- まえがき
- ◆第1章◆問題解決モデルによる校内支援体制
- 1 問題解決モデルの概要
- (1) はじめに
- (2) 問題解決の論理過程
- (3) 問題解決モデルの流れ
- 1) ステージ1:学級での支援
- 2) ステージ2:問題解決チームによる支援
- 3) ステージ3:特殊教育への照会と適正手続きの着手
- (4) 問題解決モデルの運用
- (5) 記入例の説明
- 2 問題解決モデルの背景
- (1) なぜ背景を考える必要があるか
- (2) 米国の特殊教育をめぐる最近の動き
- (3) 問題解決モデルにみる特殊教育のパラダイム・チェンジ
- 1) 「障害」でなく「問題」への注目
- 2) 支援に直結した判断の提供
- 3) 協力を前提とした問題解決
- 4) 通常教育と特殊教育との連携の必要性
- (4) カリキュラムに準拠した尺度(CBM)の活用
- 3 わが国に与える問題解決モデルの意味
- (1) はじめに
- (2) 通常教育と特別支援教育との連携
- 1) 通常の学級にいる障害のある児童生徒
- 2) 特別支援教育か通常教育か
- 3) 特別支援教育も通常教育も
- (3) 教育的ニーズに応じた支援
- 1) 教育的ニーズとは何か
- 2) 誰にとってのニーズか
- 3) なぜ教育的ニーズが問題にならなかったのか
- 4) 教育的ニーズに応じた支援
- (4) 段階的支援から連続的支援へのパラダイム・チェンジ
- 1) ニーズの強さと支援の量との関係
- 2) ニーズに応じて支援を提供するための問題解決モデル
- (5) 通常の学級担任への支援としての機能
- (6) 問題解決モデルで得られる情報の重要さ
- 1) 専門家との情報の共有
- 2) 形成的評価としての意味
- 3) 配慮を形にできること
- 4) 教育的ニーズの客観化
- 5) 説明責任を果たすために
- (7) 校内委員会モデルとしての示唆
- ◆第2章◆問題解決モデルを用いた実践
- 1 問題解決モデルのわが国における可能性
- (1) 日本の特殊教育の基本的な考え方と教師の仕事の実施様式
- 1) 日本の特殊教育と治療教育的概念
- 2) スーパーマン教師待望論と特殊教育
- 3) 学校の現実
- (2) 教師間連携の必要性
- 1) 特別支援教育への移行の失敗が意味するもの
- 2) アメリカのIEPチームの組織モデルにみる組織の連携の深化
- (3) 校内支援委員会と問題解決モデル
- 1) 特別支援教育の鍵としての校内委員会
- 2) 問題解決モデルのわが国での可能性
- (4) おわりに
- 2 熊本市立慶徳小学校の実践
- (1) 学校の概要
- (2) 校内委員会の取り組み
- 1) 校内委員会(特別支援委員会)の設置
- 2) 気づき→ニーズの把握(アセスメント)→決定に至るまで
- (3) 校内支援体制と児童への支援
- (4) 取り組みの利点と課題
- 1) 利点と課題
- 2) 慶徳小学校の校内支援体制
- 3) 校内委員会の実践を振り返って
- 3 日南市立飫肥小学校の実践
- (1) 学校の概要
- 1) 本校における特別支援教育
- 2) 校内委員会について
- (2) 校内支援体制の構築
- 1) 特別支援教育(特殊教育)にかかわるこれまでの本校の取り組み
- 2) 校内主題研究の活用
- 3) 「問題解決モデル」との出会い
- 4) 本校の「校内支援体制モデル」
- (3) 支援体制と児童への支援
- 1) アンケート結果
- 2) 全体の支援計画の検討
- 3) 1年3組への支援
- 4) 3年2組への支援
- (4) 取り組みの利点と課題
- 1) 取り組みの利点
- 2) 取り組み1年目の課題
- 3) 2年目の取り組み
- ◆第3章◆問題解決モデルによるグループワーク
- 1 なぜグループワークが必要なのか
- (1) 特別支援教育コーディネーターに求められるもの
- (2) 連携協力するためのグループワーク
- 2 問題解決の論理的思考過程を習得するためのグループワーク
- (1) 問題解決の論理的思考を習得するために
