国際理解」を学ぶ
- 7 「共同制作」をテーマにした学習プラン
- ■共同レポート「お米白書」の取り組み
- ■お米の学習を支えた多様なメディアの利用
- 8 まとめ ――各実践の取り組みに学ぶ
- 第4章 評価編:デジタル教材と子どもの学び
- 1 「おこめクラブ」掲示板を使った交流学習
- 2 番組と連動した動画クリップを児童はどう視聴するか?
- 3 おこめ学習で何が育ったのか?
- 4 まとめ ――デジタル教材を活用した学びをどう評価するか?
- 第5章 資料編
- 1 おこめQ&A ――子どもたちが見つけたおこめの不思議
- 2 おこめ学習リンク集
まえがき
2002年度から本格的に「総合的な学習の時間」が始まった。教科書のない総合的学習では,地域の特徴や生徒の興味関心に焦点をあて,各学校での独自な実践が求められている。しかし,これまで教科という枠組みの中で指導をしてきた多くの教師たちにとって,この新しい試みは,試行錯誤の連続であろう。どのような題材を取り上げ,どうやって学習を進めていくのか悩んでいる教師は多い。
教師のこのような現状に応えるために,本書では「おこめ」をテーマにした総合的学習の実践報告とNHKデジタル教材の活用法を紹介する。NHKデジタル教材とは,放送のデジタル化に先駆け,ブロードバンドでのインターネット利用を想定したものであり,放送番組,動画クリップ,インターネット,交流掲示板をセットにしたものである。「教育の情報化」政策では,2005年までにすべての教室からインターネットに接続できるよう目標が設定されている。
本書での「おこめ」の総合的学習はこの状況を視野に入れ,これからの新しい学習スタイルを提案していく。
本書は,次の5章構成になっている。
第1章の導入編では,NHKデジタル教材「おこめ」を使った総合的学習とはどのようなものであるか,その概要をまとめた。身近なテーマである「おこめ」から,国際理解,流通,食糧問題といったグローバルな広がりを教科や総合的学習の関わりの中でどのように捉えたらよいか,知識・技術を習得する「実体的な学力」
と学び方,調べ方を学ぶ「機能的な学力」の両面からのカリキュラムづくりを提案している。
第2章では,実際に学校でこのデジタル教材を活用するときの使い方を中心に紹介している。放送番組,動画クリップ,ホームページ,学校間交流の具体的な活用方法を分かりやすく説明している。
第3章では,研究協力校として参加した学校の総合的学習の様子を紹介する。「おこめ」という同一テーマであってもそれぞれの学校の取り組みは独自である。たとえば,おいしいお米と品種との関係について調べたり,堆肥づくりやアイガモ農法から安全な米づくりについて学んだりしている。これらの実践から,地域の状況や生徒の関心によって多様な取り組みが行われていることが分かる。
第4章では,交流学習がどのように進んだか,動画クリップがどのように利用されたか,生徒にどのような学力がついたのか,研究者の立場で行われた調査・分析結果を報告している。
第5章は,これから「おこめ」の総合的学習を始めようとする人のために,有用な資料やインターネットのリンクなどを紹介したすぐに役立つ資料集である。
本書を読んでいただければ分かるが,この教材づくりには,NHKをはじめとする制作スタッフ,農業をはじめさまざまな専門家,研究者,教師など,実に多くの人たちが関わり,知恵を出しあっている。教材をよりよいものにしていくためにも,多くの学校でこの教材を活用し,生き生きとした総合的学習を実践してもらいたい。
/久保田 賢一
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明治図書
















