自閉症支援のための基本シリーズ5
子どもに効果的な授業の工夫

自閉症支援のための基本シリーズ5子どもに効果的な授業の工夫

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子どもが主体的に活動する授業の実践例を豊富に収録

多くの指導者が求める、自閉症の子どもたちが生き生きと主体的に活動できる授業のあり方を取り上げたのが本書である。よい授業の条件を提示すると共に、どのような工夫で子どもが意欲的に授業に参加し、発達を促進できるかを具体例でわかりやすくまとめた。


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ISBN:
978-4-18-053574-3
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2刷
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 子どもが主体的に活動する授業
1 授業をどのように組み立てればよいか
1◆実態把握の重視
2◆具体的目標の設定
3◆指導内容・指導方法の検討
4◆指導の実際
5◆評価・考察
2 よい授業の条件とは
1◆成長・発達が確認できる授業
2◆やらされるより自らする授業
3◆できるよりもわかる授業
4◆応用,般化につながる授業
5◆教材・教具の工夫された授業
第2章 効果的な授業の工夫の実際
1 日常生活の指導
1 【朝の会】自己選択,自己決定の場面を取り入れた指導
2 【着替えの指導】1人で着替えられるようになるために
3 【食事指導】食べることができる献立を増やすことを目指して
4 【清掃指導】子どもが主体的に取り組むことを目指して
5 【排泄指導】個に応じた指導のポイントと実践
2 遊びの指導
1 【感覚遊び】触れる遊びのいろいろ
2 【ゲーム遊び】人と関わる力を育む環境づくり
3 【劇遊び】「カレーパーティーぜっこうちょー」
3 生活単元学習
1 【宿泊学習】卒業後の生活を見据えた取り組み
2 【販売学習】どの子どもも1人でできる取り組み
3 【買い物学習】実生活で使える力の獲得をめざして
4 作業学習
1 【木工】ボックスチェア製作
2 【窯業】自分で進める土粘土を使ったものづくり
3 【布工(縫製)】大好きな布切り作業を1人で進めていくために
4 【紙工】目指せ200部 月ヶ岡カレンダー作り
5 【農耕】自然や土の感触を味わいながら生徒がいきいき学ぶ
5 教科指導
1 【国語】強みを活かした授業の工夫
2 【算数】アセスメントを行い特性に配慮した支援
3 【音楽】課題を絞って豊かな表現を支援
4 【美術】「らしさ」を発見するための「表現の自由」について
5 【体育】思いっきり身体を動かそう
6 【自立活動】要求やヘルプ表出の獲得を目指した取り組み

まえがき

 教師にとって「授業は命」と言われています。「1時間の授業で子どもを伸ばさなければ,それは授業とは言えない。教師は1時間の授業で一人ひとりの子どもを伸ばしてこそ教師と言える」と授業の重要性を強く訴える指導者もいます。この子どもたちは年間,約1100時間の授業を受けます。この1時間1時間の授業で子どもが確実に成長,発達したとすれば言うまでもなく1年後には,すばらしい子どもに成長しているはずです。学校卒業時には,間違いなく自立も社会参加も就労も実現できるはずです。

 しかしながら,実際はどうでしょうか。むしろそうでないことが多いのではないでしょうか。特に自閉症の子どもについては,指導のむずかしさもあってか,思ったように変容が見られていないのが現状のようです。親からは「1年前とどこがどのように変わったか見えない」「伸びているところもあれば退行しているところもある」「間違いなく1年前より退行しているような気がする」などという話を聞くこともあります。毎日授業をしている教師としては,少なくとも,親から「1年間受けてきた授業は一体何だったのか」「自閉症の子どもはむずかしい,で片付けていることはないのか」などといった,日々の取り組みに対して疑問の声が出るようなことだけは避けたいものです。

 今では,児童・生徒の半数近くが自閉症だという知的障害特別支援学校も少なくありません。特別支援学級においてもこの傾向は見られ,自閉症の子どもが目立って多くなってきています。特別支援学校でも特別支援学級でも自閉症の子どもがいないクラスはほとんどなく,自閉症の子どもを抜きにした授業は考えられなくなってきています。言い換えれば,自閉症の子どもに対する効果的な指導を考えなければ授業が成り立たない状況にあるのです。

 では,自閉症の子どもたちが生き生きと主体的に活動できる授業とは,どういう授業を言うのでしょうか。どのような工夫をすれば,子どもを成長,発達させる効果的な授業ができるのでしょうか。本書では,多くの指導者が求めている授業のあり方についてまとめてみました。

 第1章では,子どもが主体的に活動するためにはどのように授業を組み立てればよいか,実態把握の重視,具体的目標の設定,指導内容・指導方法の検討,指導の実際,評価・考察と授業作りの計画にそってまとめると共に,よい授業の条件を提示しました。

 第2章では,効果的な授業の工夫の実際について,特別支援学校や特別支援学級で,教育課程上,最も重視されている5つの指導形態(日常生活の指導,遊びの指導,生活単元学習,作業学習,教科指導)を取り上げ,それぞれの学習で,自閉症の子どもにどのような授業を設定,構成し,教材を準備し,どのように支援,対応をすれば,意欲的に授業に参加できるのか,発達を促進できるのかを,全国で効果を上げている先生方にお願いし,執筆していただきました。是非,参考にしていただきたいと思います。

 なお,本書は「自閉症支援のための基本シリーズ」の第5巻としてまとめたものです。第1巻「自閉症の基本障害の理解とその支援・対応法」,第2巻「不適切行動への効果的支援・対応法」,第3巻「子どもに効果的な教材・教具の工夫」,第4巻「コミュニケーション能力を高める指導のアイデア」も刊行していますので,あわせてお読みいただきたく存じます。自閉症への効果的支援のあり方を確認し,日々の取り組みに生かしていただければ幸いです。

 本書の編集に当たり,ご多用中原稿をご執筆いただいた先生方には,心から謝意を表する次第です。また,本書の企画,編集でお世話になった,明治図書出版編集部の三橋由美子氏,及び校正に直接たずさわられた橘亜希氏には深く感謝いたします。


  2008年11月   編著者 /上岡 一世

著者紹介

上岡 一世(うえおか かずとし)著書を検索»

1946年高知県生まれ。高知大学教育学部卒。鳴門教育大学大学院修了。

高知大学教育学部附属中学校教諭(特殊学級),愛媛大学教育学部附属養護学校教諭,愛媛大学教育学部助教授を経て,現在愛媛大学教育学部教授,愛媛大学教育学部附属特別支援学校校長。専門は特別支援教育。

主に自閉症の人の自立や社会参加,就労について研究している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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