世界教育学選集64
学習原論

世界教育学選集64学習原論

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学習即ち生活であり,自律,真摯,教師の成長によって子どもも伸び,子どもの学習によってまた教師も学ぶことを強調した大正自由教育期の名著。


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-056424-6
ジャンル:
教育学一般
刊行:
6刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 374頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年4月24日

目次

もくじの詳細表示

自序
第一章 序論
第一節 他律的教育から自律的学習への進展
第二節 学習の意義
第三節 学習研究の必要とその範囲
第二章 学習の目的
第一節 人は人らしく生きるのが目的だ
第二節 学習の目的は自己の建設である
第三節 自己建設の内容
第四節 結勘
第三章 学習の性質
第一節 序説
第二節 発動的学習
第三節 創作的学習
第四節 努力的学習
第五節 歓喜的学習
第四章 環境の整理
第一節 人生は環境と終始する
第二節 学習に適当な環境を創れ
第三節 学習組織を樹立せよ
第四節 学習の設備
第五章 学習の材料
第一節 学習材料の性質
第二節 消費重視の学習材料
第三節 情意に触れた学習材料
第四節 教科目の整理と教科内容の改造
第五節 自ら学習材料をとれ
第六節 材料の画一を排する
第七節 分科学習と合科学習
第八節 学習系統案と学習細目
第九節 学習材料の排列と統一
第十節 学習材料の程度上進
第六章 学習指導の教師
第一節 根本思想の一変
第二節 学習指導者の資格
第三節 学校長と教師
第四節 教師の自己評価
第五節 結論
第七章 学習の基礎
第一節 学習の身体的基礎
第二節 学習の精神的基礎
第三節 学習の道徳的基礎
第八章 学習の形式
第一節 序論
第二節 質疑法
第三節 解疑法
第九章 学習の順序
第一節 独自学習
第二節 相互学習
第十章 学級の編成
第一節 学級の意義
第二節 学級の沿革
第三節 学級組織に対する要求
第十一章 時間割の編成
第一節 時間割に対する要求
第二節 時間割編成の実際
第十二章 学習指導案
第一節 学習指導案の必要
第二節 学習指導案の内容
第十三章 学習の実際
第一節 国語の学習
第二節 児童数学の学習
第三節 図画の学習
第十四章 学習の効果と進歩の段階
第一節 学習の効果
第二節 自律的学習に伴いやすい欠陥およびその救済法
第三節 学習進歩の段階
付録
第一章 学習方法二元論
第一節 教育方法多元論
第二節 学習方法一元論
第二章 合科学習法
第一節 序説
第二節 合科学習の要旨
第三節 大合科学習の環境整理
第四節 大合科学習の方法
解説 /中野 光

この選集をよまれる人びとに

   監修者


 日本の教育は、戦後の改革によって、明治維新以来の大きな変動を経験した。そのことは、一方では教育者たちのエネルギーを解放し、さまざまな質の高い実践を生みだし、教育研究者に広い研究分野を開き、研究的努力を刺激してきた。さらに重要なことは国民の教育に対する新しい欲求をめざまして、大きく教育的状況を変えつつあることである。しかし日本の政治は、このような変化に照応してその成果を建設的に組織していく展望に欠け、むしろ民主的な教育の発展に不安を抱いて、これを抑圧しようとさえ試み、ここに大きな混乱と不安定とを生み出している。

 もちろん、私たちは、教育の内部に、さまざまな問題が存在していることを無視してはいないし、それが今日の教育状況をつくり出す弱点になっていることに目を掩っているわけではない。また教育学研究の分野でも、その理論的な追求が十分に組織的にすすめられているともいいがたい。これもまた日本の教育の発展にとって、決して幸福な状況ではない。このような段階での日本の教育者および教育学研究者の任務は、まずなによりも、私たち自身の生み出した教育実践の成果を理論的に組織するために、私たちの教育および教育研究の遺産を十分学びつくすことである。しかし、それに加えて今日の状況は、国際的な教育学の遺産をふまえた、より豊かで、的確な理論的発展を教育学に期待している。私たちは、そのために、世界の高い水準に達した教育的諸文献を、自由に研究し、先人がその社会と時代とにおいて組織した教育的理論から学ばなければならない。それは、単に、歴史的興味や過去への回顧のためではなく、まさに今日における教育発展の基礎たるべき教育理論の構築のためなのである。