- (2) 準備
- 1) グループの編成 /2) グループワークにかかる時間 /3) 材料
- (3) グループワークに入るときの説明
- 1) 連携協力の技能を身につける必要性
- 2) グループワークに対する構え
- 3) 問題解決の論理過程の練習であること
- 4) 実施する上での諸注意
- (4) グループワークの実際
- 1) 自己紹介 /2) 役割を決める /3) ステップ1 /4) ステップ2 /5) ステップ3 /6) ステップ4 /7) 発表
- 3 問題解決モデルを実践するためのグループワーク
- (1) ワークシートに基づくグループワーク
- (2) 準備
- 1) グループの編成 /2) グループワークにかかる時間 /3) 材料
- (3) グループワークの手続き
- 1) ステップ1 /2) ステップ2 /3) ステップ3 /4) ステップ4 /5) ステップ5 /6) ステップ6 /7) ステップ7 /8) ステップ8 /9) ステップ9
- (4) グループワークの評価
- 1) 参加者 /2) 参加者による評価 /3) 問題解決モデルのグループワークの意味
- ◇資 料◇
- あとがき
まえがき
わが国では,特殊教育から特別支援教育への名称変更に伴い,通常の学級に在籍している児童生徒に対しても積極的に支援していくことが提唱されています。このような特殊教育から特別支援教育への流れの中で,「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(文部科学省,2003)に示されているように,現在,学習面や行動面に問題のある特別な教育的ニーズのある児童生徒が,通常の学級の中に6.3%の割合で在籍していることが明らかとなってきました。
これまで支援されてこなかった通常の学級に在籍しているLDやADHD,高機能自閉症等の障害のある児童生徒が注目され,支援を受けられるようになってきたことは,喜ばしいことです。その一方で,これまでの特殊教育教師は,担当している障害児への対応に手一杯であるのに加えて通常の学級にいる児童生徒も支援していくことへの危機感を抱いています。また,通常の学級担任にとっては6.3%の児童生徒を通常教育ではなく特別支援教育が担当するものとの誤解が生まれています。さらに,LDやADHD,高機能自閉症と診断を受けた児童生徒は手厚い教育が受けられるのに対して,診断を受けていないけれども支援を必要としている児童生徒は,支援を受けられないままでいます。
このような最近の特別支援教育への移行に伴う混乱は,特別支援教育と通常教育がともに連携協力する体制づくりを必要としています。この本では,協力関係推進のための校内支援体制のモデルとして問題解決モデルを取り上げます。問題解決モデルは,米国ミネソタ州ミネアポリス公立学校で実践されている特殊教育に至るまでの前照会段階の支援モデルです。問題解決モデルは,担任の気づきから特別支援教育までの道筋を明確に提示しており,学級担任による配慮からチームによる支援,さらに特殊教育へと段階的な形成的評価を実施することにより,一人ひとりのニーズに応じた支援を提供できる校内支援体制を示しています。このモデルをわが国の通常教育で実施することができれば,特別な教育的ニーズのある多くの児童生徒が通常教育から特別支援教育までの連続性の中で支援されることになります。
そこでこの本では,米国の問題解決モデルについて紹介します。さらに米国のモデルの紹介にとどまらず,わが国ですでに実践されている2つの先進校の取り組みと児童生徒への支援の実際を紹介し,わが国で実践可能なモデルとして問題解決モデルを理解してもらうことを目的としています。また,問題解決モデルのグループワークを紹介することで,この本が,特別支援教育コーディネーターの養成など教師間の連携協力に向けたスキルの習得に役に立つことをめざしています。
平成17年3月/干川 隆
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明治図書
















