- はじめに
- 本書の構成
- 第1章 理論編 育成を目指す資質・能力と「選択」と「対話」のある作文指導
- 1 これからの時代に求められる「書くこと」の指導
- ―新学習指導要領で育成を目指す資質・能力を踏まえて―
- 1 「書くこと」の指導はどう変わったか
- 2 生活文は不要か
- (1)生活文と「人間性の涵養」
- (2)生活文と「言語能力」
- 3 「選択」と「対話」がある学習活動
- 4 「書くこと」の指導とワークシートの使い方
- 2 生活文指導のポイント
- ―「わくわく作文塾」を通して―
- 1 生活文指導をめぐる状況
- 2 教師主導の生活文指導
- 3 「わくわく作文塾」の設立
- 4 「わくわく作文塾」の概要
- (1)「わくわく作文塾」の状況
- (2)「わくわく作文塾」における指導の流れ
- 5 「わくわく作文塾」で展開された対話
- (1)展開された「対話」―定点カメラの記録より―
- 6 「わくわく作文塾」で明らかになった生活文指導のポイント
- 第2章 実践編 5ステップでだれもが書ける! 作文指導の授業づくり&カリキュラムづくり
- @着想
- 1 ミスマッチゲームで,作文の題名を考えよう
- ―「主題」が決まらない子供のために―
- 2 私のちょっとした秘密を紹介します
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 3 「私の大切なものを教えます」ワークシートでみんなに紹介しよう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 4 「あのね聞いて」ワークシートでみんなに紹介しよう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 5 ○○さんへ,手紙を書こう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 6 思い出の写真から
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 7 友達のよさに目を向けて書こう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 8 私の家の宝物を紹介しよう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- 9 ○○さんと一緒にしたいことを書こう
- ―「題材」が思い付かない子供のために―
- A構想
- 10 作文ダブルマップをつくろう
- ―「内容」が膨らまない子供のために―
- B構成
- 11 付箋を使って作文の組み立て(構成)を考えよう
- ―「構成」が整えられない子供のために―
- C記述
- 12 作文の書き出しを考えよう
- ―「書き出し」が決まらない子供のために―
- 13 目指せ!書き出しマスター
- ―「書き出し」が決まらない子供のために―
- D推敲
- 14 友達に「私の作文の特徴」を伝えよう
- ―「推敲」の観点が分からない子供のために―
- 15 ぴったり?伝わる?当てはまる言葉は何だろう
- ―「言葉」が見つけられない子供のために―
- 16 オノマトペを使おう
- ―「言葉」が見つけられない子供のために―
- 生活文指導をどう計画するか―カリキュラム上の位置付け―
- 1 カリキュラム・マネジメントの視点から生活文指導を考える
- 2 生活文指導の計画
- (1)国語科の授業内で
- (2)国語科の授業外で
- 3 生活文指導の実際
- (1)国語科内の指導の中で―生活文の取り上げ指導の例―
- 第3章 資料編 「選択」と「対話」で作文がみるみる書けるワークシート
はじめに
本書で度々登場する,「わくわく作文塾」とは,13年前に鹿児島県日置市でスタートしたものです。そのノウハウを活かして,2018年8月9日・10日に,鹿児島市内の2小学校において,「わくわく作文塾in○○小学校」を開催しました。児童合計127名,保護者60名,講師32名(当該学校教員+原国会会員)の合計219名が参加しました。
「わくわく作文塾」の目的は,夏休みの宿題として課された「作文のお手伝い」ではなく,子供たちに「書くことを好きになってほしい」というものです。したがって,教員や保護者への事前の説明会では,「まず,花丸を付けられるところから見つけてほしい」と伝えました。作文だけでなく,音楽や体育などの「表現」では,まず,褒めること,共感することが鉄則だと思います。すなわち,子供たちを「書き手として育てる」ことをまず確認しました。
その上で,本書に掲載したワークシートを使用して,「書き方を教える」ことを展開していきました。その成果について,当日実施後のアンケート(無記名)から拾ってみます。
a:わくわく作文塾に参加する前 → b:わくわく作文塾に参加した後
○子供
a:最初は,わくわく作文じゅくに行きたくなくて,いやでした。
→ b:説明が分かりやすくて,どんどん作文が書けました。どんどん楽しくなりました。早く家に帰って,続きが書きたいです。
○教師(教職15年目)
a:作文指導に,いろいろ迷いがあった。どこまで関わるのか……どうしても私が考えた作文になってしまう。
→ b:わくわく作文塾に参加して,これまでの悩みが解決した。2学期からの作文指導が楽しみになりました。
○保護者
a:毎年,親子でイライラしながら書いていた。子供も作文は嫌いでした。
→ b:先生と会話することで,あっという間に構成表が付箋でいっぱいになったので,驚きました。私も楽しくなり,我が子も作文を書くことを楽しんでいました。
当日の様子は,2018年8月12日付の地元の新聞にも掲載され,大きな反響がありました。本誌には,この「わくわく作文塾」で使用した,独自のワークシートや実践例を載せています。作文で悩んでいる子供たちや教師,保護者の皆様の参考にしていただければ幸いです。
今回の発刊に当たりましては,鹿児島県日置市教育委員会のご協力をいただきました。記して心より感謝いたします。
作文指導は,一朝一夕にできるものではありません。本書も至らぬ点が多いと思います。読者の皆様のご教示をお願いいたします。また,本書が子供たちの「書くことの意欲向上」に,少しでも役立ちますことを心より祈っております。
/原田 義則
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- 明治図書
- とても参考になりました。2024/3/2330代・小学校教員