 「世界教育学選集」は右のような目的をもって、世界のすぐれた教育的諸文献を日本語に移して、教育者および教育研究者の便に供したいという希望に支えられて刊行されたものである。

 私たちは、単に、歴史的興味によって、過去の教育理論をふりかえるのではないといった。このことは、この 「選集」の選択の原則に関することであるし、また読者の学習の態度にかかわることでもある。

 すぐれた教育的理論は、著者たちが生きていた時代が当面していた教育的な、さらに社会的な諸問題を解決するために、著者たちが、現実批判を通して、あるべき教育の真実の姿を探究したものであった。私たちは、そこに、当時の科学の未発達や時代の主要関心の差異によって、もちろん多くの限界を見出すのである。そこには理論的に明らかな誤りさえも含まれている。にもかかわらず、現代の私たちは、著者たちがかれらの問題の解決にとりくむ、その努力の過程から生まれる思想や理論的成果の中に、現代の私たちがとりくむ諸問題の解決に光を与え、あるいは、教育的な価値の探究に方向を示唆し、さらに私たちが現代的諸条件のもとに実現すべき理念を読みとることができる。否、私たちが現実の教育的状況に対して、子どもへの愛情と人類の未来への信頼をもって、その問題に立ち向かうことによって、私たちは先人の苦闘の成果の中に、人類的な教育的価値の遺産を掘り当てることができる。

 私たちは、このような確信のものに、私たちの教育的実践を鼓舞し、勇気を与え、私たちの理論的研究に光となり方向を指示してくれるであろうような先人の労作を選択した。私たちはこれらの労作を通じて人類の幸福と社会の進歩を求めて、教育に期待をかけた人びとのヒューマズニムと科学的探究の精神を、教育文化の遺産として継承し、これを守り、発展させることを目ざして、私たちの教育研究を深めてゆきたいと思う。

 「選集」の邦訳は、それぞれ、原著者について専門的に研究している人びとによって行なわれている。大部分は忠実な完訳を旨としたが、やむをえない事情、たとえば、余りにも大部なものは、適当に省略を加えた。しかし、そのことによって、原著に学ぶ価値を減少しないように努力した。なおこの選集の刊行を継続して行ない、私たち日本の教育者および教育研究者に容易に利用できる資産を豊富にすることを期したいと思う。

著者紹介

梅根 悟(うめね さとる)著書を検索»

東京文理科大学卒業・和光大学学長

勝田 守一(かつだ しゅいち)著書を検索»

京都帝国大学卒葉・東京大学名誉教授

(1969年没)

中野 光(なかの あきら)著書を検索»

1928年生まれ・東京文理科大学教育学科卒業

現在,和光大学教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 現代との学びをつなげたい
      2024/2/13たー
    • 是非ともよろしくお願い致します!
      2023/10/14
    • 探究的な学習の元祖とも言える木下の理論を学びたいです!!
      2023/10/8たくや
    • 驚きの復刊です。奈良女子大学文学部附属小学校の理論的支柱である木下竹ニの学習原論は、現在でもその意義を失うことはないでしょう。令和の時代にあっても、考えさせられることの多い論です。
      2023/3/5yasushi
    • いまだに学習を、なんらかの知識を注入(言えば伝わる、教えればわかる、やってみせれば真似られる)と捉えた上でよい教育の方法論を吟味してしまうことの多い世間で、学習はそも生活と一致する営みであり、一致するからこそ日々のあり方、生き方、考え方、物ごとの捉え方に活きるという原論の意義はどれほど訴えても訴えすぎるということのない価値を持つものだと考える。
      2023/3/5kkri

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